急速に発達した低気圧と強い寒気の影響で、日本海側を中心に猛吹雪や大雪となった1月の3連休。

その際の雪かき中に、北海道で撮影された“ある瞬間”の動画がTwitterに投稿され、注目を集めている。

まずはこちらを見てほしい。

まじでビビった雪かき。
僕めっちゃ笑ってるけど、高齢者だったら本当に怪我するレベル。
北海道の雪かき危険だわ。

投稿したのは北海道仁木町に住むけんご(@kengo_lien)さん。動画には、けんごさんが雪かきを始めようと、スコップを足元に刺した瞬間、頭上の屋根から積もった雪が数秒のうちに全て落ちてきた一部始終が捉えられていた。

提供:けんごさん
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けんごさんは、いつも訪れる飲食店「季節料理 こぶし」の板前さんに世話になっているため、雪かきの手伝いをしていたそうだ。

動画では、落雪直後に奥で一緒に雪かきをしていた板前さんが「大丈夫かー?」と呼びかけている声も聞こえる。幸いにも、ケガや壊れた物はなかったそうだが、瞬時に動くことができなかった場合、大ケガなどをしていたかもしれない。

では、実際に屋根からの落雪はどのような状況だったのだろうか? 投稿したけんごさんに、当時の様子を聞いた。

上を見たら雪が迫ってきた

ーー落雪した当時、何をしていたの?

今回の動画のように屋根にたまった雪が家の前に落ちるので、その雪をかこうとしていました。屋根から落ちる雪は凍っていたり、圧雪されて固くなったりしているので、屋根の雪がまた落ちる前に雪かきしてたところ、突然屋根から雪が落ちてきました。


ーー落雪にはどうやって気がついた?

ゴゴッみたいな音が聞こえて、上を見たら屋根の雪が迫ってきた。という感じです。

提供:けんごさん

ーー雪が迫ってきたとき、どう思った?

うぉ!まじか!ってびっくりしました。屋根の高さがそこまで高いわけではなかったので、恐怖はあまり感じなかったです。ただ、動画を見返すとかなり危ない光景だなと感じ、そこで恐怖を感じました。

落雪によって雪が舞っている(提供:けんごさん)

けんごさんは落雪に気がつき、素早く逃げることができたため、ケガがなかったようだ。

しかし、この3連休があった1月9日の未明、北海道余市町の住宅の敷地で男性が雪に埋もれているのが見つかり、死亡が確認された事故も起きている。警察は雪下ろしの際、事故にあった可能性があるとみて調べている。

では自分で自分の身を守るためにも、雪下ろしをする上で注意すべきポイントはあるのだろうか?

札幌市を拠点とし、積雪寒冷地における調査研究・普及活動を行っているウインターライフ推進協議会に、この注意点について話を聞いた。なお以下の回答は、北海道の気候(日中の気温が氷点下)を想定している。

軒先に近づかない、屋根にのぼらない

ーー投稿動画のように、急な落雪はよくあること?

あります。ただ、厳冬期の北海道は日中の気温が氷点下なのが大半なので、北陸地方と比べ屋根からの落氷雪の頻度は少ないです。

地方部などの家屋周りの敷地スペースがあるところは逆に積極的に屋根雪を落とすことを意図し、勾配のある屋根にしている家屋もあります。

投稿動画はつららが成長していることから、築年数のある家屋だと思います。最近の家屋は断熱がしっかりしているので、屋内の暖気が屋外に逃げにくくなっているので、それだけつららも成長しなくなっています。

ということから、それだけ屋内の暖気が逃げているということで、屋根雪と葺材の間の温度差があり、もしかしたら、屋根雪が滑り落ちやすい水路ができていたのかもしれません。そのような屋根は軒から水滴がポタポタ落ちてくるので、絶対に軒下に行ってはいけません。

落雪前の屋根(提供:けんごさん)

ーー屋根付近での除雪で注意すべき点は?

