コースに「女人禁制」 理由は地元の祭りに…

聖火リレーのコースをめぐって"ある騒動"が起きていた愛知県半田市。

半田市によると、4月6日に行われる聖火リレーのうち、半田運河を舟で通る約200メートルの区間を男性限定で行う予定になっていたという。

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半田市健康子ども部スポーツ課・加藤計志課長:
もともと「ちんとろ舟」というものが地元の祭礼で男子限定ということで。

江戸時代末期から続く、五穀豊穣を願う「ちんとろ祭り」

聖火リレーでは祭りに使われる「ちんとろ舟」に乗って聖火を運ぶ予定だったというが、この舟は伝統的に女人禁制のもの。そのため聖火リレーも、舟に乗る区間は男性限定にしていたという。

伝統文化と五輪精神との両立に至らなかった

これについて、市民からはさまざまな声が聞かれた。

女性:
変えていってもいいと思うよ。今の時代だからね。

男性:
イベントと神事を一緒にしちゃったというのが、今回の問題ではないかなと思う。イベントとして割り切ることができるなら、女性の参加もいいのかなと。

女性:
今までがそう(女人禁制)だったんでしょう?事情があるんでしょうね、昔からの何かが。

愛知県の実行委員会は「配慮が足りなかった」と釈明している。

聖火リレー愛知県実行委員会・舛田崇事務局長:
伝統文化とオリンピックのジェンダーの話を両立させるというところに至らなかった。齟齬が生じてしまったのは配慮が足りなかった。

一方、祭りの関係者は「ちんとろ舟も時代に合わせて変化しつつあり、今回の聖火リレーも変わるひとつのきっかけになる」と話している。

ちんとろ祭り相談役・白岩辰巳さん:
今は山車の囃子も女性の方が吹いてるんです。今度は「ちんとろ舟」の方がそういうチャンスかなと思っております。神事の時にも(女性を)乗せるというのは、今後の検討の中でします。

女性も乗船できるよう調整へ

男女平等をうたうオリンピック精神。市は急遽、女性も参加できるように調整しているという。

半田市健康子ども部スポーツ課・加藤計志課長:
祭りとは切り離してイベント行事という中で、女性の方にも「ちんとろ舟」に乗船していただこうということで、今は地元の方と協議しております。

今回の"女人禁制"聖火リレー騒動について、大会組織委員会の橋本聖子会長は…

オリンピック組織委員会・橋本聖子会長:
日本の素晴らしい伝統文化というものを守りつつも、ジェンダー平等というものに配慮していただいたということで、大変感謝をしているところです。

加藤綾子キャスター:
オリンピックというイベントと日本のお祭り、神事を一緒にしてしまって、このような批判につながったと思うのですけれども。

明治大学・齋藤孝教授:
神事とオリンピックというのはまったく歴史、趣旨が違うんですよ。今回の聖火リレーというのはオリンピックの一環ですから、オリンピック憲章を優先させるべき。そう考えると、女性も参加できるように変更していく方針というのは柔軟でいいんじゃないかなと。

明治大学・齋藤孝教授:
伝統文化の女人禁制をどうしていくかというのはまた別の問題ですけれども、時代の変化というのは感じますよね。

加藤綾子キャスター:
伝統や文化をどう守って伝えていくかは大切なことですが、オリンピックとコラボさせるのであれば、やはりオリンピックの精神を大切にした方がいいのかなと私も思います。守るものと見直すものを慎重に検討して、とにかく明るいオリンピックにつながるリレーにしてもらいたいと思います。

(「イット!」4月2日放送分より)