認知症で入院できないコロナ患者も 自宅療養者の死亡防ぐため『訪問診療』専門チーム
感染拡大… 新型コロナウイルス

認知症で入院できないコロナ患者も 自宅療養者の死亡防ぐため『訪問診療』専門チーム

関西テレビ
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自宅療養者の死亡が相次ぐ中、京都府が全国でも珍しい医療チームを作った。
医師が患者の自宅を回り、健康観察だけでなく、治療も行うという「訪問診療」専門のチームの現場を取材した。

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新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養している患者を訪ねた医師ら。
京都府は2月から、自宅療養者への訪問診療を始めた。
24時間体制で、医師が対応にあたっている。

医師の守上佳樹さん。
患者が自宅療養中に死亡するケースが相次いだことを受け、プロジェクトの立ち上げに関わることに。

医師・守上さん:
ニュースで、誰からも気付かれることなく亡くなっていってしまったような、悲しいニュースが流れ始めたときに『家まで行かないと、これは救えるものも救えないな』と思ったのが一番最初ですね

「迎えに行くと玄関で倒れていた」 病状悪化に“いち早く”気付くために

守上さんは、在宅医療を専門とする「よしき往診クリニック」の院長。
1月まで末期がんや認知症など、通院が難しい人の家に直接出向いて診療を行っていた。

周囲のスタッフの理解のもと、クリニックの診療は他の医師に任せて、新型コロナウイルスの自宅療養者への訪問診療を始めた。

感染者が増加した2020年12月以降、入院する病院を調整する京都府の「コントロールセンター」も対応に追われている。

京都府健康福祉部・鎌田和浩さん:
予想以上に患者さんが発生してしまったので、どうしても待機の患者さんが多くなってしまう。どの方を本当に(病院に)入れるかというような選択は、難渋するときはあったと思う

自宅で療養せざるを得ない高齢者が増える中、京都府では原則75歳以上を対象に、全国でも珍しい『訪問診療』の仕組みを作った。

これまでは、保健所は毎日電話で健康観察を行い、異変を感じた段階で、保健師や看護師を派遣していた。

新たな取り組みでは、保健所が電話で患者の症状を聞き取り、リスクが高いと判断した場合、コントロールセンターを通じて“訪問診療チーム”に依頼。
患者の自宅に、必要に応じて定期的に訪問する。

このプロジェクトに参加しているのは医師2人。
スタートして約2週間で、11人の患者を診療した。

病状の悪化に気付き、実際に入院するケースが3件あったという。

医師・守上さん:
自宅療養中に家まで行ってその日のうちに入院が必要だと判断して、入院のチームメンバーが迎えに来た時、玄関で倒れていた。一日遅かったら、その方は亡くなっていたかもしれない

認知症で“入院できない患者”も…医師が自宅へ通う事情

訪問診療のチームには、看護師・薬剤師もいて、感染対策が取られた提携先の民間のタクシーで現場に向かう。
この日の訪問先は、新型コロナウイルスに感染した80代の男性だ。

医師・守上さん:
かなり強い認知症があって、血圧も病院では取らせてくれない、採血もさせてくれない、とりあえず体を触らしてくれないというので、なかなか入院自体が難しいと。(一時は)入院もしたんだけど、高齢者でハイリスクであることは分かっているけど、入院できないというので自宅に戻ってこられた患者さんです

訪問先では、防護服は玄関の中で着用するなど、プライバシーに細心の注意を払う。

医師・守上さん:
きのう点滴がすぐに入らなかったので、頑張って

この男性は食事があまりできないため、守上さんの判断で毎日訪問して、点滴を行っている。
認知症の患者の中には点滴を嫌がって暴れる人もいるため、3人がかりだ。

守上さん:気分悪いですか?

男性患者:悪い

守上さん:毎日打ってるやつやから、今更アレルギーなどはないでしょうけど

病院とは勝手が違うため、家の中で臨機応変に対応する。
感染対策のため、ゴミは訪問先で72時間後に廃棄してもらう。

患者を支える家族へのケアも忘れない。

患者の息子:
ずっと先生忙しいから申し訳ない。

医師・守上さん:
息子さんすごく頼りになります。世の中の息子たちがこんなにやってくれるかというと、そうじゃない。お父さんとお母さんのかけがえのない力になっていると思いますよ

患者の息子:
なかなか病院にはしていただけないことをきっちり確実にやっていただいて助かりましたし、僕たちも安心して生活できています。本当にありがとうございます

訪問診療は40分ほどで終了した。

「誰かがやらないと…」家に帰らず“24時間体制”で奮闘する医師

診療を終えたあと、守上さんが戻るのはクリニックではない。
感染のリスクを考え、別の拠点を作り、ここで寝泊まりしている。
使った器具の消毒も自ら行うという。

医師・守上さん:
いつもなら看護師さんとかがやってくれるんでしょうけど、命令系統のトップである医師にタスクを集中させて、チーム全体の感染リスクを減らす。ドクターもかっこつけるだけじゃなくて、やる

守上さんは、急な要請に24時間対応できるようにしている。

医師・守上さん:
私自身は今、家にも帰ってなくて家族も実家にいてもらっている。ここで24時間やってます。でも誰かがやらんとね。どんなに大変でも誰かがやらんと。頑張ってやってます

様々な事情のある患者が取り残されないように、守上さんは活動を続ける。

(関西テレビ)

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