軒下に近づかないことです。落雪の下敷きになって生き埋めになることもあります。また、積もった雪は時間とともに固く、しまっていく性質があります。屋根の上に数日も積もった雪はもう固いブロックになっているので、とても危険です。

軒下付近にあった氷の塊(提供:けんごさん)

ーー屋根の雪下ろしで注意すべき点を教えて

まずは、屋根に上らないことです。最近の住宅は建築基準法が改正されてから積雪の過重に耐えられるようになっています。ですので、よっぽどのことがない限り、積雪荷重で家屋が倒壊することはありません。

ただ、新潟県などは屋根雪対策条例があり、「住宅の屋根雪対策は、県民及び所有者等が自主的かつ主体的に行うものである」とのことから、屋根雪下ろしを前提とする家屋を建築するので、地域ごとで積雪荷重の耐力も異なるので一概に「屋根に上らない」とひとくくりにできません。


ーーでは、いつすればいい?

積雪荷重でドアやふすまが動かしにくくなったり、きしむ音がしたりする場合に屋根雪下ろしが必要です。その場合は、屋根に上る必要があるかもしれませんが、傾斜のある屋根では落雪を待つのが良いと思います。

平らな屋根や建築基準の規制の範囲外である倉庫や車庫に関しては、上記の通りとはいかずなかなか雪が落ちてくれません。アンカー・親綱・安全帯・作業者といった墜落防止のシステムを構築した上で、作業をすべきです。


ーー転落防止の対策ができない場合はどうしたらいい?

安全な作業環境が自身で構築できない場合は、それができる業者にお願いするべきです。自治体によっては屋根雪下ろし費用に対して半額助成するなどの制度もあるので、積極的につかってほしいところです。

ただし、高齢者などの身体的・体力的に作業が困難な世帯や非課税世帯に限られることもあるので、制度利用ができる世帯は現状では限られているのが現実です。

(画像はイメージ)

雪に慣れている人こそ要注意

ーーでは、雪かき全体で注意すべきポイントを教えて

雪かき作業は、体力科学の知見から6メッツ程度の運動強度を要すると言われています。同等の身体活動としては、テニス(ダブルス)、バレーボール、水泳(競泳コース以外でのんびりと泳ぐ)相当と言われています。

早朝の雪かき作業は、早朝にテニス(ダブルス)をするのと同じ有酸素運動だということなので、心不全などの心肺系へのダメージに考慮しなくてはいけません。室内で準備運動をしたりして、早朝の作業でも身体がびっくりしないようにしないといけません。


ーー雪に慣れている人こそ注意することはある?

慣れが一番怖いです。平地の除雪作業と屋根雪下ろしを同じ除雪作業として捉えている方があまりにも多いのが現状です。

特に、リタイヤした方は日中も住宅にいることが多く、やることと言えば雪かきです。雪かきをやりすぎてやるところがなくなって屋根にのぼり事故に遭うといったケースが多いです。屋根雪下ろしは高所作業として別物であるという認識をまずは強くもっていただきたいと思います。

(画像はイメージ)

ーー雪に慣れていない人はどうしたらいい?

「雪に慣れていない地域」をいわゆる非豪雪地域と言えるならば、天候が回復し、積雪が溶けるのを待つのがいいのではないでしょうか。「雪に慣れていない地域」はきっと除雪用具も用意されていないはずですし、積雪で不自由な生活を強いられるのは数日です。

積雪の影響で通院に支障が生じたりするなど積雪によって生じた不自由がほかのリスクを高めてしまうおそれがある場合は、無理に自身で解消するのではなく行政などに相談するのが良いと思います。


ーー除雪作業に適した服装はあるの?

かいた汗が乾きやすい素材で、汗が蒸発しやすい通気性のある服装が望ましいと思います。作業をすると体が温まるので、脱ぎ着しやすい重ね着をするのがいいと思います。

除雪機を扱う場合はマフラーなどが除雪機に絡まるおそれがあるので、ネックウォーマーなどの代替の装備が望ましいです。

(画像はイメージ)

ーー除雪作業で体に負担をかけないようにするにはどうしたらいい?

作業目的や作業者の体のサイズに応じて適切な道具をまずは選んでほしいと思います。

例えば、背の高い方の除雪作業はそれだけ腰をかがめないといけません。その場合は柄の長いスコップを用意すると多少腰への負担は少なくなります。


ーー除雪作業はどれくらいの範囲まで行うべきなの?

雪かきをしないと生活上不自由になってしまうところだけを雪かきするのが肝要だと思います。
やらなくていい除雪はしなくても良いということです。


雪下ろしでの事故は毎年のように起きている。雪かきをする際には軒下には近付かないこと、そしてどうしても屋根に上る必要がある場合は、しっかりと転落防止の対策を取ってほしい。

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