2026年11月15日の投開票日まで約1カ月となった福岡市長選挙。これまでに過去最多の13人が会見で立候補の意向を示し、混戦模様となっている。一方、最近の選挙戦では、ウソの情報やニセの動画などがSNSで拡散する例が相次ぎ、社会問題となっている。福岡市長選を巡る動きを取材した。
出馬の意向を示したのは過去最多13人
4期16年務めた現職の高島宗一郎市長が、次の市長選への不出馬を表明した後、10月14日までに会見で出馬の意向を明らかにしたのは以下の13人。

渡辺久也氏(無・新)・荒牧明楽氏(諸派・新)・新村優氏(無・新)・調崇史氏(無・新)・阿部秀樹氏(無・新)
井上潔氏(諸派・新)・永澤幹太氏(無・新)・佐々木彩乃氏(無・新)・森健太郎氏(保守・新)
神野元基氏(無・新)・片山純子氏(無・新)・吉富景子氏(無・新)・稲富修二氏(無・新)

過去最多の混戦模様となっていることについて高島市長は「候補者が多くなるということは、より自分の考えに近い人を入れることができるわけですから、前向きに、ぜひこれは捉えつつ『より自分の考えに近い方は誰なのか』ということを選挙期間を通して皆さんに知って頂ければ、そして選んで頂ければと思います」(10月13日・記者会見)と述べた。

その上で「少なくとも後継指名ということですとか、(特定の候補者の)隣に立ってマイクを持つということは、現時点では考えていない」と述べ、選挙戦では特定の候補者を支持しない意向を示した。
“工作員に仕立て上げられた中国からのスパイ”
こうしたなか、懸念されているのが選挙戦を巡るSNS上でのニセ情報や誹謗中傷の拡散だ。
7月にはSNS規制に関する改正法が可決・成立し、対策強化に向けた動きが加速する一方で、10月の沖縄県知事選でも事実上の一騎打ちとなった候補者双方に対するデマが相次ぎ、各陣営が対応に追われた。

今回の福岡市長選でも立候補を表明している佐々木彩乃氏が9月23日、インターネット上での虚偽情報や誹謗中傷に関する声明を発表した。

佐々木さんは「私個人の信条とは全く関係なく、私の経歴をベースに『中国共産党の人間』とか『中国のスパイ』とか誹謗中傷というよりは事実無根のことをSNSで言われる」と訴えている。

佐々木さんが保存する投稿画像には、“中国工作員に仕立て上げられた”“中国からのスパイだろうな”との書き込みが確認できる

九州大学を卒業後、中国の大学院へ進学したとの経歴を明らかにした佐々木さんだが「北京の清華大学大学院に在籍していたが、コロナ禍だったので福岡でオンライン受講をしていて北京には住んでいない」と話す。

「経歴によって自身が非難され『他国のスパイ』だとか事実が曲げられ、1人の人間として悲しかった」佐々木さんは、そう語った。
SNSの収益構造と情報空間の特性
なぜ選挙のたびにSNS上でデマや極端な表現が飛び交うのか。

ネット選挙や情報流通に詳しい『JX通信社』の米重克洋代表は「政治的に過激な主張や誇張された表現の方が再生数や表示数を集めやすく、それが投稿者の収益に繋がりやすいため、少しでも過激な情報や針小棒大に誇張した表現を使って、ときには誹謗中傷になりかねないような内容も含めて拡散してしまう」とSNSの収益構造と情報空間の特性を指摘する。

その上で米重代表は「SNSは能動的に情報を得られる便利な媒体である一方、無意識に見ていると自分好みの情報という名目でいろんな人が情報を流し込んできて偏ってしまうリスクがある。自身が適切な距離感を保って向き合う姿勢が必要」と警鐘を鳴らしている。
(テレビ西日本)

