12月に入り、街はクリスマスムードに包まれている。
そんな中、ドイツの伝統菓子を作っている夫婦がいる。

都会から離れた街に家族で移住して4年。
その暮らしとパン作りへの思いに迫った。

ドイツの菓子パン「シュトーレン」 クリスマスを告げる味

クリスマスに欠かせないドイツ伝統の菓子パン「シュトーレン」

この記事の画像(17枚)

このシュトーレンを販売しているのは、広島・三次市にあるパン屋さん「ベッカライナガヤ」。

作っているのは、ドイツ人のシュテファン・マイクさんと妻の村上洋子さん。

村上洋子さん:
シュトーレンはでき上がった形が、(生まれたばかりの)キリストがおくるみに包まれているようなので、クリスマスのシンボルとされている

シュテファン・マイクさん:
毎年シュトーレンを作るころにクリスマスの歌が流れて、楽しいクリスマスの気分になる

生地には、レーズン、いよかんピール、アーモンドが練りこまれている。
フルーツを漬けるのに本来はラム酒を使うが、2020年は日本ならではの「焼酎」に。

村上洋子さん:
焼酎でつけた方が、アーモンドやレーズンの香りがよく出て、(これまでより)良くなったと思います

1カ月以上日持ちのするシュトーレン。
ドイツでは、クリスマスまでカウントダウンしながら薄くスライスして食べていくそう。

衣笠梨代アナウンサー:
フルーツとナッツの香りが口いっぱいに広がります。結構しっとりしてますね。甘みもしっかり感じられて、おいしいです、幸せになる味です

自然豊富な中で…子どもたちとの穏やかな暮らし

2人が出会ったのは16年前。
洋子さんが21歳のとき、パン作りを学ぶためドイツに留学し、現地のパン屋で働いていたのがマイクさんだった。

2人は結婚後、5年間ドイツで暮らしていたが、だんだんと帰国を考えるようになった。

府中町出身の洋子さんは、自然豊かな場所での生活への憧れもあり、以前、祖母が住んでいた空き家が頭をよぎったという。

村上洋子さん:
日本で住むなら、ここに住みたいなとずっと思っていたので。小さいころ好きでよく来てたんですよ。田舎の方が好きなので

2人には4人の子どもがいる。
小学5年生から2歳の子どもたちは、いつも元気いっぱい。

ーーみんな揃うとにぎやかですね

村上洋子さん:
いつもはもっとうるさい

シュテファン・マイクさん:
きょうはちょっと違う。

村上洋子さん:
毎日(子どもを)怒ってますけど、わりと自由にできるというか、周り近所に迷惑がかかりにくい。ストレスがないと言ったら違うけど、都会よりは少ないと思います

築130年の家をリノベーション DIYでリサイクルも

大きな梁を生かしてリノベーションした築130年の家。

子どもたちのお気に入りは?

長男・ティモくん:
薪ストーブの前。ここが好き

村上洋子さん:
あの前から動かんもんね

家族みんなの特等席のよう。

マイクさんは三次での暮らしで、すっかりDIYにもはまった。

ーーどれを作られましたか?

シュテファン・マイクさん:
屋根もウッドデッキも全部リサイクル。昔の板を使って

次男・カイトくん:
手作りっぽいのは全部パパが作った

シュテファン・マイクさん:
木のものは全部自分で。ベンチ、看板も。楽しい

店の名前「ベッカライナガヤ」の「ベッカライ」はドイツ語で「ベーカリー」、「ナガヤ」は洋子さんの祖母の家の屋号からとった。

田舎ならではの「生活スタイル」 家族で育む“幸せのパン”

5年目を迎えるパン屋では、主にライ麦を使ったパンを販売。
天然酵母はオープン当初から継ぎ足してきたものを使用している。

地元・三次市甲奴町産の小麦を使うなど、原料にもこだわり、改良を重ねる中でリピーターのお客さんも増えてきた。

お客さん:
ブレッツェルです。子どもたちが食べたいと言うので

三次での認知度も上がってきたお店。

しかし、マイクさんは…。

シュテファン・マイクさん:
毎日パン屋さんやりたくない(笑)

村上洋子さん:
ドイツでは夜11時に仕事が始まるんですよ。朝の9時、10時とかで終わって、ちょっとだけ寝て、また仕事に行く

シュテファン・マイクさん:
ちょっと大変

ドイツでは週に6日働くときもあったが、今、営業日は週に3、4日。

2人が求めたのは、田舎ならではの「バランスのとれた」生活スタイルだった。

シュテファン・マイクさん:
パン屋さん楽しい

村上洋子さん:
家族みんなが楽しくできるように、お店もやっていけたらいいと思う

家の裏にある畑では、パンの具材となる野菜の栽培も行っている。
この日は、みんなでタマネギを植えていった。

子どもたちにとっては、お手伝いも遊びの1つ。

親子そろって畑の世話もして、休日は家族の時間を大切にしている。

そんなマイクさんと洋子さんが作る「シュトーレン」。

クリスマスを前に寒さが増すこの時期、シュトーレンは家族のぬくもりを感じながら食べる伝統のお菓子でもある。

村上洋子さん:
家族でみんなで少しずつ切って食べてもらって、また何日か置いて食べてもらうと、味が少し変わってくるので、そういう風に楽しんでもらえたら

地域に根付いた豊かな暮らしから生まれる幸せのパン。
これからも多くの人に笑顔を届けていく。

(テレビ新広島)