日米韓のミサイル防衛システムでは防御不能

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10月1日の午前中に北京の天安門前広場で実施された、中華人民共和国の建国70周年を記念する軍事パレードは、過去20年間では最も規模が大きく、陸上戦闘部隊の装具、自動小銃から戦略核ミサイル、空軍の作戦機に至るまで、幅広い分野で新型の兵器・装備を披露するという、政治的・軍事的にインパクトの強いものだったといえる。

最新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)射程距離が11200kmと長く、北アメリカ東海岸の都市を攻撃可能

注目すべきポイントは、DF-41新型大陸間弾道ミサイルなどの戦略核戦力の強化で、核武装国としての抑止力の強化が進んでいること、マリアナ諸島のグアムや韓国、日本国内などに前進展開しているアメリカ軍への対抗戦力が整いつつあること、これらの同盟国がいずれも新しい軍事力の行動範囲、攻撃力の射程圏内に捉えられていること、そして日本とアメリカ、韓国が導入しているミサイル防衛が、無力化されつつあることだった。中国軍では既存のミサイル防衛システムでは阻止不可能な新兵器が開発されつつあるのだ。

目標はアジアのみならず、砂漠でも戦える軍備

パレードで行進する中国軍の国連平和維持部隊の兵士たち

パレードに登場した注目すべき新装備・兵器を挙げると、陸上部隊の兵士たちの熱帯雨林地域から砂漠地帯にまで対応する複数の迷彩パターンを持つ戦闘服・個人装具、新型の自動小銃、15式戦車、トラック車体に155mm榴弾砲を搭載した18式自走野戦砲、直径300mm級の長射程多連装ロケット弾発射機、Z-10攻撃ヘリコプター、Z-20輸送ヘリコプターが登場したほか、在来型兵器の99式戦車や04式歩兵戦闘車にも改良型の99A式戦車や04A式歩兵戦闘車が見られ、戦力の質の充実を印象付けた。

海軍の兵器では、戦略弾道ミサイル原子力潜水艦に搭載されている射程8000km級のJL-2 SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)のほか、大型の水上戦闘艦に搭載される通常弾頭装備で最大射程が500km級になる超音速対艦巡航ミサイルYJ-12BとYJ-18Aが、トレーラーやトラックに搭載されて行進したほか、新しいUUV(無人潜水艇)も登場した。

中国が全面核戦争で滅亡した場合でも海中から敵国に最終核攻撃が可能となるJL-2SLBM

西側諸国は実用化できていない戦力も保持

空軍機では、注目されていた大型の国産ステルス戦闘機J-20、航続距離・搭載量の大きな大型輸送機Y-20、胴体下に対艦弾道ミサイルを搭載するものだと考えられるH-6N新型爆撃機、エンジンやレーダーの組み合わせによって軽戦闘攻撃機にもなるJL-10新型練習機、空飛ぶ電波ジャック放送局といえるY-9XZ心理戦機などが展示飛行し、これまでの国産戦闘機J-10やKJ-2000早期警戒管制機、HY-6空中給油機、新型無人機などと合わせて、空軍力が新しい段階に進みつつあることが明らかになった。

胴体の下に対艦弾道ミサイルを搭載可能だと考えられる新型爆撃機 一発で航空母艦を大破させうる攻撃力を持つH-6N

中国軍は、今や陸・海・空の分野で戦力の展開能力・戦闘力・攻撃力を大きく向上させており、西側諸国では実用化できていない戦力をも実現するようになっているのだ。

ミサイル戦力では陸上発射のICBM(大陸間弾道ミサイル)以外にも、新機軸といえる射程2000km級だと考えられているDF-17極超音速滑空体ミサイルが登場した。これは中国の王毅外相を始めとする中国首脳が数年前から「アメリカや日本、韓国がミサイル防衛を推し進めるならば、それらを国家の意思として突破し、無力化する。」という態度表明を裏付けるものでもあり、現用のミサイル防衛網では阻止不可能だと考えられている。中国軍では、目下開発中のDF-17を早ければ来年中にも戦力化する予定だと伝えられており、さらに次世代の新型極超音速滑空兵器の開発をも進める姿勢を見せている。

ミサイル防衛では阻止が難しいと考えられる開発中のDF-17 極超音速滑空体ミサイル

音速を超える“超音速”巡行ミサイルも

また今年のパレードでは、対地攻撃力を持つ新しい超音速巡航ミサイルDF-100も登場しており、各国のミサイル防衛が無力化されつつあるという点で、中国首脳の意思表明が実体を伴うものだということを、明らかにするものだったといえる。アメリカはもとより、我が国や韓国など東アジアの同盟国も、この安全保障・防衛面で中国と向き合う姿勢が、あらためて問われているといえるだろう。

対地攻撃可能な新型超音速巡行ミサイルDF-100 飛翔速度が音速の3倍と予測される

【執筆:軍事評論家 宇垣大成】

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