コロナ禍で社会問題にもなっている”生理の貧困”。
この問題について、ある企業が女性の負担を軽減するために、商業施設や学校などの個室トイレに生理用ナプキンを常備し、無料で提供するサービスを開発した。

提供:オイテル株式会社
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それが、オイテル株式会社の「Free pad dispenser OiTr(オイテル)」

生理のある人が強いられているさまざまな負担のうち、生理用品を購入する経済的負担と持ち歩く労力を幾分まかなえないか、という思いから生まれたサービスだという。
 

提供:オイテル株式会社

利用方法は、機械に提示されたQRコードからアプリをダウンロード。アプリを起動してスマホを機械に近づけると、生理用ナプキンを無料で取り出すことができる。

使用している生理用ナプキンは、国内大手メーカーの製品「エリス コンパクトガード」を使用。今後はスマホに限らず他の方法でも利用できるよう計画中とのこと。
商業施設での実証テストを3月に終え、今年の夏ごろのサービス開始を目指しているという。

提供:オイテル株式会社
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確かに、女性一人一人体質は違うが毎月生理があり、その度に生理用ナプキンを購入、持ち歩かなければいけない。この経済的負担や労力が少しでも減るだけで、生理によって落ち込む気分が明るくなるだろう。

この画期的なサービスは、なぜ無料で生理用品を提供することができるのだろうか?「OiTr」についてオイテル株式会社の担当者に話を聞いた。

女性の健康問題が男女格差にも影響

ーー「OiTr(オイテル)」について教えて?

「Free pad dispenser OiTr」は、ショッピングモール・オフィス・学校・公共施設などの個室トイレに、生理用ナプキンを常備し無料で提供するサービスです。

液晶モニターが付属し、動画広告配信を行なっている広告メディア(OiTr ads)として機能しており、OiTrの配布する生理用ナプキンは、広告出稿企業の広告費から賄うことで、無料で提供できる仕組みとなります。

提供:オイテル株式会社

ーー開発の経緯を教えて

「社会課題を解決する」というテーマからのスタートでした。それを実現するためにビジョンやミッションを掲げ、女性特有の健康課題は女性だけで済まされるものではなく、社会課題として考えなければならない十分な理由があると認識しています。

女性の社会進出が増加し、女性たちのライフスタイルが大きく変化したことで、弊害が起こっています。この女性の社会進出の背景には、少子高齢化による労働人口の減少によるものがあります。その弊害となっているのが、女性特有の健康課題です。

「女性だからしかたない」というこれまでの考え方をあたりまえとして受け止めていたことは、これからのよりよい社会を創出するための、決してよいあたりまえではない。私たちは、女性特有の健康問題に抱える様々な負担を軽減することで、結果、社会課題の「ジェンダーギャップ」といった不均衡の是正に寄与できるのではと思いプロジェクトを始めました。

男女格差の背景には、女性特有の健康問題における心や体の悩みだけでなく、さらには経済的な悩みが関与しているということ。さらに、企画を掘り下げていくことで、生理に伴う心や体、経済的な負担軽減することは、格差社会における女性たちのQOLの向上につながると考えました。

その矢先に、「トイレットペーパーがトイレに常備されているのに、なぜ、生理用品はないのか?」というネットの声に出会い、この声のきっかけにより「これからのよいあたりまえ」という弊社にとっての事業を考える“これからのモノサシ”となったのです。

そして、OiTrのサービスを生理に伴う負担軽減に役立ていただき、ジェンダーギャップという社会課題の不均衡の是正に寄与したいと「Free pad dispenser OiTr」が誕生しました。

提供:オイテル株式会社

ーー「生理の貧困問題」についてどう思う?

OiTrのサービスは「ジェンダーギャップという社会課題の不均衡の是正に寄与したい」という思いからスタートした事業であるので、「生理の貧困」について深く語ることはできませんが、生理のある人のすべてに同じように生理用品の負担(生涯で約50万の負担)があること考えると、賃金格差がある社会において負担も大きいかと考えます。

また、このコロナ禍においてアルバイトができなくなった学生にとっては経済的負担があるのは事実かと思います。
経済的負担の軽減というところで、OiTrのサービスが今回の「生理の貧困」の解決策の一つとして受け止めていただいたと思っております。

提供:オイテル株式会社

目標は「OiTrの存在を感じなくなること」

ーー開発で大変だったことはある?

正直、すべてですね。メンバーの一人も機器のプロダクトの開発に携わったこともなかったので。
強いて言えば、個包装された生理用ナプキンを1枚ずつ排出する機能です。

提供:オイテル株式会社

ーーこだわった部分はどこ?

個人と企業という2つの異なるユーザーがお互いに経済的価値を得ながら、社会課題の解決を実現を可能とするエコシステムです。


ーー完成した時どう思った?

プロトタイプができたときは、本当にメンバー一同感動しました。
それまでは不安だらけでした(笑)
その後、実証テスト用のテスト機ができましたが、不安はさらに続きました(笑)

提供:オイテル株式会社

ーー実証テストを行ってどうだった?

いくつか課題点はみつかりましたが、大きなトラブルもなく順調に稼働できました。
利用者に回答いただきましたアンケートには、たくさんの喜びや応援のコメントをいただくことができたことは私たちの大きな励みとなりました。

まだ、リリースに至っていないので偉そうなことは申し上げられませんが、利用者の声からも、OiTrが世の中に広がれば、生理の伴う負担軽減に役立ち、女性たちのQOLの向上となるサービスになれると実感することができました。

提供:オイテル株式会社

ーーいつから利用することができる?

ららぽーと富士見(2021年2月24日~3月23日)にて実証テストを終えたところで、現在はリリースに向けて準備中です。

2021年夏頃にショッピングモール・オフィス・学校・公共施設など、まずは、不特定多数の利用者のいる商業施設を中心に展開していく予定です。


ーー「OiTr」は今後どうなって欲しい?

利用者が「OiTrを意識しなくなるような存在になること」です。
つまり、OiTrがトイレに設置されていること(生理用品が無料で常備されたこと)があたりまえの社会になっていることになるからです。


現在、女性の生理は経済的・精神的にも負担が多いが、いつかその負担が軽くなると考えるだけで、気持ちが楽になるだろう。このサービスが、トイレットペーパーのように欲しい時に手に入る当たり前の存在になる未来が楽しみである。