物価高の波は、地域で愛される町の寿司店をも、のみ込もうとしていました。
その日仕入れた鮮度抜群のネタを、この道35年の大将が握るお寿司はまるで宝石のような輝きを放ち、食べる人を笑顔にさせます。
そんな常連客たちの絶大な支持を受け、順調そうにも見える東京・八王子市内の寿司店ですが、仕入れ値の高騰に悲鳴を上げていました。
淳ちゃん寿司 大将・地引淳さん:
恐ろしい。ちょっと異常なくらい(上がってる)。
例えば、ランチタイムの看板メニュー「特上握り12貫」を見てみると、ウニの仕入れ値は2025年に比べ1.5倍。
イクラに至っては4倍にも高騰。
さらに、このセットには本来ホタテが入るのですが…。
淳ちゃん寿司・平原龍之介さん:
ホタテが今日高くて買えなくて、赤貝が安くて良かったので赤貝にしました。
もう1つの看板メニュー「海鮮丼スペシャル」も、13種類のネタのうち8つが2025年と比べ値上がりしているといいます。
さらに、原油高の影響を受け光熱費や持ち帰りの容器代も高騰。
生ビールを提供する際に必要なガスボンベの費用まで2倍になっているといいます。
今、お寿司を取り巻く環境は厳しさを増しています。
東京商工リサーチの調査によりますと、2025年一年で倒産や廃業・休業をした寿司を提供する企業は172件と、近年では突出した形に。
この調査はあくまでも企業が対象で、取材した八王子の店のようないわゆる“町の寿司店”にとってはさらに厳しい状況だといいます。
淳ちゃん寿司 大将・地引淳さん:
(Q. 閉業する店も?)多いです多いです。(八王子近辺で)知ってるだけで7件…10件弱。下手したらもっとあるかな。
何とか値上げをせずにお客さんの喜ぶ顔が見たい。
大将は店の備品を切り詰めるのはもちろん、できる努力は全てしていると話しますが…。
淳ちゃん寿司 大将・地引淳さん:
(私は)前向きな性格だと思うが、実際ノリだけではのり越えられないのかなと。ない頭を振り絞ってどうするか考えていかないといけない。
そんな大将の当面の心配は、関連法案が6日に衆議院を通過した飲食料品の消費税減税についてだといいます。
淳ちゃん寿司 大将・地引淳さん:
一番はお客さんが減るのが怖い。飲食だけ(税率)10%なんで、外食が減るんじゃないか。
さらに、56歳の大将が頭を巡らせ始めているというのがこの店の将来。
現在この店の店長を務め、仕入れ全般を任せているお弟子さんにいずれは店を継いでほしいと考えていますが…。
淳ちゃん寿司 大将・地引淳さん:
やっぱり(店の経営が)いい時に引き継いでほしいんで、一番どん底で引き継ぐのはかわいそう。一緒にどうやってお客さんを減らさないように頑張っていくかを考えている毎日。
