正副議長のポストをめぐる金銭授受疑惑で“百条委員会”設置が決まった福岡県議会で、新たな告発者が現れた。民主系会派で副議長を務めた元県議が、“ドン”と呼ばれた実力者の蔵内前議長に対し、現金で500万円を直接手渡していたと実名で証言。更に“疑惑”が深まった格好だ。
「議員辞職に値すると思ってた」
10月23日。福岡県庁で会見を開き、金銭授受を告発したのは、かつて『民主県政クラブ』に所属していた新村雅彦元県議だ。

新村さんは、会見の冒頭、「2012年に自分が副議長に就任して以来、金銭授受問題がずっと自分の中にまとわりついていた。個人の意思として、もう議員辞職に値するものだという風にも思っていた」と心の内を吐露した。そして、一連の疑惑報道で金銭授受を堂々と否定する自民県連幹部を見て、自分が“生き証人”として事実を話そうと実名での告発を決心をしたという。
「蔵内会長に500万用意しろ」
新村さんは、民主系の県議だった2012年5月に副議長に就任したが、その前月、金銭にまつわるやりとりがあったことを明らかにした。

「『蔵内会長に500万円用意しろ』と。茶封筒に包んでお金を渡しました。私の公表が、悪しき文化のない県議会になることであればと切に願っています」。

現金を渡すように指示したのは、当時、会派の会長だった吉村敏男元県議だったと新村さんは明らかにした。

金の話が出たのは、吉村氏から「副議長の意思があるか?」と問われた後だったという。
「私に指示したのは、全て吉村敏男県議であります。吉村氏の方から蔵内会長に名指しで、『蔵内会長に500万を用意しろ』と言われておりました。『ええ!』という感じはしましたが、結局、流れに乗ってしまったというのは、自分の弱さだという風にも思っています」。

新村さんは、長年、手帳にその日のスケジュールなどを細かく記す習慣があるという。この日持参した手帳に当時のことが細かく書き残されていた。

注目は、副議長に就く直前、2012年4月9日。「一席設けろよ」と自分の会派の会長である吉村氏に促され、中洲の料亭で自民党県議団の幹部3人を接待することにした新村さん。

その場を利用して、蔵内前議長に現金500万円を渡そうと思っていたと当時を振り返る。

「会は、午後6時くらいから始まったと思いますが、私は少し早めに行きました。蔵内会長は早めに来ていらして、他の方は、いらっしゃらなかったので、その折に渡した。『これですよ』なんて言いません。阿吽の呼吸なのか、茶封筒でお金をお渡ししたというところです。蔵内会長は『うんうん』と言ったくらいで、別に言葉でああだこうだということは、なかったと記憶しています」。

新村さんは自らの『主観』としつつも現金を受け取った蔵内前議長の様子について、「平然とされていましたね。当然と言ったら失礼かなと思いますが、そのまますっと受け取られました」と振り返った。
民主系会派も“ドン”と二人三脚?
これまで一連の告発を実名で行ったのは、自民党にいた3人だけだったが、今回、民主系会派の元県議の告発で、福岡県議会の内部では、自民党以外にもポストをめぐる金銭授受の闇が広がっていたことが、初めて公の場で明らかになった格好だ。

蔵内前議長と“二人三脚”で県議会を“回していた”吉村敏男元県議は、議員を退いた後も事実上の“院政”を敷き、民主系会派と自民・蔵内前議長を繋ぐパイプ役として活動していたことから、新村さんは、自分の後に副議長を務めた複数の後輩議員についても「悪しき文化といいますか、金銭のやりとりがなかったとは言い難い」との懸念を示した。
今回の新村さんの告発で「蔵内会長に500万用意しろ」と指示したと名指しされた吉村敏男元県議は、「いやいや、言ってない。(受け渡しの場に)立ち会ったわけでもないし、茶封筒を見たわけでもない。それは荒唐無稽やね」と自らの関与を全面的に否定した。

これまで匿名での取材に応じていた新村さんは、蔵内前議長が記者の質問に対し、「匿名の人に言われても無視するような反応だった」のを見て、「いつの日か蔵内前議長に対し、『私があんたに(金を)やったろうが!』と申し上げるつもりでずっといた」と長年、口にできなかった思いを率直に口にした。
「現金を手渡した」と名指しされた蔵内前議長は、マスコミ各社に対し書面で以下のコメントを送ってきた。

「新村氏の発言の意図は不明ですが、事実に反し、私の名誉を毀損する発言ですので、会見内容を精査した上で関係者とも協議し、必要となれば断固として法的措置を講じる所存です。現時点において各社の取材に回答することは差し控えさせていただきます」
なお、蔵内前議長は「来週にも会見を開く」と話しており、その場で何を明らかにするのか、改めてその発言に注目が集まっている。
(テレビ西日本)

