流通DXで変わるコーヒー豆の取引

世界初となるコーヒーのオンラインプラットフォーム「TYPICA(ティピカ)」が6日、本格的にサービスをスタートした。

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デジタル化が進み、携帯などからでも簡単にコーヒー豆を出品できる今、このプラットフォームを利用すれば、全国各地の焙煎業者「ロースター」は世界中の生産者からコーヒーの生豆を直接購入できるようになる。

TYPICAを利用してペルーから仕入れたコーヒーを味わってみると...。

今湊敬樹キャスター:
べリーのような甘い香りがします。
酸味が若干ありますけれど、飲んだあと非常に軽やかです。飲みやすいです。

麻袋1つ分、60kgから購入可能に

リーブスコーヒーロースターズ・石井康雄さん:
今までは、生豆を買う時にクオリティーの高いコーヒーは有名なコーヒーロースターに行っちゃったりとか、ブランド力があるコーヒーロースターに行っちゃうのが基本でした。
TYPICAができてからは、ロースターも平等に良い豆が行き渡るようになった。

これまでの取引は、コンテナ1つ分、18トンが基本のため、中小規模のロースターが品質のいいコーヒー豆を仕入れることは簡単なことではなかった。

しかし、TYPICAを利用すると世界中の生産者から麻袋1つ分、60kgから購入することが可能になる。

また、直接取引するため、ロースターに届くまでの時間も短くなり、鮮度の高いコーヒーを提供することができる。

世界のコーヒー消費量は、年間に22億杯といわれているが、新型コロナウイルスにより在宅時間が増えたことで豆の販売量が増加し、さらに市場は拡大中。

ティピカ・後藤将代表取締役:
エチオピアの山奥で3G回線で普通にやりとりしている生産者もたくさんいます。
今35億人以上がデバイスでつながっていて、それが飛躍的に伸びているのでさまざまな業界でDXが起きていて、その波がちょうど今コーヒー生産者にもきている。

生産者と顧客を直接結び、高付加価値商品販売へ

三田友梨佳キャスター:
バイヤーとして多くの商品の買い付けや開発に携わってきたマーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
デジタルを活用して生産者と顧客をダイレクトに結ぶ流通DX、デジタルトランスフォーメーション、いかがですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
生産者は仲買や問屋など中間業者を利用した従来の取り引きにプラスして、取り引きの規模や品質にあわせて顧客と直接できる流通DXという選択肢が増えたことは素晴らしいと思います。

ただし、大規模な取引だったり、目利き力が必要になるものに関しては効率的な中間業者が引き続き大きな役割を担うのではないかと思います。

一方で、売り手と買い手がマッチング機能を持つ流通DXは家族経営など小規模な生産者が小ロットで取り引きが可能になったり、課題となっている販売先の開拓が、プラットフォームとなる流通DXを通じて出来るのも大きなポイントになると考えます。

輸送などの問題はありますが、付加価値の高い商品を高い価格で世界中にECをもって販売できるのは、例えば日本の付加価値の高い農産物は世界に広まっていくことに期待できますし、可能性を感じます。

三田キャスター:
直接取引で注目されている先行例はありますか?

渡辺広明氏:
ECではないんですが、青森の漁師の方が朝水揚げした水産物を午後からお店で直接販売するリアル小売業でも取り引きが広がっています。

例えば、今回のような流通DXが広がっていけば、青森の美味しい農産物が世界に広がっていくと考えると非常にワクワクしてきます。

三田キャスター:
私たち消費者にとっても生産者の顔が見えると安心できますよね。

渡辺広明氏:
直接取引は生産者に対して消費者の声がダイレクトに届くので、生産者の仕事のやり甲斐や改善に繋がると思います。

そこで大事になるのが、生産から流通までのトレーサビリティー、顧客の安心を担保することが重要と考えます。

今後は商品の価値があったり、社会的意義がクリアされた商品がますます大きく支持される時代になると考えます。

三田キャスター:
個人ごとの趣味嗜好が細分化されている今、消費者のニーズの変化を柔軟に捉えて直接取引していくことに大きなメリットがあるように思えます。

これからの小売業はDX、デジタルトランスフォーメーションによってより消費者に寄り添っていくことが成長の一つのカギと言えるのかもしれません。

(「Live News α」4月6日放送分)