シリーズ「いのちを守る」。今回は災害時に活躍するロボット。
行方不明者の捜索や危険な場所での探査を行うロボットの研究が宮城県内で進んでいる。最新技術を搭載したロボットには、研究者の震災に対する強い思いが詰まっていた。
震災から10年…行方不明者の捜索をロボットで
宮城・名取市閖上の砂浜を力強く進むロボット。重さ、約20キロ。
時速5キロほどで、でこぼこの場所でも倒れることなく走ることができる。このロボットの目的。それは、10年前の震災で未だに行方が分かっていない人の捜索。
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仙台高等専門学校 園田潤 教授:
私たちは震災の不明者の捜索をやっていますので、手がかりとなる遺留品・衣類や遺骨など、それを識別できるような研究をやっています
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ロボットには地中レーダーが搭載されている。レーダーの波形は金属や石、衣類など物質によって微妙な違いが出る。この違いを分析して、地中に埋まっているものを特定し、見つけ出そうという試みだが、それだけではない。
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レーダーの波形をAI=人工知能に学ばせて、地中の物質が何かを自動で判別できるようにする取り組みにも挑戦している。
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仙台高等専門学校 園田潤 教授:
現在では、大きさや材質が分かるので、昔に比べて全部掘らないといけないということはなくなると思う
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「無力感」から生まれたロボット開発
このロボットを開発しているのは、仙台市青葉区の仙台高等専門学校総合工学科、園田教授の研究グループ。
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震災前の園田教授はレーダーの基礎研究に没頭していた。
しかし、あの日。東日本大震災を目の当たりにして、「自らの無力さ」を思い知らされたという。
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仙台高等専門学校 園田潤 教授:
あの時、本当に無力感しか感じなかった。何もできない、何も役に立てないなという無力感でいっぱいだった
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今の自分に何ができるのか? 悩み続けていた園田教授はあるニュースに目を止めた。
仙台高等専門学校 園田潤 教授:
閖上浜を一斉捜索したという報道があり、この辺はまだ捜索していないことが分かった。砂浜の下なら、地中レーダーが使えるのではと
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これをきっかけに、レーダーを搭載した探査ロボットの開発に着手。2021年1月中旬、宮城・名取市閖上で行った実験では、GPSを使って全自動でロボットを動かし、捜索できることを実際に確認した。
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さらに、川の堤防の劣化調査にもすでに応用され、決壊を未然に防ぐことに貢献している。ロボット開発に協力する企業も現れた。
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こちらは、農業機械メーカーが野菜や果物を運ぶ農業用の輸送機械を改造して作ったもの。走行性能が高いため、災害現場で生存者を探す活動にも将来、活用できると期待されている。協力を得られた理由、それは園田教授の熱意だった。
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石井製作所 石井智久 社長:
自分の研究にすごく一生懸命に前向きに取り組んでいて、被災した仙台・宮城県に何かしら、自分の力を発揮したいという気持ちはすごく感じました
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仙台高等専門学校 園田潤 教授:
震災の時は自分の技術力のなさに、無力感がすごくあったが、それから10年経って、昔は想像できなかったこともできるようになった。これからさらに使えるような技術を研究していきたい
震災から10年。園田教授の挑戦は続く。
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(仙台放送)