新築住宅の価格高騰が続く中、福岡県は『空き家』を再生して子育て世帯などに販売する全国初の取り組みをスタートさせた。
古い和室は解放感あるリビングに
建設費の高騰などを背景に上昇を続ける住宅価格。不動産経済研究所によると、2025年の全国の新築分譲マンションの平均価格は6556万円。前の年より約470万円上がり、9年連続で過去最高を更新した。

「3~4年前くらい価格が上がり始めた頃に買った。資産になるから」(30代・男性)
「今だったらもう建てられない。家を持てない」(40代・女性)

そうした中、住まいの新たな選択肢として注目されているのが、福岡県内でも増えている『空き家』だ。

福岡市に隣接する久山町の一軒家。建物の外観では分からないが、築29年の元“空き家”だ。
リフォームを経て今は中島彩斗さん(31)一家4人が暮らしている。
それまで住んでいた賃貸住宅が手狭になり、一軒家の購入を決めたという中島さん一家がこの家に引っ越してきたのは2026年4月。

新築も含めて検討する中、敢えて『空き家』を選んだ理由は、ズバリ「価格が安い」こと。

室内を見せてもらった。かつて和室だったリビング。

以前、畳敷きだった部屋は、明るく開放感のある空間に生まれ変わっていた。
また、リフォーム前はキッチンのあるリビングだった洋室も今では子供達の遊び部屋に変貌していた。

『空き家』物件の魅力は格安な値段
中島さんが購入を決めたかつての『空き家』は、2階建ての6LDKで、広さは177平方メートル。子供たちがのびのびと遊べる庭もついている。

価格は土地代込みで2500万円。買取再販事業者によると、同じ場所で新築住宅を購入する場合と比べ、約2000万円安いという。

「広い割には安く購入できた。前のアパートは、子供が走り回ったり夜泣きしたり騒音を気にしていたが、一軒家になって、子供が走り回っているのを見て、一軒家を買って良かったと思う」と中島さんは今回の物件購入に満足している。

福岡県内で活用されていない『空き家』は、2023年時点で約12万6000戸。20年前の約1.6倍に増加。人口や世帯数の減少に伴い今後も増加する見通しだ。

こうした空き家の活用を進めようと、福岡県が2026年度スタートさせたのが、『空き家再生子育て応援事業』だ。
空き家増加と住宅高騰を同時に解決
福岡県住宅計画課の成富大樹さんは、「住宅価格の高騰と空き家増加。この2つの課題を解決する」と新たな取り組みに自信を示す。

事業では、県と市町村、そして中古住宅の買い取りやリフォーム、販売を手がける民間企業が連携して『空き家』を再生。適切な改修を行うことで資産価値を高め、子育て世帯などに販売するというもの。手頃な価格の魅力的な住宅に再生することで、地域に若い世帯の移住を呼び込む画期的な取り組みだ。

実際の流れを見ると、①市町村が地域の空き家所有者に事業への参加を呼びかける。②参加が決まると、県が建物の状態を調査し、相続手続きなども支援する。③その後、民間事業者が『空き家』を買い取り、リフォームして販売する仕組み、になっている。

行政と民間が連携して『空き家』の掘り起こしから再生、販売までを一体的に進める取り組みは、全国初だと福岡県住宅計画課の成富さんは言う。

「空き家の所有者は、市町村が把握しているが、自治体だけでは空き家の解消はなかなか難しい。一方で、買取再販事業者は、空き家の情報が欲しい。一緒に協力してやることが有効だと考えている」

2026年度は、飯塚市や遠賀町など4つの市と町が対象で、現時点で約80戸の所有者が参加を希望している。

福岡県は早ければ、2026年中にも再生した住宅の販売を始めたいとしている。
(テレビ西日本)

