コロナ禍で変わる卒業式をココ調

横山ルリカ リポーター
これまで修学旅行や運動会などコロナ禍で変わる様々な学校行事を取材してきました。第5弾は卒業式です

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ココ調が全国の小・中・高56校にアンケートを行ったところ、ほとんどの学校で2021年の卒業式は例年通りには行わないという回答だった。

その多くは時間短縮、来賓や保護者、在校生の出席を制限、合唱はナシにするという。

そのためそれぞれの学校では、様々な工夫をして卒業式の準備を進めている。

愛知県知多市にある知多市立新田小学校では5年生がメッセージを手作りし、6年生の教室にサプライズ!などなど、今年ならではの方法で、卒業のお祝いを伝えていた。

コロナ禍で変わる学校行事。工夫だらけの「卒業式」をココ調する。

密を避けるため合唱を事前録音

まず向かったのは、熊本市中央区にある熊本市立大江小学校。

今年の卒業式は…

6学年主任・船田美樹先生:
声を出すことがなかなかできないので、歌も当然歌えないです。呼びかける場面、そういう場面も今年はなかなかつくるのができないっていう状況です

例年、来賓や保護者、在校生などが体育館に集まり、もちろん歌も歌っていたという卒業式。

歌が歌えない今年考えたのが…

6学年主任・船田美樹先生:
事前にグループごとに録音をして、その歌を合わせて一つの合唱として卒業式当日はそれを流すということです

6年生3クラス100人を8人から10人のグループに分け、2m以上の間隔でマスクをして歌い録音。

その録音した歌を先生がタブレットで編集し、全員の歌と曲を合わせて卒業式で流すという。

児童たちはどう思っているのか?

小学6年生男子児童A:
卒業式を成功させようという思いで歌っています

小学6年生女子児童A:
録音だけだけど、みんなに思いが伝わるように協力して頑張っています

「声が聞こえない」コロナ禍特有の問題点

しかし、実際に録音した歌を聞いてみると「自分の声が聞こえにくい」という子供たちも…実は、これにはコロナ禍ならではのある問題があった。

6学年主任・船田美樹先生:
とにかく2020年の3月から全く歌っていない状況が1年間続いておりましたので、歌を歌う、声を出すということに慣れていないっていう状況だったので…

そこで子供たちは毎日朝7時半ごろから、授業の前に体育館で朝練を始めた。さらに、廊下や教室でも距離をとって自主的に練習するなど来週の録音本番に向けて準備をすすめている。

小学6年生男子児童B:
卒業式本番でみんなで歌いたいんですけど録音という形で保護者の皆さんや先生方に感謝の気持ちが伝わればいいなと思っています。成功させます

学校のシンボルをプロジェクションマッピングで表現

続いては、長野県須坂市にある須坂高等高校。

例年、近くのホールで在校生、保護者など全員が出席していた卒業式だが、今年は1・2年生は教室でオンライン中継という形になった。

そこで1・2年生が考えたのが…

男子生徒:
卒業する3年生の方に対して、プロジェクションマッピング作品「幻龍」を今制作しております

3年生のために「龍」をテーマにしたプロジェクションマッピングを企業などの協力のもと制作中。

実はこの龍は毎年、文化祭で作っている全長20m、高さ10mの巨大龍をモチーフにしたもので、学校のシンボルともなっている大切なモノ。

しかし、2021年は文化祭の規模縮小や臨時休校の影響で、しっぽの部分だけの制作となった3年生のために…

幻龍PJ係・新井隼冬先生:
1・2年の生徒たちが「コロナ禍でもできるような龍って何だろう?」っていうところから、映像の龍を作っていきたいと…

「幻の龍」を完成させるため、先輩が作った龍のしっぽを元にアニメーションで「龍」を作り、プロジェクションマッピングで投影。

去年10月から生徒会や有志約40人が映像、ストーリー、演出などに分かれて制作を始めた。

プロジェクトリーダー・青木綾哉さん:
一番苦労した点としては 龍が生きているようにどう演出したらいいか考えること、そして3年生の先輩に感謝を伝えるためのストーリーはどのようなものか?というのをみんなで思い悩んだことです

2月27日、卒業式の前日に行われる「3年生を送る会」でお披露目する前に1・2年生に試写を行ったところ、ある問題が判明。

プロジェクトリーダー・青木綾哉さん:
体育館の上にあるバスケットゴールが龍の顔と重なってしまって、せっかくの龍の顔が見えないっていうことになってしまったのでそこは修正したいなと思いました

本番まであと5日。2021年は違った形での「龍」がお披露目される。

今までの思い出映画化

続いて千葉県柏市にある柏市立手賀西小学校。

毎年、全校生徒が集まっていた「6年生を送る会」をオンライン方式に変更することになった。

そこで、6年生自らが考えたのが…

横山ルリカ リポーター
今子供たち走っているんですけれども、その上に見えますかね?ドローンが飛んでいるんですよね

横山ルリカ リポーター
多分音声さんのマイクだと思われます。撮影がこれから始まる模様ですね

小学6年主任・東條正興先生:
これは6年生を送る会に向けて映画の撮影をしています

6年間の思い出を10分の映画にまとめ、在校生や先生に感謝の思いを伝えるために映画を制作。

横山ルリカ リポーター
カチンコが今鳴り、撮影が始まりました。台車に乗って走っている姿を撮っています。後ろにいる子たちってもしかしてレフ板(※鏡のような照明器具)の子ですか。多分頑張って(太陽光を反射させて)光を照らしているんだと思います

撮影はタブレットに付いたカメラで行い、音声のマイクやレフ板、カチンコ(※映像と音声を合わせるため鳴らす小道具)などもすべて手作りなのだそう。

実際に撮影した映像はカメラの揺れもほとんど気にならず、バッチリきれいに撮影できている。

さらに…

小学6年生男子児童C:
オッケー!ありがと。ダビング完了したよ

横山ルリカ リポーター
ADさんばりに走ってますね

撮影した映像はすぐに回収し、教室ですぐに編集作業が始まる。プロ顔負けの仕事ぶりだ。

小学6年生男子児童C:
撮影楽しいです

小学6年生女子児童B:
今年は行事とかもなくて、けっこう寂しかったなというのはあったけど、こういうのを初めてやって他の学年にも伝えることができるかなと思います

さらに声が出せない合唱もこんな工夫が…

横山ルリカ リポーター
こちらのクラス、歌を歌わずにみんな手話ですかね。手話を行っています。そして隣の教室でも同じように みんな手話で。歌は歌っていないですね

合唱は手話に変更し、オンラインで各教室同時に行うことで、声を出さなくても一緒に奏でることができるという。

小学6年主任・東條正興先生:
歌えないことをできないで終わるのではなくて、できないからこそ新しいことを始めようということで、手話をつけて、最後も同じ時間を全校で共有すると。

小学6年生男子児童D:
手話も言葉と同じでコミュニケーションなので普段できないことがたくさんある分、全力で頑張っていきたい

(「めざましテレビ」2月24日放送分より)