秋田県内では2026年秋のクマ目撃件数が前年を下回る一方、県民の不安は依然として大きい。AKTアプリで実施したアンケートでは、回答者の約半数がクマを目撃した経験があり、約6割が脅威を感じていると回答した。寄せられた疑問や要望からは、クマとの遭遇への不安だけでなく、行政に求める情報や支援策も見えてきた。
半数がクマを目撃 市街地での遭遇も
LiveNewsあきたは、AKTアプリでクマに関するアンケートを実施し、205人から回答を得た。

「クマを目撃したことがあるか」との質問には、約5割が「はい」と回答した。さらに、目撃した人の半数が“市街地”での目撃だった。
街頭インタビューでは「温泉施設の近くで見た」「高速道路を横切っていた」「子犬だと思ったらクマだった」などの声が寄せられた。
クマとの遭遇は山間部だけでなく、身近な場所でも起きている実態が浮かび上がった。
約6割が脅威を実感

「クマの脅威を感じたことがあるか」という問いには、約6割が「はい」と回答した。
自宅や職場の近くでの目撃情報を理由に挙げる人が多く、街頭でも「突然現れた時に対応できるか不安」「出くわしたらどうすればいいのか分からない」といった切実な声が寄せられた。
目撃件数の増減にかかわらず、クマへの警戒感は県民の暮らしの中に根付いている。
専門家が語る「遭遇した時の行動」
こうした県民の不安や疑問について、東京農業大学の山﨑晃司名誉教授に話を聞いた。
山﨑名誉教授は、クマと遭遇した際に最も重要なのは「クマを驚かせないこと」だと指摘する。
走って逃げるとクマが反射的に追いかけてくる可能性があるため、クマに正対したまま落ち着いて様子を確認し、可能であれば後ずさりして距離を取ることが望ましいという。
また、防御姿勢は出合った瞬間ではなく、攻撃を受ける可能性が高まった段階で取るべきだと説明する。

クマによる人身被害では顔や頭部のけがが多いことから、最優先で守るべきは“顔と頭”だ。
クマ鈴だけではない 遭遇を防ぐ工夫

アンケートでは100人が何らかのクマ対策を行っていると回答した。
最も多かったのは、クマ鈴やラジオなど「音の出るものを持ち歩く」対策だった。
山﨑名誉教授は「音を気にしないクマもいるが、人の存在を知らせる効果がある」として携帯を勧める。
さらに、クマは渋柿も食べるほか、発酵臭やガソリン、ペンキ、防腐剤のにおいも好むという。特にドッグフードや家畜の餌はクマを引き寄せる原因となる。クマの嗅覚は人間の数万倍優れていて、3~4キロ離れた場所からでも来るため、管理の徹底が必要だ。
山については「クマがいるからといって利用を控えすぎる必要はない」としながらも、山菜採りやタケノコ採りなどクマと行動範囲が重なりやすい活動には注意を呼びかける。

山に入る際はクマ鈴や撃退スプレーを携帯し、帽子や手袋を着用することが有効だという。
行政への疑問や要望も多数
アンケートでは、県や市町村のクマ対策に関する質問や要望も多く寄せられた。
中でも多かったのが「クマの捕獲頭数を知りたい」という声だ。

県によると、2026年度のクマ捕獲数は10月16日時点で361頭。市町村別では鹿角市が68頭で最も多く、県内で捕獲されたクマは全て駆除されている。捕獲頭数は県のホームページで市町村ごと、月ごとに公表されている。
また、「クマ対策用品の購入費を補助してほしい」という要望も寄せられたが、県は現時点で補助制度を設ける予定はないとしている。

さらに、「箱わなの設置場所を公表してほしい」という意見については、わなへのいたずらや、住民が近づくことでクマと接触する危険があるため、公表を控えていると説明した。
目撃減少でも油断は禁物
2026年秋のクマ目撃件数は前年を下回っている。しかし、県民の半数が目撃経験を持ち、6割が脅威を感じているという結果は、クマが依然として身近な存在であることを示している。
いつ、どこで、誰が遭遇してもおかしくない。その前提に立ち、遭遇した際の行動を知ること、そして出合わないための対策を続けることが、自らの命を守る第一歩となる。
(秋田テレビ)

