特定危険指定暴力団・工藤会トップの裁判。
検察は、市民が襲撃された4つの事件で殺人などの罪に問われている最高幹部に、死刑を求刑した。
4カ月ぶりに姿を見せた工藤会トップの2人
殺人などの罪に問われている特定危険指定暴力団・工藤会トップの野村悟被告(74)とNo.2の田上不美夫被告(64)。
4カ月ぶりに法廷に姿を見せた2人の髪には、白いものが目立っていた。

1月14日、福岡地裁で開かれた論告求刑公判。
検察側:
野村被告に死刑を求刑する。田上被告に無期懲役を求刑する

一般市民をも襲撃する凶悪性
時には一般市民をも標的とするその凶悪性から、全国24ある指定暴力団の中で唯一、「特定危険指定暴力団」に指定されている工藤会。
野村被告と田上被告は、1998年 漁協の元組合長の男性が射殺された事件のほか、2012年 工藤会捜査に携わっていた福岡県警の元警部への銃撃事件。

さらに、2013年 野村被告が受診した美容整形クリニックの女性看護師への刺傷事件。
そして、2014年の歯科医師の男性に対する刺傷事件に関与したとされている。

すでに4つの事件の実行役には有罪判決も出ている中、2019年10月から始まったトップの裁判。
検察側は、事件の背景に被害者が関わる「利権」に工藤会が関心を寄せていたことや、野村被告が被害者への「恨み」や「怒り」を抱いていたことが事件の背景にあったと指摘した。
対する野村被告と田上被告は…
野村悟被告:
私は、4つの事件全てにつき無罪です
田上不美夫被告:
私にとって身に覚えがないこと

犯行の指示の有無が争点となる中、野村被告らは4つの事件について共謀や指示はしていないと一貫して無罪を主張したのだ。
「人命軽視の程度が甚だしい」検察は死刑求刑
そして14日、福岡地裁で行われた論告求刑。
検察側は、「暴力団であることを顕示し、組織的に行われた犯行であり、上位者の意思決定が必要不可欠」「野村被告が意思決定を行い、田上被告が組員を率いて実行した」と指摘。

その上で、「人命軽視の程度が甚だしく、社会に対する影響も大きい」などとして、野村被告に死刑を求刑。田上被告には無期懲役と罰金2000万円を求刑した。
裁判は、3月に予定されている弁護側の最終弁論を経て、判決が言い渡されることになっている。

(テレビ西日本)