給食や銭湯で定番の飲み物といえば、瓶タイプの牛乳を思い浮かべる人も多いはず。そんな人には、ショッキングなニュースが飛び込んできた。

3月で「瓶製品」の製造・販売を終了

瓶タイプの牛乳を取り扱う「小岩井乳業」(東京・中野区)が3月25日、3月いっぱいで瓶製品の製造・販売を終了し、紙パックでの販売に切り替えると発表したのだ。

紙パックに切り替わる商品の一例(提供:小岩井乳業)
紙パックに切り替わる商品の一例(提供:小岩井乳業)
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そして公式ウェブサイトにはこのように、感謝の言葉がつづられている。

平素は小岩井宅配サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
さて、この度、2021年3月をもちまして「ビン商品」の製造および販売を終了いたします。
当商品をご愛顧いただいたお客様におかれましては、あらためて厚く御礼申しあげます。
2021年4月からは「新容器ミニパック」に生まれかわります。小さいお子さまや高齢者の方にうれしい小型サイズ飲み切り150mlの紙パックで、これまで通り小岩井工場から直送でお届けいたします。
今後とも、弊社商品につきまして、一層のご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。
なお、「新容器ミニパック」につきましては、2021年4月1日以降、弊社ホームページ「宅配サービス」にてご案内申しあげます。

小岩井乳業の公式ウェブサイトより
小岩井乳業の公式ウェブサイトより

「至福の時間よさようなら」嘆きの声が続出

新容器で発売はされるようなので一安心だが、瓶の牛乳には何とも言えない魅力があったのも事実。瓶の重量感や冷蔵庫から取り出したときの冷たさ、ふたを開けてぐいっと飲んだときの風情を思うと、少し寂しい気持ちにもなる。

こうした風情はもう味わえないのか(画像はイメージ)
こうした風情はもう味わえないのか(画像はイメージ)

今回の発表を受け、Twitterユーザーからは「牛乳にするかコーヒー牛乳にするかで悩む至福の時間よさようなら」などと、嘆きの声が続出。小岩井乳業のフルーツ牛乳「小岩井フルーツ」が2020年10月に終売となったことに触れて、「少し前にフルーツ牛乳がなくなるってニュースは見たけど、全部なくなっちゃうのかぁぁぁ」と悲しむ人もいた。

事前に知っていたという、東京・杉並区の銭湯「井草湯」の公式アカウントは、「とても残念なお知らせ 小岩井乳業さんの牛乳類、瓶での提供が3月を持って終了すると聞きました。瓶で飲むコーヒー牛乳が大好きなので、とても残念です…」と3月初旬に投稿している。

反響の大きさからも、多くの人から愛されていることが分かったが、なぜこのタイミングで瓶から紙パックへの移行を決めたのだろうか。小岩井乳業の担当者に聞いてみた。

需要減と製造ラインの老朽化のため

ーー瓶製品の販売終了を決めた理由を教えて。

商品の需要が年々少なくなっていることが大きな理由です。それに加えて、商品の製造ラインが老朽化して更新が必要になり、新しい容器で提供することになりました。

今回も多くの人から惜しむ声をいただいたように、お客さまの声も大切にしなければとは考えましたが、品質やコスト面などを検討した結果、瓶での製造販売を終えることにしました。今のコロナ禍が影響したわけではありません。
 

ーー瓶製品の取扱量はどのくらい減った?

計量的な数字は公開していませんが、近年はずっとダウントレンドです。当社は2020年10月に「フルーツ牛乳」の販売を終了し、そのときも話題になりました。ですがその後も、瓶の商品を手に取るお客さまは減っています。
 

ーー新容器への移行の対象となるのはどの製品?

基本的には、瓶で提供している製品すべてです。
 

ーー紙パックになっても銭湯などには置かれる?

瓶の牛乳を置かれている銭湯は多いですね。ただ、紙パックになってからの扱いをどうするかは販売店と取引先とのお話になるので、当社ではコントロールできません。

瓶の牛乳を置く銭湯は多かったという(画像はイメージ)
瓶の牛乳を置く銭湯は多かったという(画像はイメージ)

愛飲いただいたみなさまに心から感謝申し上げます

ーー新容器の紙パックはどんな特徴がある?

当社の宅配サービスを利用されるのは、中高年のお客さまが多いです。そこを考えて、鮮度を維持したまま飲み切れるよう、150mlのサイズにしました。また、製造ラインが新しくなることで、全商品が岩手・雫石町にある「小岩井工場」から直送されることになります。お客さまには新鮮な状態で、味わっていただけると思います。

全商品が小岩井工場からの直送になるという(小岩井乳業ウェブサイトより)
全商品が小岩井工場からの直送になるという(小岩井乳業ウェブサイトより)

ーーこれまで使われていた瓶はどうなる?

具体的な使い道がないので、残念ですが廃棄になると思います。求める人にお渡しなどができればいいのですが、そうしたことも難しいと思われます。
 

ーー残念などと反響を呼んでいるが、受け止めは?

フルーツ牛乳の終売時もそうでしたが、惜しむ声が多く、愛飲いただいたみなさまに心から感謝申し上げます。新容器となりますが、お客さまに満足いただけるような商品を、今後も提供していきたいと考えております。

 

小岩井乳業が瓶牛乳の製造販売を終えるのは、需要減と製造ラインの見直しが重なった結果だった。時代の流れで仕方ないのかもしれないが、慣れ親しんだものがなくなっていくのはやはり寂しい。近場で見かけた人は思い出を振り返りつつ、味わってみてはいかがだろうか。
 

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プライムオンライン編集部
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