福岡県内で相次ぐ子どもの死亡事件。幼い7人の命が奪われた。

1.無理心中か?母親と子ども3人死亡~田川市~

3月14日、福岡・田川市伊加利の駐車場に止められた車の中から、37歳の母親と11歳、7歳、2歳の3きょうだいが意識不明の状態で見つかり、その場で死亡が確認された。

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死因はいずれも急性一酸化中毒で、車内には使用済みの練炭と子育ての苦労や経済的な不安などを綴った遺書が書き残されていた。

死亡した母親を巡っては、2019年、田川児童相談所に「母親が長男に殴る蹴るなどの虐待をした」という情報が寄せられ、複数回、指導が行われていた。

この一家は、市や児童相談所などの支援対象となっていて、定期的な見守りも行われていたという。

近所の住民:
お母さんが車を洗っている時に、子どもさんが泣いていても知らん顔して。車を洗うのをやめて抱いてやったらいいのにねと話していたけど

近所の住民:
子どもさんに怒る、怒鳴り声とかが結構聞こえていたから。小さい子どもがいたらイライラするのは普通だしね。1人で抱え込み過ぎたのかな

警察によると、2020年11月には母親が、別居中の父親との電話などで「死ね」などと、激しい口論となっていたという。
親同士のトラブルを子どもが目撃するケースは、心理的虐待にあたることから父親が警察に相談。
警察は自宅を訪問して母親を注意し、子どもたちに影響を与える恐れがあるとして、児童相談所に通告していた。
しかし、児童相談所は虐待の形跡はみられず、問題は無いとして、電話での指導にとどめたということだ。

田川児童相談所は「指導した後は問題なく、適切に対応してきたと考えているが、子どもたちを含む4人が亡くなったことについては厳粛に受け止めている」と話している。

2.虐待受けていた児童死亡、きょうだい2人も犠牲に~飯塚市ほか~

2月25日には、飯塚市の県営団地で小学3年生、田中大翔くんが死亡しているのが見つかった。

翌日の夜には3歳と2歳のきょうだい2人も、飯塚市から遠く離れた鹿児島市のホテルで、遺体で見つかり、警察は同じホテルの部屋から飛び降りて大けがをした父親が無理心中を図ろうとしたとみて捜査している。

飯塚市によると大翔くんは、過去に父親から暴行を受けていたとみられ、警察から児童相談所に4回、通告されていた。
また2020年11月と12月に夫婦げんかで警察が出動していて、市は子どもたちが心配だと感じたものの、連絡を受けた児童相談所は子どもたちを預かるなどの対応はしなかった。

3.5歳男児餓死事件~篠栗町~

篠栗町の餓死事件では、いわゆるママ友の知人に洗脳されていたとされる母親から十分な食事を与えられず、2020年4月、当時5歳だった碇翔士郎ちゃんが死亡。

3月2日に母親と知人が逮捕されたことで事件が発覚した。

翔士郎ちゃんの死亡時の体重は、同年代の平均の半分程度、約10キロまでやせ細っていた。

一家は、町や児童相談所などの見守り対象で、「子どもを残して外出しているようだ」などとして虐待の疑いで警察から児童相談所に通告されていたほか、母親の親族から安否を心配する相談も複数回あった。

しかし、児童相談所による改めての家庭訪問や立ち入り調査などの対応は取られていなかった。
この事件を巡っては、翔士郎ちゃんの祖母が児童相談所に何度も「引き取りたい」などと相談していたにも関わらず、具体的な対策は講じられることはなかった。

専門家「子どもが死ぬかもという危機感が甘くなっていたのでは」

相次ぐ子どもの死亡事件に、児童虐待問題に詳しい専門家は…

西南学院大学 安部教授:
いくつもの事件が起こっているが、それぞれは別々の要因だと思う。しかし、いままで何年も県内で死亡事件がなかったのが、心中事案も含めてここ1カ月の間に起きているのは、深刻な状況と考えられる

警察から虐待疑いの通告を受けても防ぐことができなかった3つの死亡事件。
安部教授は、児童相談所の対応にも問題があったのではないかと指摘する。

西南学院大学 安部教授:
通告を受けた段階で、まさか死ぬとは思わなかった、というか、一つ一つの通報の内容を軽度、中度の虐待と認識していたと思われる。
虐待の場合は、最悪、子どもが死ぬかもしれないという危機感を本来、児童相談所は持っていると思うが、どうしてもそこが甘くなっていたのかもしれない

安部教授は、児童虐待に絡む死亡事件を減らすには、子育て支援の充実が不可欠だと警鐘を鳴らす。

西南学院大学 安部教授:
子育てを孤立させないということが大事。遠回りかもしれないが、生活支援、心理的支援、追い詰められたときにSOSが出せる。気軽に助けが求められる社会にならなければ(死亡事案を含む)虐待は減らない

(テレビ西日本)