岩井コスモ証券でサイバー攻撃により、顧客が意図しない売買注文が複数の口座で出され、このうち5つの口座で実際に売買が成立していたことがわかりました。
きのう=20日までに、インターネット取引を利用する4975人分の個人情報が流出したことも確認されています。
さらに、「ふるさとチョイス」では寄付控除の資産額などの個人情報がおよそ445万件流出し、会員の年収がある程度「逆算」できてしまう恐れが指摘されています。
情報流出が深刻化しています。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」にITジャーナリストの三上洋氏が出演し、不正アクセスの攻撃手法と、その攻撃から私たちが被害に遭わないための対策を解説しました。
■背景に中国系AI「ARTEX」の痕跡
一連の不正アクセスには、中国系AI「ARTEX」が使われた痕跡があったとされています。判明している点は次のとおりです。
・攻撃対象を日本に絞っている\
・今回の調査で攻撃対象20社が判明し、うち8社が情報漏えいを公表している\
・小売、金融、EC(インターネット上での商取引)など特定の業種が標的になっている
三上氏によると、このAIは「犯罪者の立場で“サイバー攻撃の演習”をするAIで、AIを悪用させない安全機能を外すことが可能。つまりハッキングに悪用されてしまった」といいます。
【三上洋氏】「本来は、これ安全のため(のAI)です。例えば企業が『うちのセキュリティ大丈夫かな』という時に、セキュリティの企業に依頼して、テスト・演習として入ってみてくださいっていうときに、侵入テストツールとして使う。
このツール(AI)で、いわゆるオーケストラを指揮するような形でAIが指揮し、その部下に小さなAIがいっぱいいて、色んなことをする。
侵入する、情報を取る、こういうことを総合的にやるツールが今回登場してきた。これが日本の金融、小売を狙っているということ」
■パスワードを守る「パスキー」と「二要素認証」
ここで元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は「住所や氏名、電話番号などはすでに広く知られているものとして、暗証番号など実害につながる部分の防御に注力すべきだ」と主張。
「パスキーや二段階認証を徹底していれば、取引が動くところまでは防げたのではないか」と指摘します。
これに対し、三上氏は岩井コスモ証券の事例については「かなり特殊なパターンのようで、パスワードが知られたからやられたというわけではない感じ」と説明。
総延べつつも、橋下氏と同様に「お金を直接的に守るためには、パスキーと呼ばれる認証、もしくは二要素認証、こういう形で自衛する、自分のログインを他の人にさせないようにするという対策が必要」と指摘しました。
■新たな攻撃手法「A2B攻撃」 収束の鍵は
さらに情報漏えいを巡って新たな“攻撃手法”が解明されました。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)によると、「A2B攻撃」と呼ばれる手法で、犯罪者がAIに命令すると、そのAIがアプリを解析してさまざまな侵入方法を試します。
そしてアプリが侵入口となり、企業のサーバーからデータが盗まれたということです。
三上氏は、「各企業の対策が強化されれば、今週末にも収束が期待できる」とみています。
【三上洋氏】「この攻撃は、今まであまり気づかれてこなかった、あまり対策してこなかったもの。実際に今回被害が出てる企業の多くは、大企業で、一般ユーザー向けにスマホでサービスしてる企業がすごく多い。その企業たちの被害は、多分このやり方です。
対策はいっぱいありますが、一つとても手っ取り早い方法があって、海外からのアクセスを止めてしまう。これでかなり阻止できる。
緊急対策としては、海外からアクセスされないように、スマホのアプリでも、海外からやってる人には申し訳ないですが一時的に見れませんけれども、そうなれば止められるということが分かっておりますので、早く効果が出てほしい」
■海外からの通信が大半 世界中で被害
さらに「攻撃元」について、三上氏は次のように説明しました。
【三上洋氏】「海外のインターネットのアドレスから来ております。海外からということは確定できないですが、海外から来る通信がほとんど」
サイバー攻撃は13秒に1回の頻度で来ているといいます。数百万件規模で漏えいした大企業のケースは、この攻撃によるものと思われるとしたうえで、三上氏は対策をこう述べました。
【三上洋氏】「たくさんあるうちの一つですが、大企業で何百万件と漏えいしてるパターンは、この攻撃だと思われる。ですので海外のIPを止める、脆弱性の穴をクローズさせる、安全にするということで、止めることができるはず」
被害は日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなど世界中で出ているということです。
■捜査の難しさと根本的な対策
またスタジオでは、ロシア系ハッカー集団のメンバーが逮捕されたことや、アメリカが中国系ハッカー集団の攻撃を阻止したことも話題に上りました。
三上氏は、捜査の難しさを指摘しています。
【三上洋氏】「難しいですね。ランサムウェアという、犯人が身代金で脅迫してくというものは、何度か捕まっている。ただ、これは企業を脅迫して、お金のやり取りをするということで、足がつきやすい。
でもこれ(A2B攻撃)は、ランダムに大量に攻撃してくるという形なので、足がつきにくいので、そう簡単に捕まえることできないんじゃないか」
「海外のアクセスを止めても、いったん日本国内のサーバーを経由して侵入されれば防げないのではないか」という問いには、次のように答えました。
【三上洋氏】「さっきの言い方では止められないです。そのほかにも脆弱性があって初めてやられてるので、脆弱性そのものを根本的に直す、根本手術をすれば大丈夫です」
スタジオでは、何でもネットでできる便利さの一方で、面倒でもセキュリティをしっかり行う必要がある時代になるのかもしれない、との声が上がりました。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月21日放送)
