抗体保有率1%未満…「集団免疫は成立しない」

2月5日、東京の新型コロナウイルスの新規感染者数は577人となり、累計数は10万2777人に。
全国の累計感染者は40万人603人となった。

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こうした中、新型コロナウイルスの抗体保有状況を調べる抗体保有率の調査の結果、抗体保有率は1%未満ということが、厚生労働省から発表された。

この調査は2020年12月に宮城・東京・愛知・大阪・福岡の5都府県で無作為に選んだ約1万5000人を対象に行われたもの。

その結果、

・宮城県…0.14%
・東京都…0.91%
・愛知県…0.54%
・大阪府…0.58%
・福岡県…0.19%


と、いずれも1%を切る結果となったことが判明した。
一方で、この結果は前回2020年6月の調査結果よりも9倍になっているという。

加藤綾子キャスター:
抗体保有率1%未満、この結果はどう見ればよろしいでしょうか。

国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授:
感染拡大によって前回の調査よりは確かに増えたわけですけれども、結局は全人口の1%未満ということで、基本的には多くの方は免疫を持っていないということになります。
いわゆる集団免疫というのは、その人口の中の6~7割の人が免疫を持たなければ感染症を抑えていくのが難しいという状況ですので、これだけ感染者が出たとしても1%未満ですから、やはり今のまま待っているだけでは集団免疫は成立しないということがわかると。

加藤綾子キャスター:
だからこそワクチンが必要ということですね。

「異なるワクチン接種」効果は?

そんな中、日本と1億2000万回分の供給で契約を結んでいるイギリスの製薬大手・アストラゼネカ社が日本政府に承認申請を行った。

また、イギリスの研究グループが1回目と2回目とで異なるワクチンを接種した場合の有効性などを調べる臨床試験を始めると発表している。
この臨床試験には50歳以上の820人が参加。1回目と2回目の接種で英・アストラゼネカ製、米・ファイザー製の異なる2つのワクチンを接種し、有効性や安全性を調査していくという。

この中で2つのワクチンの順番を入れ替えたり、接種の間隔を4週間や12週間にしたりといった治験を13カ月間行い、初期データは6月ごろに判明するという。

現在、予定されているスケジュールは

・2月中旬から医療従業者が先行接種
・4月1日以降、65歳以上の高齢者が接種
・以降、基礎疾患のある人など、次いで一般の人が接種


となっている。

加藤綾子キャスター:
私たちは今のところ、接種を受ける時期に供給されているワクチンを接種することになっていまして、2回の接種で同じ種類のワクチンを接種することになっていますけれども、異なるワクチンでも良いとなると、想定されているスケジュール的にも供給の柔軟性が高まってきますよね。

国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授:
おっしゃる通りです。日本にいろいろなワクチンが入ってくると言われていますが、ワクチン自体もどこまで本当に順調に供給されるかどうかがわかりません。そうすると単独のワクチンだけでこのまま進めていいかどうかというのがだんだん不透明になってきました。
場合によっては複数のワクチンを組み合わせることによって、それでも効果が出せるのであれば、柔軟性を持たせてワクチンの接種のスケジュールを変えることもできますので。
やはり今の時点で重要なのはとにかく多くの人に免疫を持ってもらうということですから、イギリスの治験の結果を反映してこれによって日本でももしかしたら接種のスケジュールを変えていく可能性もあるんじゃないかと思う。

明治大学・齋藤孝教授:
スピードが大事なので、どんどん早く進めていくことが大事だと思います。とりあえず1回目が大事で、そこでまだ猶予がありますから、その間にデータが出てくると。

加藤綾子キャスター:
スムーズに進むことを願いたいですね。

(「イット!」2月5日放送分より)