人里離れた標高600メートルの山のふもとに…本格的なドイツ仕込みのパンで評判の店
愛知県豊根村の小さなパン屋「ミンデン」は、山奥にあるにもかかわらず、連日多くの客が訪れる。人気の理由は店主が作る本場ドイツ仕込みのパン。ドイツ人も多く来店し、母国で食べるパンと同じ味だと買っていく。
パン屋をやりたかった夫と、田舎暮らしがしたかった妻。山奥の「ポツンと人気」の店には、夫婦の夢が詰まっている。
名古屋から車で約2時間。愛知県北東部に位置する豊根村。自然豊かな人口1000人あまりの小さな村に、ポツンと人気のパン屋さんがある。
山道を先へ進んでいくと、「ミンデン」の看板があり、さらに坂道を上るとお店があった。
豊根村の中心部から南西、人里離れた標高600メートルの山の麓にポツンとある、ドイツパンのお店「ベッケライ ミンデン」。
訪れたのは土曜日の午前10時。パンを焼く臭いが香ばしい店内は賑わっていた。
浜松市から来た男性客:
何回か通って先週寄ったんですよ。売り切れで悔しいので、今朝一番で来て
豊川市から来た女性客:
素朴なんだけどクセになる味で、また食べたいなって思っちゃうような
酸味の後、噛んで行くうちに甘味が出てくる逸品
「癖になる味」と評判の、本場ドイツ仕込みのライ麦の風味が香ばしいパンに、ドイツ発祥の菓子パンなど25種類が揃っている。
一番人気はライ麦をたっぷり使ったドイツパン「ミンデナーランド」（600円）。
程よい酸味の後、噛んでいくうちに甘味も出てきて、味の変化が感じられる逸品だ。適度の厚さにカットし、チーズや生ハムなどをのせれば、赤ワインとも相性抜群。
パンの焼き上がりに合わせてお店はオープン。お客さんは次から次へとやって来る。まさにポツンと人気店だ。
昼過ぎに約250個のパンが完売し、閉店。
夫はパンのお店、妻は田舎暮らし…互いの夢を叶えた店
営むのは、店主の山口美知英さん(72)と妻の智恵子さん(76)。美知英さんがパンを作り、智恵子さんが接客を担当。12年前から夫婦二人三脚でやってきた。
ドイツ人も多く来店し、「母国で食べるパンと同じ味」と買っていくという。美知英さんは、仕事の出張で食べたドイツパンに一目惚れ。49歳で脱サラし、単身ドイツへ。
4年間の修業で習得した本場の味を、この豊根村で披露しているが、山奥で店を開いた理由は…。
美知英さん:
私の希望としては、ドイツに行ってパンを習いたいと
智恵子さん:
私は退職したら、田舎でゆっくり過ごしたいという希望があって
美知英さんの夢はドイツパンのお店の開業。智恵子さんの夢は田舎暮らし。夫婦2人の夢を叶えたら、山奥にポツンとパンのお店ができた。
豊根村に多くの人に来てもらいたいと2019年、店の隣の古民家を買い取り、宿泊施設をオープン。
2人なりの「村への恩返し」だ。
ポツンと人気のパンのお店には、本場のドイツパンと、愛情溢れる夫婦の姿があった。
ドイツパンのお店「ベッケライミンデン」は、パンが焼き上がる午前9時半ごろ開店し、売り切れ次第閉店。定休日は毎週火曜、水曜、木曜。
（東海テレビ）
