文政権のちぐはぐ対応に怒り

日本政府が原発処理水の海洋放出を決定したことを受け、韓国では反発が高まっています。方針の決定後、環境団体などが連日抗議集会を開催し、韓国メディアも「地球を汚し人類を殺す日本」などと批判。韓国政府は「処理水は危険」と断定し、文在寅大統領も国際海洋法裁判所への提訴を検討するよう指示しました。しかし実は、韓国政府の作業部会が2020年、「科学的に問題ない」との趣旨の報告書をまとめていたことが明らかになり、「支持率のために反日をしている」などと、国民からは怒りの声が殺到しています。反日一辺倒で、科学的な検証を認めない文政権のちぐはぐな対応が浮き彫りになり、混乱がますます広がっています。(ソウル支局 熱海)

韓国政府の作業部会が2020年にまとめた報告書
韓国政府の作業部会が2020年にまとめた報告書
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農村観光の成功例として人気スポットに

「澄んだ水と青い山こそ金山であり銀山だ(緑水青山就是金山銀山)」習近平国家主席が環境保護の大切さを説いた山村が人気の観光スポットとなっています。習主席は浙江省トップだった2005年にここ湖州市の村を訪問。環境破壊の原因となっていた工場を閉鎖した村はその後、農村観光の成功例として有名になりました。
見学に来ていた中学生達:「緑水青山就是金山銀山!」
この言葉も習主席への権力集中と共に、スローガンとして広まり、「環境保護に熱心な習主席」のイメージ作りに一役買っています。折しもアメリカ・バイデン政権の高官としては初めて、気候変動担当のケリー特使が中国入り。環境問題での協力をめざし本音の探り合いとなりそうです。(北京支局 岩佐)

「環境保護に熱心な習主席」のイメージ作りに一役買っている観光スポット
「環境保護に熱心な習主席」のイメージ作りに一役買っている観光スポット

日本の役割強化を求めるアメリカ

各国首脳に先駆けバイデン大統領と初めての日米首脳会談に臨む菅首相、アメリカの期待にどう応えるのかが問われます。会談に先立ち、議会に日米同盟の絆を称える決議を提案した前の駐日大使のハガティ上院議員は、日米関係の今後について、「アメリカの戦略的な同盟関係で日本は特に大きな重要性を持つ」「中国を巡っては日米ともに強い経済的利益を持っているが、安全保障面での懸念も共有している。中国に対して共に立ち上がるべきだ。」とFNNの単独インタビューに答えました。中国を念頭に「人権」や「安全保障」で同盟国日本の役割強化を求めるアメリカに対し、経済的な繋がりが深い中国を過度に刺激したくない日本。「日米同盟強化と中国への刺激回避」の狭間で、難しいかじ取りを迫られています。(ワシントン支局長 藤田)

前の駐日大使、ハガティ上院議員 お二人の娘さんと
前の駐日大使、ハガティ上院議員 お二人の娘さんと

オリンピック代表選手も「ヘイトクライム」被害

深刻さを増すアジア系に対する「ヘイトクライム」は、オリンピックの代表選手にも及びました。被害に遭ったのは、空手・形のアメリカ代表として東京オリンピックに出場予定の國米櫻選手です。ハワイ生まれでアメリカ国籍を持つ國米選手は、公園でトレーニング中に、近付いて来た男から突然、「負け犬、帰れ!」「チャイニーズ!」などと罵られました。
國米櫻選手:「彼は私がアメリカ代表の選手だと知りません。純粋に私の見た目で狙ったんだと思います。私はアメリカ代表であること、日系アメリカ人であることを誇りに思っています」
國米選手は「これ(ヘイトクライム)は誰にでも起こりえることで、お互いを思いやり、手を差し伸べなければならない」と訴えています。(ロサンゼルス支局長 益野)

被害に遭った國米櫻選手
被害に遭った國米櫻選手

「小分けケチャップ」が不足

パンデミックから1年、日常に戻りつつある今になって不足しているのが「小分けのケチャップ」です。アメリカのレストランでは、大きなケチャップのボトルが各テーブルに置かれるのが一般的ですが、ステイホームの1年間、多くの人が宅配やテイクアウトを利用。また、感染防止の観点からも個別包装ケチャップの需要が高まり、品不足に拍車をかけました。小分けケチャップの価格は1年前にくらべ13%も値上がりし、ケチャップ大手メーカーは増産して対応する方針ですが、需要に供給が追いつかない状態です。フレンチフライやバーガーなどアメリカンな食事に欠かせない調味料。その不足に、店からも悲鳴が上がっています。(ニューヨーク支局 中川)

宅配やテイクアウトが多く利用され、「小分けのケチャップ」が不足しているアメリカ
宅配やテイクアウトが多く利用され、「小分けのケチャップ」が不足しているアメリカ

樹齢150年~200年のナラの木で復元

世界に衝撃を与えたノートルダム大聖堂の火災から4月15日で2年となり、修復作業に向けた準備が着々と進められています。火災で焼け落ちた尖塔や屋根などは2000本のナラの木を使って、消失前の姿に復元されます。このうち尖塔に使われる木材1000本は3月末までに、フランス各地の森林で伐採されました。木材の多くは樹齢150年から200年で、中には250年に及ぶものもあるといいます。「フランスの心」とも呼ばれ、国民に愛されてきたノートルダム大聖堂。修復作業は2021年の終わり頃から始められ、フランス政府は、パリオリンピックが開催される2024年の一般公開を目指しています。(パリ支局長 山岸)

