開幕が迫る全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー)山形県代表決定戦。女子・第3シードの山形商業高校は、7年ぶりとなる全国大会出場を目指して練習に励んでいる。リベロを除くスタメンの平均身長は166センチと小柄ながら、持ち味である粘り強い守備に磨きをかけてきた。春先には大黒柱である西谷悠主将が腰を痛めて約1カ月半コートを離れる試練に見舞われたが、チームは結束力を高めて克服した。主将の復帰を経てさらに結束を固めた“全員バレー”で、激戦を勝ち抜き頂点を目指す。
平均166センチ補う粘り強い守備
かつて春高全国大会でベスト8の実績を誇る名門・山形商業高校女子バレーボール部は、マネージャーを含む計25人が日々の練習に汗を流している。
リベロを除いたスタメンの平均身長は166センチと、体格的な優位性はない。
そのため、チームが徹底して磨いてきたのは粘り強い守備の構築。
選手たちは一つ一つの技術を高めるとともに、コート上で状況を的確に判断して動く意識を徹底してきた。

就任18年目を迎えた結城一秀監督は、「卒業生から受け継いだバレーボールが好きという気持ちを大切に、選手たちが一つ一つの練習を地道に積み重ねている」と語る。
また、「相手の攻撃陣形や状況を観察し、どのようなレシーブ体系を整えれば対応できるかという戦術面の課題に重点を置いて指導を続けてきた」とも説明する。
守備範囲を広げ、質の高いボールを供給する組織力が、山形商業の基盤となっている。

攻撃陣支える司令塔と新戦力
粘り強い守備から攻撃を組み立てる司令塔は、3年生のセッター・佐藤優羽(ゆう)選手が担う。
佐藤選手はスパイカーとの対話を重ね、トスの精度と安定性を向上させてきた。
「以前は打ちづらいと指摘される場面もあったが、ボールの伸びや軌道が安定したことで、攻撃陣が気持ちよく打てる環境を整えている」と手応えを口にする。

佐藤選手が託すボールを得点へと昇華させるアウトサイドヒッターが、3年生の渋谷明香莉(あかり)選手。
2025年まではミドルブロッカーを務めていたが、新たなポジションでも相手のブロックを冷静に見極めブロックアウトをねらうなど、工夫を凝らした攻撃を展開する。
不慣れな位置での起用ながら、自身の強みを発揮できるよう奮闘を続けている。

主将の離脱が育んだ結束力
攻守の要として1年生時からレギュラーを務める大黒柱が、主将の西谷悠選手。
しかし2026年の春以降、スパイクの踏み込みなどで腰に強い痛みが生じ、思うようなプレーができない苦境に直面した。
佐藤選手が「誰がチームをまとめていくのか不安を覚えた」と振り返るほど、チーム内には動揺が走った。

西谷主将は6月から約1カ月半にわたりボールに触れることすらできず、焦りを募らせた。
それでも主将としての責任を果たすため、コートの外から選手一人一人のフォームや声の出し方を観察し、気付いた点を即座に指摘して仲間を鼓舞し続けた。

主将の姿勢に呼応するように、周囲の選手たちにも自立の芽が育った。
渋谷選手は、「主将が不在の間にチームを機能させ、各自が成長しなければならないと全員で意識を高めた」と述べる。
佐藤選手も、「ほかの3年生が責任感を強めて積極的に声をかけ合い、チームを牽引した」と語る。
結城監督は、「頼れる主将の不在が選手個々の成長を促し、結果としてチーム全体にとって極めて大きな刺激になった」と分析している。

7年ぶりの頂点目指し初戦へ
故障を克服してコートへ戻った西谷主将を中心に、山形商業の結束力は以前にも増して強固なものとなった。
主将の不在を全員で埋めようとした経験が、チームの底力を一段と押し上げている。

西谷主将は、「一戦一戦が厳しい戦いになると気を引き締めつつ、積み重ねてきた練習の成果を信じ、粘り強いレシーブから全員で1点をもぎ取って25点へ到達したい」と力を込める。
楽しむ心を忘れず、全員で勝利をもぎ取る構えだ。

結束力を武器に7年ぶりの優勝をねらう山形商業は、17日に行われた初戦で致道館高校を破り、準々決勝で鶴岡東と激突する。
(さくらんぼテレビ)
