「宮崎キネマ館」移転 フィルム上映も最後

多くの映画ファンに愛されてきた宮崎市の「宮崎キネマ館」が、この春、移転リニューアルすることになり、2月14日、現在の場所で最後の上映が行われた。

宮崎キネマ館 宮崎市のアゲインビル
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宮崎市のアゲインビルにある宮崎キネマ館。
2月14日、コロナ禍で客足が減っていたミニシアターは、久しぶりの賑わいを見せていた。

訪れた客のお目当ては、午後4時半から上映の「蒲田行進曲」。
この場所で上映される最後の作品だ。

映画「蒲田行進曲」 最後のフィルム上映

そして、開館当初から稼働してきた35ミリフィルムの映写機も、この日でその役目を終える。

宮崎キネマ館 喜田惇郎支配人:
部品の枯渇、技術者の方も引退されているなど問題が多々ございまして。僕も入社して一番覚えるのが大変だったところでもありますし、残しておきたいという思いはあるんですけど、残念ながら引退してもらうことになりました

最後のフィルム映画を観賞しようと、客席には常連客など65人が詰めかけた。

宮崎キネマ館 喜田惇郎支配人:
いよいよ(現在の場所である)アゲインビルでのキネマ館の最終上映「蒲田行進曲」、もうまもなくの上映となります。最後のフィルム上映となります、どうぞゆっくりとご堪能いただければと思います

新型コロナで来場客は半減…閉館の岐路に

2001年3月、全国で初めてNPO法人が運営する映画館として誕生した宮崎キネマ館。
これまで20年間、県内の映画文化の発展に貢献してきた。

来場客:
小さい映画館ならではのこじんまりとした良さというか、そういう感じが好きですね

来場客:
(見たい作品を)リクエストした時に、頑張って上映できるように動いてくれたり、市民の声に耳を傾けてくれるところが魅力的だと思いますね

しかし、新型コロナの影響で来場客は半減。

閉館の岐路に立たされる中、宮崎キネマ館が選んだ道は、現在の場所から約500メートル離れた場所への移転だった。

来場客の幅広いニーズに応えられる安心・安全な劇場作りを目指すことを決めた。

35mmフィルムの映写機

宮崎キネマ館 喜田惇郎支配人:
大きなスクリーンで、良い音響で、そして日常生活から遮断された2時間の暗闇の中で物語を体験する価値は失われないと思う。(映画を取り巻く環境は)これからも目まぐるしく変わっていくと思うのですが、その時代に対応した映画館の運営を目指してまいりたい

最後の上映 来場客から拍手

最後の上映でスクリーンに映し出されたのは…

「二十年間ありがとうございました 新生『宮崎キネマ』もよろしくお願いします」

運営法人 宮崎文化本舗・石田達也代表:
フィルムもなくなっちゃう。本当に、配信とかだけで映画が見られるような時代になるかもしれません。ですけど私たちは街中で、こういったことを続けていきたいと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。きょうは本当にありがとうございました

来場客から、温かい拍手が上がった。

来場客:
これがフィルムなのだと思いました。画質も柔らかくて、良かったです。楽しかった

来場客:
(これからも)宮崎ではなかなか上映できない作品を上映して、私たち映画ファンの目を肥やしてほしいと思います

空になった劇場に残っていたのは、劇場スタッフたち。

スタッフ:
(フィルム映写機は)オブジェで使えるね

スタッフ:
映写体験ワークショップとかいいですね

きょうで最後、でもどこか楽しそう

ーー最後の上映を終えていかがですか?

宮崎キネマ館支配人 喜田惇郎さん:
すごくお世話になったと思います。スクリーンにも、映写機にも、このいすにもですね。(これまで上映した)2400本、回数で言ったら何回になるんでしょうね、とんでもない数の映画を(上映してきた)。染み込んでるんじゃないかと思います。床にも、壁にもですね

多くの映画ファンに愛されてきた宮崎キネマ館は、現在の場所、そして、フィルム上映の歴史に幕を下ろし、新たな場所で映画の未来を映し続ける。

リニューアルオープン 次の世代に繋がる“劇場”に

そして4月2日、宮崎キネマ館は、宮崎市のアゲインビルからカリーノ駐車場横に移転し、リニューアルオープンした。

新たなキネマ館は、県産杉を使用した全国初の木造・木質の映画館で、映画ファンの幅広いリクエストに応えるため、これまでの2倍にあたる4スクリーン構成となっている。

新しく生まれ変わった宮崎キネマ館。お客さんの反応は…

来場客:
劇場の感じ、すごく素敵でした。木の香りがすごくよかった

来場客:
座席とか音質とか、画面がとても素晴らしく、良くなったと思いました。たくさん見に来ようと思っています

映画上映のデジタル化や動画配信サービスの流行、そして新型コロナウイルスの影響など、映画業界を取り巻く環境はこの20年で大きく変わった。

そんな中、宮崎キネマ館が移転に懸けた思いとは…

運営法人 宮崎文化本舗・石田達也代表
映画は今、非常に厳しい時代なのですが、逆にここで頑張って、次の世代に繋げるような劇場にしたいと思って。ちょっとした朗読劇とか、アコースティックのコンサートとかもできますし、映画をベースにして、幅広く市民の人たちが使えるような劇場になっていけばと思っています

(テレビ宮崎)