重症者は過去最多160人…半数が1週間以内に悪化

「重症患者数は新規陽性者数の増加に遅れて増加する。医療提供体制の逼迫が長期化し、通常の救急医療等も含めて危機的状況にある」

東京都医師会の猪口正孝副会長は、重症者の増加を含め、医療体制がさらに逼迫していることを伝えた。

東京都医師会 猪口正孝副会長
東京都医師会 猪口正孝副会長
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1月21日に開かれた都のモニタリング会議では、医療提供体制について、先週と同じく最も深刻な「体制が逼迫していると思われる」とした。

その分析のもととなる指標は、検査の陽性率、救急医療の東京ルールの適用件数、入院患者数、重症患者数の4つがあるが、今回は重症患者数のみ悪化していた。

それもそのはず、20日は過去最多160人の重症者が確認されている。

しかも、そのうち125人は1月に重症化、半数が1週間以内に重症化しているということで、増え方がいかに急激かわかる。

病院クラスター増加に危機感

一方で、感染状況についても最も深刻な「感染が拡大していると思われる」となったが、新規陽性者数の7日間平均や発熱相談件数などの指標は改善。

しかし、会議では「複数の地域で、複数の感染経路でクラスターが頻発し、感染拡大は続いていると判断しております」と指摘された。

ある都の担当者も「感染者数が一部の病院でなく数多くの病院で、しかも人数も増えている」と危機感をつのらせていた。

入院・宿泊療養受け入れも限界を超え

指標は改善しつつあるも、感染者の1週間の合計が1万人を超えていることなどから、国立国際医療研究センターの大曲貴夫センター長は「入院と宿泊療養の受け入れの限界を超え、通常の医療も逼迫し、極めて深刻な感染状況が続いております」と、すべてが“逼迫”している現状を伝えた。

国立国際医療研究センター 大曲貴夫センター長
国立国際医療研究センター 大曲貴夫センター長

20日までに都内で自宅療養中に急変し、搬送先で死亡したのは6人、そのち3人は入院調整という経過を経ている。

夜間外出は減少も「もう一段の人流抑制を」

一方、都は主要繁華街の夜間に出入りする人の数について調査。

20時から22時は前年同期比で75%減、22時から24時までは72%減だという。しかし、1度目の緊急事態宣言発令時の最低値に比べると、20時から22時は2.1倍、22時から24時までは1.9倍だった。

小池知事は「全体の流れとしては抑えきれていない。もう一段の人流抑制をお願いしたい」と、改めて外出自粛を呼びかけた。

モニタリング会議の小池百合子都知事
モニタリング会議の小池百合子都知事

2月7日までの緊急事態宣言。解除のための「感染者数1日あたり500人」というハードルは、現状から見るととてつもなく高い、と思わざるを得ない。

(執筆:フジテレビ都庁担当・小川美那記者)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。