福井県若狭町にある三方石観世音では、16日から33年ぶりの御開帳を迎えます。弘法大師が岩に彫ったと伝わる「片手の観音像」は、手足の病などにご利益があるとされています。
国道27号を敦賀から小浜方面へ向かい、若狭町に入りしばらく走ると、左手に大きな「三方石観世音」の看板が見えてきます。
車を降りてさっそく本堂へ。緩やかな坂になっている参道をゆっくりと進めば、聞こえてくるのは木々の間を流れる川のせせらぎ。
5分あまり歩くと、目の前に大きな岩があり、その上には鶏が―
そのまま石段を上っていくと、本堂があります。
中に入ってみると、正面ではなく向かって左側に観音像があります。しかもその観音像、右手首から先がありません。
実はここには、三方石観世音には弘法大師にまつわる伝説が残されています。約1200年前、弘法大師がこの地を訪れ、一夜で大きな岩に観音像を彫ろうとしましたが、夜明けを告げる鶏の鳴き声を聞いて、右手首から先を彫り残し、下山したと伝えられています。
御開帳実行委員会の澤香苗副委員長が案内してくれました。「これが本堂の裏側になる。 この反対側が本堂の中にあり、そこに観音様が彫られている」
つまりこの本堂は、岩の一部を覆うかたちで建てられているのです。
岩に彫られた観世音菩薩は別名「片手観音」とも呼ばれ、古くから手足の不自由な人や病を抱えている人にご利益があるとされています。
ただ、本尊は秘仏として、33年に一度の御開帳でしか見ることができません。
普段はこの「御前立片手観世音菩薩」がお参りする人を迎えています。
そして、本堂の隣にある建物が「御手足堂」で、手や足の形をした木片が大量に積まれています。参拝者は本堂に供えられた手形足形を借り受けて、家で念佛を唱えながら患部をさすり、回復したら返納し、次の人のために新しいものを奉納します。
江戸時代から積み重ねられたというこれらの木片は、観音様の加護を信じ古来から人々が祈りをささげた証でもあるのです。
金沢から訪れたという人は「毎年来ている。90歳。なでることで、すごく不思議なことをいただける。ここへ元気で来れることが最高のご加護」と話します。
33年に一度の御開帳は16日から。準備を進める住民の顔ぶれは変わりましたが「片手観音」と縁を結ぼうとする思いは、いまも変わりません。
副委員長の澤さんは「世の中に苦しんでいる人はたくさんいる。観音様の力をもらって回復してくれれば。私達はその橋渡しをしたい」と話します。
この地には、時代の変遷を経て積み重ねられてきた人々の祈りの歴史が息づいています。
御開帳は20日までの5日間で行われ、山伏行進やお稚児行列なども予定されています。(若狭町役場三方庁舎近くからシャトルバスも運行)
