特集は長野県内の高校、唯一の水球チームです。去年春、長野東高校にかつてあった水球チームが復活。ゼロからのスタートですが、OBでもある教師の指導の下、大きな目標に向けて練習に励んでいます。

 泳ぎながらボールを扱い、相手のゴールを狙う「水球」。時に激しく競り合い、「水中の格闘技」とも呼ばれています。

練習に励んでいるのは、長野東高校水泳部の水球チーム。県内の高校では唯一のチームです。

去年春、堀知幸先生が立ち上げました。

堀知幸先生:

「いつかは自分も指導者として、高校で水球をやりたいというのはあった。母校の自分がいた部活がなくなったのはさびしいので、復活させたいなという気持ちはありました」

堀先生、実は長野東のOB。水球に青春を捧げた一人です。

長野東は1976年のインターハイ、その2年後のやまびこ国体に向けて専用プールが造られ、水球の会場となりました。

チームの活動もそのころ、スタート。しかし、競技人口が少ないこともあって活動はおよそ25年で途絶えてしまったと言います。

教師になった堀先生。

2015年に上田東高校で初めて、念願の水球チームをつくりました。

去年春、母校に赴任すると、水球チームを復活させようと、特大のポスターを作ってメンバーを集めました。

堀知幸先生:

「やれば楽しいから入ってくれ!という感じですね」

集まったのは、ちょうど1チーム分の7人。そのうち4人は水泳部員で、「競泳」との掛け持ちです。

水球に興味を持って参加したのは好田さん、小林さん、海瀬さん。3人とも未経験者です。

好田大佑さん:

「(Q.高校から水球をやるきっかけは)なんて言う?」

小林仁成さん:

「僕は(先生の)宣伝とかその熱意」

堀先生、実はとっておきの「口説き文句」がありました。

海瀬智春さん:

「『インターハイ出場できます』みたいなこと言ってたんで、魅力的だなと感じました」

今年8月の北信越インターハイは長野県での開催。県内唯一の長野東は「開催地枠」で出場でき、しかも会場は長野東のプールです。

県内の高校の出場は、同じく「開催地枠」で長野東が出場した1976年以来、実に45年ぶりです。

堀知幸先生:

「開催地枠で出られるので、そのチームがインターハイの本大会でなんとか1勝ができたらいいなと」

出場するからには何としても1勝。これがチームの目標です。発足してから泳ぎに始まり、水に浮いた状態を維持する「巻き足」、そしてボールの扱いなど、堀先生が基本を指導してきました。

堀知幸先生:

「まだまだです…まだまだ…」

「巻き足」は初心者には特にきつく…。

海瀬智春さん:

「股関節とか、どんどん痛くなってる」

小林仁成さん:

「(陸上と比べて)全然、使ってる筋肉が違うから、超きついです。(Q.こっちの方がきつい)はい」

昼休み、高校を訪ねると…。

堀知幸先生:

「(体が)浮かなくて…筋肉で進む力とかそういうのをつけていかないと、泳ぐだけじゃ無理かなと思って」

この日は取材が入るということで、メンバーが集まりましたが、普段は…。

堀知幸先生:

「(あまり)来ないです。『弁当が長引いた』とか、僕一人だけずっとここで待っていて、僕だけ筋肉ついてる感じ」

でも弁当は…。

小林仁成さん:

「肉々しいですね。まだまだ体ちっちゃいし、力もまだ全然ないから、いっぱい食べて強くしていきたい」

年末、実戦経験を積んでもらおうと、初めて練習試合が行われました。

堀知幸先生:

「これからゲーム形式で、7対7でやろうかなと思います」

試合は長野東のメンバーに堀先生が声をかけた、長野俊英高校と須坂東高校の生徒を加えた高校生チーム対社会人・大学生などの水球経験者チーム。後輩のためにと堀先生と同じ長野東のOBも参加しました。

経験が浅い高校生。なかなかシュートまでつながらず、経験者チームの攻撃に翻弄されます。

前半は2対11で折り返しました。後半はなんとかパスをつなぎ…高校生チームがゴールを奪います。

後半も点差は広げられましたが、高校生チームは前半より得点でき、6対22という結果でした。

小林仁成さん:

「いろんな人からいろんなことを教えてもらえるから、いつもよりたくさん学べました」

好田大佑さん:

「うまい選手から教えてもらったことを、しっかり年明けの練習から取り入れていって、最終的にはいい試合ができるようになればいい」

長野東OBは…。

長野東OB・伊藤真人さん:

「水球チームが復活したことはうれしい。目標はインターハイ出場を目指していますので、そこに向けて頑張っていきたい」

長野放送
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