「株式非公開化」の要求も

東芝がイギリスの投資ファンドなどから買収の提案を受けていることが明らかになった。

ファンド側は、株式を非公開化したいとする考えを伝えているとみられ、日本を代表する電機メーカーが外資ファンドの買収対象になるという異例の事態だ。

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関係者によると、東芝が買収の提案を受けているのは、イギリスに本拠を置く投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」などで、CVC側は東芝の株式を非公開化して、経営判断を速めたいとの考え方を伝えているとみられる。

不正会計問題やアメリカの原発子会社の巨額損失で経営危機に陥った東芝は、半導体メモリー事業を分社化して売却するなど再建を進めてきたが、2020年の株主総会の運営などをめぐり、大株主となっているシンガポールの別の投資ファンドなどと対立が続いている。

東芝は4月7日に取締役会を開いて議論したが、政府は日本の安全保障に関わる企業に外国人投資家が出資する際の規制を強化していて、原子力事業を抱える東芝を買収する場合、政府側との調整が行われることになる。

“モノを作れるIT企業”という強み

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、電機メーカーの動向に詳しい早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。株式を非公開化することによって経営判断を速めたい、というファンド側の狙いについてどうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
株式を上場していると市場から資金を集めやすいですが、株主の短期的利益を生み出したいという要求に対して企業は長期的、持続的に利益を出していこうと、相反することが起きます。

そうした場合、株式を非公開にすれば経営者の長期的な視点から東芝の強みになるような戦略、技術開発にじっくり取り組むことができるようになるわけです。

東芝はすでに家電、医療、半導体を手放していて、何が東芝の価値なのかと思うかもしれませんが、東芝に海外から投資のオファーがあったということ自体が、東芝の持つ技術や現場の力に価値があることを示しているんだと思います。

三田友梨佳キャスター:
価値のある現場の力、具体的にはどういったところなんでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
東芝は経営不振から技術力が低下したと思う方も多くいると思いますが、東芝の不振の原因は技術そのものではなくて、経営や組織の戦略の問題でした。

むしろ技術力は現在も高くて、東芝の主力事業である産業の分野、エネルギー以外にも物流や交通の自動化などのところでやはり技術的な強みを持っていて、それは強い現場として残っていると思います。

三田友梨佳キャスター:
高い技術力を海外も評価しているということですね。

提供:東芝

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
例えば成功している会社としてGAFAに代表されるような巨大IT企業というのは、ソフトウェア技術は持っているんですが、実際にモノを作ることはできません。

東芝は、ITやAIのすぐれた技術を持つIT企業という顔と、物流や交通など社会インフラのハードウェアの力という2つの顔を持っていて、モノを作れるIT企業というのが東芝の強みだと思います。

GAFAなどはそういったところが作れないので、誰かに依頼しないといけない。しかし、東芝は自分たちで作ることができる。技術を過信してはいけないが、技術を持っていることは強みになるので、現場の強みを見つめ直すことが、東芝だけでなく日本企業全体の復活のヒントになるかもしれません。

三田友梨佳キャスター:
東芝については原発などエネルギー政策を担っていたり、重要インフラに関わる事業などを実施しているだけに今後の展開が注目されます。

(「Live News α」4月7日放送分)