政府は1月26日、2019年度に新たに育児休業を取得した国家公務員の男性職員の割合が調査開始以降最高になったと発表した。さらに「男の産休」(配偶者出産休暇(2日)又は育児参加のための休暇(5日)を合計5日以上使用した割合)を5日以上使用した割合も同最高を記録した。

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国家公務員制度を担当する河野大臣は、「子供が生まれるときは、男性がきちんと休むということが世の中当たり前だということにしていかなければいけない」と述べ、民間企業や地方公務員へと波及させるため、国家公務員が徹底することで機運を醸成していきたいと強調した。

“急激な伸び”霞ヶ関のイクメン率 各省別トップは厚労省

参照:「国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」(2021年1月26日)

詳しく見ていくと、まず国家公務員の育児休業の取得率については、16.4%と前年度比4ポイント増で、第4次男女共同参画基本計画で定められている政府目標の13%を達成した。一方、5日以上の「男の産休」(配偶者の出産休暇や育児参加のための使用率)については、政府目標(100%)には届かなかったものの、79.6%と前年度比11.8ポイント増加した。育休取得率をグラフで見ると、国家公務員のイクメン率の増加は顕著で、政府関係者は「急激な伸びだと言える」と結果を好意的に受け止めている。

各府省別で見ると、トップは厚労省の59.2%で、財務省も43.6%と多い。一方、目標の13%を下回ったのは防衛省の5.2%、宮内庁の5.3%、警察庁の10.0%などが挙げられる。ただ防衛省や、国税庁を含む財務省、そして警察庁は他省庁と比べて職員数が多いため、一概に取得率割合が各省庁の取り組み度合いに比例しているとは言えない。その上で内閣人事局の担当者は、「大臣や次官などの幹部クラスによる大号令や、省内のポスター貼りやイントラネットでの共有などの意識改革で雰囲気が大きく変わる」として、数字だけでは分からない細やかな意識改革が重要だと強調する。

課題は育休取得期間 その実態は…?

ここで気になるのが、果たしてどれくらいの期間育休を取得できたかだ。国家公務員は、子どもが3歳になるまで育休を取得することができるが、新たに育休をとった職員の平均取得期間は、男性が2.0月、女性が16.6月で、前年度(男性2.0月・女性15.4月)と比べても伸びは乏しい。

特に男性職員に注目すると、最も多いのは1カ月以下で68.4%、次いで1カ月~3カ月以下が15.5%、3カ月~6カ月以下が7.8%、となっており1カ月以上の取得のハードルは高いようだ。ただ、期間別の取得人数を前年度と比べると、5日未満の取得は90人→100人(+10人)、5日以上2週間未満は441人→536人(+95人)、2週間以上1カ月以下は545人→710人(+165人)、1カ月以上3カ月以下は227人→306人(+76人)、3カ月~6カ月以下は111人→153人(+42人)と着実に増加していることが分かる。

3カ月取得した霞ヶ関のイクメンに聞いた 

2020年の1月から3カ月間、実際に育休を取得した厚労省の男性職員(30代)は、「取得して本当によかった。実際に経験することで、育児の大変さを夫婦間で共有できた」とする一方で、「男性の育休取得はとりづらい雰囲気があった」とも語った。この男性職員は3カ月もの間育休を取得できたのは「長官時代の菅さんの新方針のおかげで、人事課にも相談しやすくなった」と述べていて、“3ヶ月間”の取得の決め手は、2020年度から始まった政府の以下の新方針だったという。

「子どもが産まれた全ての男性職員が1力月以上を目途に、育児に伴う休暇休業を取得することができるよう整備を進めていきたい」(2019年12月27日、菅官房長官会見)

2020年度から全ての男性国家公務員が、1力月以上の育休を取得することを目標に掲げ、

取得の取り組み状況を上司の評価に反映させるもので、菅首相が官房長官時代に打ち出したものだ。この方針を後押しする形で、小泉環境相が育児休暇の取得を表明するなど、永田町でも男性の育休が少しずつ広まった。

政府関係者によると、歴代首相の施政方針演説のなかで「男性の育休」に触れているのは、菅政権が初めてだ。菅首相は「男性国家公務員には1カ月以上の育休取得を求めている。全ての企業に対し、男性が育休取得しやすい職場環境を整備することを義務付けるとともに、希望に応じて一か月以上の休業を取得できるようにしていく」と述べた。

また今国会でも、出産から8週間以内に、2回に分けた合計4週間の育休を取得できることを盛り込んだ法律改正案をまとめ成立を目指している。こうした菅政権ならではの育休推進の取り組みが、来年度以降、どのように結果として表れるか注目だ。

(フジテレビ政治部官邸クラブ 阿部桃子)