日米首脳会談成功への「2つのカギ」

4月17日に迫った日米首脳会談。バイデン大統領にとっては初めて海外首脳をアメリカに招いて会談する機会となり、世界中から注目されている。

"ヨシ・ジョー会談"成功へのカギはどこにあるのだろうか?


フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
今回の訪米はコロナの事情もあって異例づくしなんです。随行の人数は普段より2~3割少ない約80人に絞っており、ワクチン接種は首相も随行者も記者も含めて事前に2回接種していて、PCR検査も日本から出国する時、そしてアメリカから帰ってくる時、日本に入国する時の合計3回しっかり行うという体制になっているのです。

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また、訪米の際は豪華な昼食会や夕食会を行うのが恒例になっているものの、今回はコロナを踏まえて大規模な夕食会は行わない見通しとなっており、実務的な訪米となりそうな見込みとなっている。


フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
こうした中、菅首相にとっての最初の大きな課題が、安倍前総理とトランプ前大統領のような個人的な信頼関係をバイデン大統領と築けるかどうかなんです。そのための2つの鍵を、安倍前首相を例に見てみます。

1つ目のカギは「呼び方」

安倍首相(当時):
ドナルドとの非常に親密な個人的信頼関係により…
ドナルドとメラニア夫人に…
ドナルド、ありがとう。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
菅首相もバイデン大統領と「ヨシ・ジョー」とファーストネームと呼び合おうと提案して親密な関係を築こうとしているのですね。ファーストネームで呼び合うとなんだかちょっと親密な関係を築けそうな感じがしますよね。

明治大学・齋藤孝教授:
これは距離感を変えるのにすごく大きいと思います。みんながファーストネームで呼び合っているのに自分だけミスター・サイトウって言われると、なんかちょっと疎外されてる感じを持ってしまう。距離感が日本とはちょっと違うと思うんです。大学でも呼ばれたいニックネームを自分で申告するようにしてもらって呼んでもらっていると、一気にクラスの距離が縮まりますね。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
コミュニケーションで大事なポイントになってくると思います。


2つ目のカギは「プレゼント」

2016年、安倍前首相はトランプ元大統領との初会談で、金色に輝くゴルフクラブをプレゼント。2002年には小泉純一郎元首相も、ブッシュ元大統領に似顔絵をプレゼントしていた。

他にも、破魔矢や日本酒、金のボールペンなど様々なプレゼントが贈られているが…

加藤綾子キャスター:
今回は何ですかね。奥様も巻き込んだ方がいいんじゃないかなと思ったんですよ。奥様は先生ですよね、日本製のチョークとかどうですかね。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
取材によると、今回菅首相は江戸切子をバイデンさんにプレゼントするんじゃないかという話があるんですよ。江戸切子は日本の伝統工芸でして、日本の文化を身近に感じてほしいという思いがあってプレゼントに選ばれたそうなんです。
また、プレゼントはもう1つ用意されているそうです。日本とアメリカの国旗を模したマークの入ったマスクを友情の証ということで贈るというような話もあるそうです。

中国"名指し"で批判するかに注目

今回の会談の主な議題には、

・日米同盟の強化
・中国、北朝鮮への対応
・気候変動


などのテーマが挙がっており、その中で特に注目されているのが、海洋進出を進める中国への対応だ。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
一番のポイントは、中国を名指しで批判して日米の共同文書に明記するかどうかというところなのです。

加藤綾子キャスター:
米中って今対立しているじゃないですか。日本は中国との関係において名指しで批判というのはちょっと躊躇する部分があるんじゃないですか。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
そうなんです。日本と中国の経済の関係はとても大事で、今回、日米の首脳間で中国について明記すれば、中国が激怒することも必至で躊躇してしまう面もあるのです。
実際に、先日開催された外務省と防衛省の閣僚会議の会議では、共同発表文の中で中国を名指しで批判しました。そして中国が内政問題だとして他国の関与を嫌っている台湾海峡の安定であったり、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題なども明記した結果、中国は猛反発したんです。

フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
ただ、猛反発したからといって今回中国に配慮すれば、中国に強硬な姿勢を取っているバイデン政権とのすきま風が吹いてしまう可能性もありまして、沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題などで中国に付け入る隙を与えかねないといった指摘もあるんです。
その結果、取材によると今回はアメリカと歩調を合わせて中国への批判を名指しで明記し、台湾などについても共同文書に明記することになりそうです。


ちなみに「台湾」について日米首脳で明記する場合、中国との国交正常化前の1969年の、佐藤元首相とニクソン元大統領の会談以来となり、極めて異例のこととなる。


フジテレビ政治部・亀岡晃伸記者:
さらに菅首相が日本に成果として持ち帰りたいのが、東京オリンピック・パラリンピックへの全面支援と選手団の派遣の確約です。また、北朝鮮による拉致問題の解決への全面支援も取り付け、帰国後に被害者家族に報告したいところかもしれません。

(「イット!」4月16日放送分より)