今日1番知りたいニュースを、しっかり深堀りしてお伝えするコーナー「ソレが知りたい」。
3月17日のテーマは「緊急事態宣言解除の方針を固める」。

感染者数”下げ止まり”ではなく”再増加”

佐々木恭子アナウンサー:
3月17日、東京都の新規感染者数は409人になりました。400人を超えたのは2月18日以来、約1か月ぶりです

この記事の画像(12枚)

加藤綾子キャスター:
日本感染症学会専門医で日比谷クリニックの加藤先生、ここに来て東京都の新規感染者数が400人を超えて増加傾向が続いています。
この状況はどう分析されますか?

感染症専門医・加藤哲朗先生:
3月10日が340人ということで、20%ぐらい増しているということになるので、下げ止まりというよりは、むしろ”再上昇””再増加”の傾向が見られるという形になると思います。
実際2週間前の状況を反映していることを考えると、3月3日頃つまり3月が見えてきて「何となく大丈夫だろう」という空気があった頃かもしれないので、そういったことがこの結果に結びついている可能性はあるかもしれないです

加藤綾子キャスター:
解除されるかもというので、少し後緩みが出始めた時期だったなと思いますね

佐々木恭子アナウンサー:
そうですね、今のお話にありましたが”再び増加”という傾向の中で、政府は1都3県に出されている緊急事態宣言について、期限となっている3月21日で解除する方針を固めているんです。

では実際、現状どうなっているのか。
まず、1週間平均の感染者の直近の週と前の週を比較してみると、依然として東京都は1.10倍です。そして埼玉県は1.15倍と増加傾向にはあるのです。

そして、解除の理由の一つとなっている病床使用率を見ると、ステージ4というのは病床使用率・重症病床の使用率が50%以上ですが、そこを上回っているところはありません。どこも下回っています。
ただ。依然としてほぼステージ3の状況です

加藤綾子キャスター:
加藤先生、この新規感染者数は増えているけれど、病床使用率が全体で見るとほぼステージ3の状態。政府の緊急事態宣言の解除は、この状態だと問題ないと考えていいのでしょうか?

感染症専門医・加藤哲朗先生:
先週であれば、横ばいの傾向と病床使用率の改善があったということと、緊急事態宣言の効果がちょっと薄れてきているという話もあったので、おそらく解除に向けて動き出したということもあると思います。
しかし、3月17日の数字、それから変異株がかなり増えているかもしれないという情報を考えると、この額面通りこれ通りに進めていいかどうかというのも非常に難しいところもあります。
その可否判断は難しいといいますか、慎重に検討すべきということは言えると思います

加藤綾子キャスター:
解除となると、その言葉だけが独り歩きしそうで怖いですよね

佐々木恭子アナウンサー:
気の緩みに繋がらないといいなと本当に思います。
では解除となった場合、政府は新たにどんな対策を打つのか。
まずは、高齢者施設や街頭などで検査の拡大をしていくことを打ち出しています。
さらに、変異株の検査も現在の4倍に拡大していこうと言うのが、新たにやっていく拡大防止策なんです

緊急事態宣言の強みが薄れている

佐々木恭子アナウンサー:
ただ、こんな中で大変心配なデータもあります。
筑波大学の倉橋節也教授が発表した「緊急事態宣言解除後、どのように感染者数が増加していくか」というシミュレーションです。
このシミュレーションは、高齢者優先で4月15日あたりからワクチンの接種が始まるということも条件として加味しています。
そうすると、3月21日解除されるところでだいたい200人の感染者ということを仮に予測します。

すると、宣言解除するとやはり徐々に増えていって、5月の頭には1日で1500人近くの感染者数になるのではという予測なのです。
ただこの後は、ワクチンの接種の効果が効いてきてだんだんと下がっていくであろう。
ただ、このシミュレーションは変異株がどうなっていくのかといったことのデータは考慮されていない。そういった条件での予測です

加藤綾子キャスター:
3月17日なので、3月21日まであと4日後に200人という数字が気になります。
加藤先生、この4月12日からのワクチン次第だと思うのですが、変異ウイルスの状況次第でこのシミュレーションも変わってきますよね

感染症専門医・加藤哲朗先生:
ワクチンは、非常に有効性が高いと言う報告が増えているのでかなり期待したい。早急に普及されることが望まれるわけです。
一方、変異株の一部の種類にはワクチンの効果が少ないということが言われているので、今回変異株の検査を増やすということは、正確にどんな変異株がどれくらい広がっているか知る上では、非常に重要な情報になります。
仮に、やはり変異株が増えているとなると、実際に入院する症例も増えてきることも考えられます。
そうすると、病床利用率もさらに増えやすいこともあるので、結果によっては本当に今後の展開も大きく変わる可能性があるということをぜひご理解いただきたいと思います

加藤綾子キャスター:
変化株の心配もありますし、お年寄りのワクチン接種が順調に進むのかという心配がありますけど、住田さんはどうご覧になりますか

住田裕子弁護士:
今回の解除するという方向に関して言うと、いろいろ心配なデータがあるけれど、飲食店や旅行関係はギリギリなんですよ。
そしてこのままダラダラ続けても、もうショックが少なくなってしまっていて、意味が少ないんじゃないかというふうに感じられます。
多分今後の政策としては、新しい特措法の改正で蔓延防止・重点措置ということで、きめ細かく地域に即した、実情に応じた対策。例えば、酒類を提供する飲食店が集中する錦糸町でモニタリングをするとか、危ないところをちゃんと的を絞ってやっていくことによって、ある程度「ここが危険なんだ」という具体的な私たちに対する警鐘を鳴らしてもらうことによって、気を引き締めていくということが大事かもしれません

加藤綾子キャスター:
緊急事態宣言の強みが、今薄れているということですよね

佐々木恭子アナウンサー:
その分、ピンポイントでの対策をこれから求めたいところではあります

(「イット!」3月17日放送より)