福岡・篠栗町で5歳の男の子が餓死した事件。
“ママ友”の赤堀恵美子容疑者(48)による巧みな洗脳、いびつな支配が明らかになる中、赤堀容疑者が一体どんな人物だったのか徹底取材した。

“ママ友”小学校の卒業アルバム「夢は保母さん」

小学校の卒業アルバム。6年生だった赤堀恵美子容疑者が、将来の夢をつづっている。

(赤堀恵美子容疑者の卒業文集)
私の将来の夢は保母さんになることです。今から勉強をがんばって優しい保母さんになりたいと思っています。

赤堀恵美子容疑者の小学校卒業文集
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子供好きだったことが伺える赤堀容疑者は、いつ道を踏み外したのか―

満足な食事を与えられず、5歳で餓死した碇翔士郎ちゃん。

碇翔士郎ちゃん(当時5)

保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された母親の碇利恵容疑者(39)を精神的に支配し、犯行を主導したとみられるのが、‟ママ友”の赤堀恵美子容疑者だった。

母親 碇利恵容疑者(39)
‟ママ友” 赤堀恵美子容疑者(48)

福岡県警・平瀬正孝捜査一課長:
碇家の食事のもととなるお金を搾取するなど(赤堀容疑者は)本件の主導的な立場にある

福岡県警・平瀬正孝捜査一課長の会見(3月2日)

「友人が悪口を言っている」、「夫が浮気している」などと根も葉もないうそを重ねて碇容疑者を孤立させ、離婚までさせていた赤堀容疑者。
3人の子供を引き取り、生活保護を受けることになった碇容疑者をさらに追い込んだのも、赤堀容疑者の「質素な生活をしないと(離婚した夫との)慰謝料裁判に勝てない」、「ボスが監視カメラで見張っているから」などの言葉巧みなうそだった。

‟ママ友” 赤堀恵美子容疑者

共通の友人を暴力団と関わりがある「ボス」にでっち上げ、裁判費用や仲裁料などの名目で金をだまし取り続けたという。困窮する一家から搾り取った生活保護費などの総額は、1,200万円に上るとみられている。
捜査関係者によると、だまし取った金でブランド品を購入したり、パチンコに使ったりしていたという。

立正大学心理学部・西田公昭教授:
赤堀容疑者のうまいところは、架空の人物(ボス)を作ったところ。その人がそう言っているのだよということにして、自分はあなたの味方だよと。その上で支配する側とされる側に温かい人間関係があり、信頼の絆が作られる

立正大学心理学部・西田公昭教授

「当時の結婚話はうそ」警察からの電話で判明

赤堀容疑者が少女時代を過ごしたのは、福岡・大川市。学校では、トラブルを起こす生徒ではなく、周囲によく冗談を言っていたという。

福岡・大川市で少女時代を過ごした赤堀恵美子容疑者

赤堀恵美子容疑者の同級生:
成人式の時、久しぶりに近況を話した

成人式で再会した同級生に、すでに結婚して子供がいると話したという赤堀容疑者。
しかし、2021年2月 事件の捜査をしていた粕屋警察署から同級生に赤堀容疑者の人柄について問い合わせがあった際、この結婚話がうそだったことが分かった。

赤堀恵美子容疑者の同級生:
2月17日に電話がありました。携帯に警察から電話かかってきた。(赤堀容疑は)結婚して女の子がいると、警察にそう言ったら「その時、結婚していないですよ」、「それ、うそですね」と言われた

小学校の卒業アルバムで「将来どんなママに…?」という問いに赤堀容疑者は…

赤堀恵美子容疑者:
やさしいお母さんで子供になんでも相談にのってやりたい

―理想とかけ離れた現実。
赤堀容疑者は、警察の調べに対し、「子供たちに対する母親の管理がなっていない」と容疑を否認している。

たった5歳でその生涯を閉じた翔士郎ちゃん。
亡くなるひと月前、親族らとスーパーを訪れていた翔士郎ちゃんは、何でも好きなものを買うよう促されると、母親の碇容疑者が好きな菓子を手に取って差し出したという。

警察の調べで、だまされていたことに気付いた碇容疑者は…

碇利恵容疑者:
翔ちゃんのことを守ってやれなかった、後悔してもしきれません

碇利恵容疑者

児童相談所の対応は…「差し迫った危険ない」

現場のマンションには、飢えに苦しんだ翔士郎ちゃんが口にできなかったたくさんのお菓子や飲み物が供えられている。

児童相談所は、2020年3月にネグレクトの疑いがあると警察からの通告が寄せられたことを受けて、3月11日に家庭訪問をしている。その際は、傷やあざがなく、顔色も良かったので、差し迫った危険はないと判断していた。

それ以降、一度も会わないまま約1カ月後に翔士郎ちゃんは亡くなっているのだが、新たな事実が判明した。

死亡する10日前の4月8日までの間に、翔士郎ちゃんの親族から「しばらく子供を見ていない。心配だ」という相談が来所で2回、電話相談が複数回寄せられていたことが分かったのだ。

しかし、児童相談所は、具体的な対応はしなかったほか、町への情報共有を一切しなかった。

専門家は、次のように指摘する。

明星大学・川松亮常勤教授:
親族の方が心配だとおっしゃっている情報があるので、そのことを受けて、児童相談所として調査をするということは必要だったと思う。やっぱり「会えない」というのは、リスクが高い危険な兆候の1つなので。そういう事態が起こった場合には、関係者できちんと情報を共有しあって、児童相談所が会うアプローチをしていく必要があった

明星大学・川松亮常勤教授

親族のSOSが届かなかったのは、なぜなのか。
明星大学の川松常勤教授は、その要因の1つとして、今回の事案がネグレクト(育児放棄)と判断されたことを挙げている。

ネグレクトは、保護者、そして子供も問題意識を持たず、「その環境が当たり前」と考えていることが多く、相談所の訪問や支援に否定的な人も多い。
解決するには、その環境は異常だと認識してもらうために、職員がしっかりと向き合う必要があり、根気強い指導が求められる。

一方で、職員の「人員不足」も指摘されている。
全国の児童相談所が2019年度、児童虐待として対応した件数は約19万4,000件。これは過去最多で、ひとつひとつに継続した対応が難しくなっているのが現状だ。

福岡県は、児童相談所などの対応が適切だったのか、第三者による検証を行う方針を明らかにした。
どうすれば今回のような事件を防ぐことができるのか。徹底した検証が求められる。

(テレビ西日本)