ロールケーキに隠された誕生ストーリー

ふわふわのクリームたっぷりの真っ白なロールケーキ。作ったのは、北海道土産「白い恋人」で知られる石屋製菓。新型コロナの影響で観光客が激減し、食品ロスに涙する酪農家の思いを受け止めた若手社員の企画が逆転の商品開発に繋がった。

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石屋製菓 広報課・亀村建臣さん:
(コロナ禍での苦肉の策から)まさかこういうふうにロールケーキが商品開発して生まれるなんてことは、僕的には夢にも思っていなかったんですよ

応援購入サイト「Makuake」で11月20日に発売された「北海道しあわせロール」。

ロールケーキは掲載から約2週間で予定数が完売。販売枠を増やす人気ぶりとなった。

注目を集めた理由のひとつが、その“誕生ストーリー”にある。

きっかけは若手社員の農業研修

新型コロナの影響による観光客の激減を受け、石屋製菓は年間70万人以上が工場見学などで訪れる自社運営の観光スポット「白い恋人パーク」を4月中旬から臨時休業(※現在は一部を除き営業再開)。工場も休業に追い込まれ、多くの従業員が自宅待機を余儀なくされた。

そこで始めたのが若手社員の農業研修。6月から5カ月にわたり、北海道内の農家や酪農家などに約100人の若手社員が交代で参加した。

参加した社員(インスタグラムより):
かわいがったりだけでなく、餌を作ったり、寝床の掃除をしたり、大変な仕事も多いです

生産者の苦労や、お菓子の原材料となる生乳の大切さを実感する一方、新型コロナの影響で社会問題化した“食品廃棄”の現実を突きつけられたという。

研修に参加した野崎佳奈子さん:
酪農家さんの言葉ですごい印象的だった言葉があるんですけど「本来、生乳というのは子牛のために乳牛が出しているもので、それを、私たちが私たちの都合でもらっている。それが無駄になっている現状があるということは、私たちは涙が出るほど悲しい」と…

参加した社員(インスタグラムより):
この、牛と酪農家さんたちの努力の賜物(生乳)を、今後は私たちがお菓子という形で、幸せに繋がるものに出来たらと思います

そうした若手社員の提案から商品化されたのが、あのロールケーキ。

研修に参加した野崎佳奈子さん:
原料の大切さというものもすごく身をもって実感したし、それを形を変えて多くの人にお届けするという、そういう意識をしっかりと持てたというのはすごくよかったなと…

誕生秘話に共感の声

購入者からは「厳しい環境の中、くじけずに新たな試みをする経営者と、その体験から新商品を考案する新たな若者のチャレンジに応援したくなりました!」「若手社員さんの頑張りが伝わる素敵なコンセプトですね」などの応援のコメントも寄せられる。

石屋製菓 広報課・亀村建臣さん:
(農業研修が)期待以上の効果という。目に見えるアウトプットとしての商品だけじゃなくて、社員の成長とかマインドの醸成とかがはかれたのでよかったと思います

ピンチから生まれた逆転のロールケーキ。

お菓子作りの原点に向き合う真っ白な思いが、消費者にも届いたのかもしれない。

(「Live News α」12月24日放送分)