気軽に本屋さんを始められる仕組みとは?

誰でも、いつでも、一冊でも、本屋さんを始めることができる新たなプラットホームが登場した。

木の温かみが感じられ、オレンジの明かりが落ち着く小さな本屋…こちらを運営するのは畑違いともいえる建築会社だ。

東京・文京区にある「plateau books」は金・土・日の3日間のみオープンする本屋さん。

「plateau books」(東京・文京区)
「plateau books」(東京・文京区)
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「プラトーブックス」を運営 東京建築PLUS・中里聡代表:
平日は建築の仕事をして、週末は本屋をしています

この“週末本屋”を可能にしたのが、出版取次会社の楽天ブックスネットワークが運営している「Foyer(ホワイエ)」というサービス。

楽天ブックスネットワーク 事業開発部・友金卓也さん:
誰でも簡単に、言ってしまえば、あしたからでも本屋さんを始めることができるというのが、ホワイエの特徴的なサービスです

通常、本屋が新刊の本を仕入れるには、出版取次会社と契約する必要がある。

配送の「物流コスト」と、一定期間売れなかった場合の「返品リスク」などを抱えている出版取次会社と契約するには、月に数百万円の売り上げが見込めることや、高額の保証金が必要になる。そのため、初期費用が膨大になってしまい、小規模の本屋を開く弊害になっていたのだ。

「プラトーブックス」中里代表:
本屋さんを始めるにあたっては取引する条件が多く、制約があるんですよね。あと初回の取引時に保証金の入金があったりするので、週末だけの本屋ですとなかなか難しいかなと…

小規模な本屋づくりを可能にしたホワイエの仕組みとは…

ホワイエは、保証金などの初期費用が不要で、1冊から本を仕入れることができるサービス。約200万冊ある在庫の中から自由に発注できる仕組みで、仕入れた本は返品も可能で低リスクで本を販売することができる。

この仕組みで「本屋」以外でも手軽に本の販売が可能になった。

世の中の全ての小売店が本を併売することも可能に…

一方、猫をモチーフとした雑貨を置く千葉・市川市の三毛猫雑貨店。ここではホワイエを活用して雑貨と一緒に、猫に関する本を販売している。

本を置くことで客の滞在時間が延びたほか、うれしい効果もあった。

三毛猫雑貨店・石井安佐子さん:
本に関連したグッズや雑貨をたくさん置いてますので、本のファンの方が雑貨を買いに来てくださったりとか、グッズを気に入った方が本を手に取ってくださったりという相乗効果があります

楽天ブックスネットワーク 事業開発部・友金卓也さん:
世の中に、喫茶店を含めた小売店って、何万店、何十万店ってあるじゃないですか。そこが、言ってしまえば全て(出版取次会社の)お客さまに変わっていくわけなんですね…ということは、めちゃくちゃビジネスチャンスがあるやんと思ったんですね

未来の読者=子どもたちが本に出会える場を作りたい

年々減っていく本屋以外に、新たな販路を開拓したホワイエ。そこには、“未来の読者”への思いがあった。

楽天ブックスネットワーク 事業開発部・田口幹人さん:
誰でも本屋ができて、どこでも本屋ができる仕組みを作ることで、街の中でもう一回本と出会える場を作りたいというのが、ホワイエの一番大きな目的の一つになっています

楽天ブックスネットワーク 事業開発部・田口幹人さん:
そこの中で、どうしてもやっていきたいなと思っているのが“これからの読者”。今までの読者の方々も、もちろん大事なんですけど、どちらかというと子どもたち。自分の足で本を買いに行くことができる環境、本と出会える環境を作ってあげるということが、僕らとしては、これからすごく大事な読者を育てていくことにつながるんじゃないかなと考えています。

(「Live News α」12月10日放送分)