焼け落ちた尖塔や屋根などの復元に使用されるナラの木 多くは樹齢150年~200年の木を使用
焼け落ちた尖塔や屋根などの復元に使用されるナラの木 多くは樹齢150年~200年の木を使用

段階的に規制緩和

人気エリアのコベントガーデンでは屋外にたくさんのテーブル席が設置されました。国民の半数近くがワクチン接種を終えたイギリスでは、段階的な規制緩和が進められています。4月12日からは小売店や美容院の営業が再開され、飲食店も屋外営業のみ認められました。
市民:「すこし寒いけど気持ちいいね。友達と飲んでリラックスできるのはいいね」
レストラン経営者:「人々が戻ってガヤガヤしている。いきいきしてくるね。心温まる素晴らしい1日だ」
コベントガーデンの25のレストランは、車の通行を禁止するなどして屋外に500席を増設。1カ月先まで予約満杯となった店もあります。政府はワクチン接種を進め、5月以降に国外旅行の解禁、6月下旬までに大半の規制緩和をめざす方向です。(ロンドン支局プロデューサー シバリ)

笑顔が戻ったコベントガーデン
笑顔が戻ったコベントガーデン

伝統行事にも「冷や水」

タイでは、旧正月「ソンクラン」を迎えました。例年だと、水鉄砲などで水を掛け合いお祭り騒ぎとなりますが、2021年はそのような姿はありません。水掛け祭りとしても知られるソンクランですが、新型コロナウイルスの感染防止のため水を掛け合う行為や人が集まる行為は禁止となりました。また、4月に入り、新型コロナウイルスの感染が急拡大したため、帰省や旅行など県をまたいだ移動が規制され、経済効果も予想の半分に留まる見通しです。タイの市民にとって、家族と水入らずで楽しむ貴重な機会でもあるソンクラン。新型コロナはそんな伝統行事にも、「冷や水」を浴びせる形となってしまいました。(バンコク支局 池谷)

例年だと水鉄砲などで水を掛け合い賑わう旧正月「ソンクラン」
例年だと水鉄砲などで水を掛け合い賑わう旧正月「ソンクラン」

帝政ロシア時代の雰囲気を残す店

創業120年のこちらの老舗高級スーパーが閉店の危機に瀕しています。店の中に入ると、棚には商品が、ほとんどありません。モスクワ中心部にある「エリセーエフスキー」は1901年に創業。シャンデリアなど豪華な内装で知られ、日本のガイドブックにも必ず載っている有名店です。しかし、新型コロナウイルスの影響で観光客が激減し、売り上げが低迷。商品の仕入れもストップし、4月11日に遂に閉店に追い込まれました。そこへ、モスクワ市政府が救いの手を差し伸べ、市の直営にすると明言しましたが、再オープンのメドは立っていません。帝政ロシア時代の歴史と雰囲気を今も残し、モスクワ市民に愛された名店は、奇跡の復活に望みを託しています。(モスクワ支局長 関根)

1901年に創業の「エリセーエフスキー」が閉店 奇跡の復活なるか・・・
1901年に創業の「エリセーエフスキー」が閉店 奇跡の復活なるか・・・

ウイルスの発生源は謎のまま

新型コロナウイルスの震源地とされる武漢でロックダウンが解除されて1年がたち、当時の状況をまとめたドキュメンタリーが放送されました。番組では5回に渡り、コロナ発生当初からの医療現場や街の様子を振り返り、人々の苦しみや悲しみの記憶を描きました。一方で、初期に多くの感染者が出た海鮮市場にウイルスが入った経緯は確定していないと説明、ウィルス研究所からの流出説については、「その可能性は極めて低い」とするWHO調査官の発言を引用するにとどまりました。また、研究所の関係者がいわれのない中傷を受けたとして、取材中に涙するシーンも盛り込まれました。日常を取り戻した武漢ですが、ウイルスの発生源などまだ多くの謎が残されたままです。(上海支局長 森)

ドキュメンタリー番組の一場面(看看新聞より)
ドキュメンタリー番組の一場面(看看新聞より)

感染拡大の中で迎えた「ラマダン」

イスラム教の断食月である「ラマダン」が始まり、コロナ感染者がさらに増えることを恐れるトルコ政府は、規制を一層強化して臨んでいます。トルコでは1日の感染者が6万人を超え、1カ月前の4倍以上となり、そのうち85%が変異ウイルスとされています。そのため、政府は平日の外出可能な時間を2時間早めて午後7時までにしたり、受験生以外の全ての生徒の対面授業を再び禁止しました。エルドアン大統領は、「状況が改善しなければさらに厳しい措置を取る」と警告しています。一方で、多くの人が集まるモスクでの金曜礼拝は認められていて、トルコは感染拡大の懸念を拭えないまま、コロナ禍での2度目のラマダンを迎えています。(イスタンブール支局長 清水)

感染拡大が懸念される中、モスクでの金曜礼拝は認められている
感染拡大が懸念される中、モスクでの金曜礼拝は認められている

【取材:FNN海外特派員取材班】

国際取材部
国際取材部



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