正副議長ポストをめぐる金銭疑惑などに揺れる福岡県議会で10月17日、強い調査権を持つ調査特別委員会“百条委員会”の設置が決まった。設置までには、緊急動議や4回の本会議開催など、迷走の末に自民党県議団を含む大半の議員が突如、賛成に回り決着した。背景になにがあったのか取材した。
“百条委”設置求めた「緊急動議」
今回の福岡県議会9月定例議会では、少数会派を中心に“百条委員会”設置を求める動きがあった。当初は、弁護士など有識者らでつくる『第三者委員会』の調査が始まったこともあり、“百条委員会”設置には、提案があっても否決になるとの見方が強かったのだが…。
閉会予定日の10月16日。朝から“百条委員会”設置の提案をめぐり、慎重派と推進派の攻防がスタート。主要5会派の代表者会議では、各会派の会長から2027年2月末までとする調査期間の短さやプライバシー保護などを懸念する声が相次ぎ、会議は2時間を超えた。

議案は、16日中に議会運営委員会で議論されることになったが、午後4時前に開会した本会議で、突然、吉松源昭議員が『緊急動議』を提出。

「議会運営委員会で継続審議審査となれば、12月定例会まで採決されない。そうすると実質の廃案だ」として、継続審議を避けるため、議会運営委員会での議論を経ずに即時採決を求めた。

しかし、各会派はこれに反発。対応をめぐり本会議は中断した。

3時間に及ぶ休憩の後、再開された本会議で『動議』は、賛成少数で否決された。
その後、議案を付託された議会運営委員会が午後8時過ぎにスタート。自民党の井上博行議員が「選挙で戦う相手から調査を受ける可能性もある。調査を受ける段階で印象操作の可能性もある。公平性をどう担保するのか?」と尋ねた。

これに対し吉松県議は、「事実無根の話においては、誰に聞かれようが事実無根。委員長が配慮すればいい」と答えた。

結局、約3時間の議論の末、『継続審査』ということに決まった。
2人退席9人反対も…百条委設置へ
しかし、日付をまたいで午前3時40分に始まった4回目の本会議では、一転して議運の判断が否決。継続審査とならなかったため、すぐに議案の採決が行われ、自民の数人と一部少数会派の議員らを除く大半が、百条委員会の設置議案に賛成した。

TNCの調べでは、賛成が74人、採決前に自民党の2人が退席。反対したのは、自民党の6人と少数会派の3人、合わせて9人に留まった。

提案者の吉松県議は、「ひとえに県民の声。自民党県議団の若手が重い決断をされたのは大きいことだ」と予想外の結果に驚きを隠せなかった。

自民若手が“賛成”に回った背景は…
“百条委”設置の背景には、自民党県議団が、会派の方針を一本化できなかったことがある。会派内の会議で、1期目、2期目の若手から、百条委員会設置に反対すべきでないとの声が多くあがり、最終的に渡辺会長が、「それぞれの議員で賛否を決めて欲しい」と“自主投票”にしたためだ。

8月の臨時議会では、蔵内勇夫前議長の議長職辞職勧告決議案の中止動議を出し、それに賛成した多くの議員がSNSなどインターネット上で厳しい批判を浴びた。
2027年4月に実施される統一地方選挙で、自らの県議選が控える中、若手議員や当選回数の少ない議員達は、一連の疑惑解明に後ろ向き、古い自民党や蔵内前議長を支持する議員と見られないようにしたいという意識が強く働き、一気に大勢が『百条委』設置賛成に流れたとみられている。今後は、“百条委員会”がいつ始まり、誰が調査委員となるかが焦点となる。

果たして、“高すぎる”海外視察問題や正副議長をめぐる金銭授受疑惑など、一連の疑惑が県民の納得できる形で解明されるのか。福岡県議会の刷新に繋がる調査が期待されている。
(テレビ西日本)

