12月に入り、寒さが厳しくなってきた。この時期には疲れを取るためや、体の芯から温まろうと「サウナ」に足を運ぶ人もいるはずだ。そんなサウナの魅力の一つが水風呂だろう。

愛好家の間では、サウナ、水風呂、休憩(外気浴)を繰り返すことで、頭や気分がすっきりすることが“ととのう”とも呼ばれている。

こうした中、大自然の寒さを生かした水風呂を体験できるサウナがあるのをご存じだろうか。

凍った川を天然の水風呂に

それが、北海道・十勝地方で行われる「十勝アヴァント」という試み。入浴イメージの画像を見ると、男性がうっとりした表情を浮かべているが、周囲に見えるのは雪や氷。そう、これは凍った川の氷を切り出して作られた、天然の水風呂なのだ。

ちなみに「アヴァント」とはフィンランドの文化で、凍った湖に穴を開けて水風呂代わりにすること、今回はその十勝版だ。

凍った川を切り出して作られた水風呂
この記事の画像(9枚)

そして驚くべきは、周囲の環境。北海道の寒さは日本でも飛びぬけているが、実施予定の12月~2月はなんと、夜には外気温がマイナス20℃以下になることもあるのだとか。

極寒の中、周囲には壮大な景色が広がる

ネットユーザーからは「楽しそう」「これ行きたい」などと体験を希望する声が相次いだが、同時に「ガチの真冬じゃないっすか」「うぎゃーこれはやばそう」と、寒さに驚く声も見られた。

なぜ、このようなサウナを作ったのだろう。参加者はどんな体験ができるのだろうか。十勝アヴァントを運営する企業「Moving Inn」の企画担当者にお話を聞いた。

北海道の「寒さ」を楽しんでもらいたい

ーー十勝アヴァントを企画した経緯を教えて

弊社は北海道十勝地方の大樹町で、トレーラーハウスを客室としたホテルを運営しています。大きなウッドデッキや、車でけん引できるサウナトレーラーなどがあり、貸し切りで使用できます。ホテルの快適さとキャンプのアウトドア性を合わせたような、アウトドアホテルです。

こうした施設の性質上、季節の変化で影響を受けます。特に北海道の冬は、寒い日には冷え込みます。トレーラーハウスはストーブがあるので暖かいですし、広大な牧場一面に広がる雪景色が見えるなど、とても美しい季節なんですが…気温の低下に比例して、お客様が夏場より少なくなっていました。ですが、こうした「寒さ」自体も北海道の魅力なので、これも含めて北海道を楽しんでもらいたいと思ったのが始まりです。

車で運ばれるサウナトレーラー

ーー極寒の中でサウナを始めたのはなぜ?

僕自身、サウナが好きだったのでフィンランドのアヴァントに憧れがあったのですが、寒さを楽しんでもらいたいと思ったときにそれを思い出しました。「北海道でもできるじゃん」と。先述の通り、うちはサウナトレーラーがありますので、企画してすぐに実施できました。おそらく日本では北海道でしかできない、寒さを逆手に取ったアクティビティが作れたと思っています。


ーー開催は今回が初めてなの?

2019年の冬から実施しています。サウナブームの盛り上がりもあってかご注目いただき、SNSなどでも多く話題にしていただきました。ただ、昨年時点での認知度はかなり低く、過激なネタ的な扱いが多かった印象です。ですが、全国のディープなサウナーの方々は実際にお越しくださって、「日本でアヴァントができるなんて!」「ここは日本のフィンランドだ」とのお言葉をいただき、お喜びいただけたかと思います。

サウナトレーラーの内部はこんな感じ

川の水温は0℃になることも

ーー実際の入浴はどんな流れで行われるの?

事前にスタッフが凍った川に穴(僕らはアイスホールと呼んでいます)を開けておき、お客さまにはそこへ来ていただきます。アイスホールの近くにはテントとサウナが設置してあり、まずはテントで水着に着替えていただき、サウナへ入っていただきます。ここからはお客様のお好みですが、しっかり汗をかいたらアイスホールへ入水。上がったらすぐにタオルで体を拭いて外気浴し、体が落ち着いたら再びサウナへ、というような流れです。

※現在利用できるサウナは「テントサウナ」が基本。Moving Innが経営する宿泊施設に泊まる場合はサウナトレーラーの設置にも対応する。

こちらがテントサウナ

ーー正直、寒いのでは?温度はどれくらいになる?

その日の気温にもよりますが、テントサウナの場合は80~90℃前後、サウナトレーラーであれば100℃前後です。薪の量によって、温度は調整できます。また、川の水温は1℃程度です。(以前計測したときは、0℃をさしていたこともありました)。外気温は時間帯によって異なりますが、昼でもマイナス1桁台にはなると思います。

サウナトレーラーでは100度前後を体感できる

ーーお勧めの入浴法は?

基本的にはお客さまにお任せですが…僕のおすすめは「そろそろ出ようかな」と思ってから30~60秒ほど長くサウナに入って、汗をかくのがよいと思います。そして水風呂から上がったあとは、速やかに全身をしっかり拭いて外気浴するのがポイントです。外気温もマイナスであることが多いので、拭かないと水着が凍りますし、体の表面も若干パリッとします。

よりディープな「ととのい」に期待

ーーいわゆる「ととのう」ことはできる?

はい、ととのいます。水風呂が抜群に冷たいので、サウナとの温度差もかなり大きいため、よりディープな「ととのい」があると思っています。

外気浴と水風呂で二重の寒暖差を体感することもできる

ーー読者に呼びかけたいことはある?

今冬は開催日程を10回ほどに決めさせていただいての実施となっていますが、弊社の宿泊施設「晩成グランドスイート」にご宿泊いただくお客さまであれば、特別に開催も検討させていただきますので、ぜひご相談ください!北海道の広大な土地に広がる雪景色を楽しみながら、 地球で「ととのう」サウナ体験を、ぜひご体感ください。

※宿泊者用の特別開催は貸し切りとなるため、日程や費用は要相談。詳細はMoving Innのメールアドレス(info@moving-inn.com)に問い合わせてほしいという。

北海道を全身で感じられるサウナかもしれない

凍った川を水風呂としたのは、北海道の寒さを逆手に取ったアイデアからだった。体がほてった状態で入る大自然の水風呂は、なかなか体験できないものだろう。温度差が激しいとのことなので、自身の体調に留意しつつ、楽しむのもよいかもしれない。

十勝アヴァントは、12月26日から2021年2月21日までの土日限定で開催。参加は予約制で、1日2回、A(11:00~13:30)B(14:00~16:30)の時間帯で行われる。1枠あたりの定員は12人で、最低でも2人以上の参加が開催条件となる。参加費は1人あたり、2万円(税込み)。

(画像提供:Moving Inn)

【関連記事】
サウナにハマる女性たち…「ととのう」熱風のロウリュ初体験 爽快感のとりこに【北海道発】