人間の感情の深さが実写で倍増

コロナに翻弄(ほんろう)される今だからこそ見えてきた、映画の役割。そして人間の真実とは。映画『約束のネバーランド』の平川雄一朗監督に、今だからこそ高まる、エンターテインメントの意義について聞いた。

全世界累計発行部数2,500万部超えの人気コミックが実写映画化された。

平川雄一朗監督:
実写でしか味わえない、人間の持っている感情の深さが、実写で倍増します。

平川雄一朗監督
平川雄一朗監督
この記事の画像(4枚)

友情、家族の絆、理不尽な裏切り・・・

映画のナレーション:
グレイス=フィールド孤児院。優しいママとたくさんのきょうだい。だけどここは・・・。私たちは食べられるために生きてる。

孤児院で育てられた子どもたちが、実は自分たちは鬼の食料として飼育されていると知り、過酷な運命にあらがう姿を描いた映画『約束のネバーランド』。

撮影が始まったのは、国内で新型コロナウイルスの感染が確認される前。

製作過程で世の中が一変する中、平川監督は、作品が今の社会と地続きである意味合いが強まったという。

希望を見つけて諦めない姿に共感

平川雄一朗監督:
当たり前が当たり前でなくなったところ、逆境と言いますか、そういう世界は、共通して苦しい中にいる子どもたちが脱獄し脱出する、希望を見つけて諦めないでいる姿は共感してもらえるところかなと思っていた。

映画の台詞:
ここに居たら殺される・・・。誰1人、もう家族を死なせたくない。

『週刊少年ジャンプ』では、異例とも言える女性が主役の物語。
天真らんまんで真っすぐな性格の主人公・エマは、浜辺美波さんが演じた。

平川雄一朗監督:
12年前くらいに『ROOKIES』という男だらけの映画をやって、まさか12年後に、こうやって女性主役の映画を作るとは思いませんでしたが、今ジェンダーレスだし、男がほれてしまう女性とか、そんなすてきな女性がいたら世の中にもいいなと思って撮影していました。

これまで、数々の人気少年漫画などを実写化してきた平川監督。

エンタメには人間の真実がある

不要不急が叫ばれる社会において、さまざまな人間模様が凝縮された映画をはじめとしたエンタメ作品には、社会的な役割があると指摘する。

平川雄一朗監督:
生きていく中で、本当に必要かと言われたら必要じゃないのかもしれないけど、エンタメに触れる時間があって、余裕があることだけでもありがたいし、でも昔からなかったかといえば歌や踊りは昔からあって、どこか人間が必要な要素だと思う。

心の豊かさだったり、余裕だったり。それは忘れないようにしたいし、どこか人間の真実があるのではないかと思ってやっています。

(「Live News α」12月21日放送分)