対策は進んでいるのでしょうか。
北海道の十勝岳の噴火警戒レベルが3に引き上げられてから1か月。
積雪期の噴火では、泥流が発生する危険性が高いと言われています。
現状を取材しました。
大雪山系十勝岳の山麓では、いま噴火に備えた工事が進められています。
泥流をせき止める砂防ダムの機能を強化するため、幅150メートル、奥行き115メートル、深さ最大3メートルの土地を掘削します。
これにより、約2万6000立方メートルの泥流をせき止めることができます。
11月末までの完成を目指しています。
「十勝岳の登山口には、入山規制の看板が立てられました」(中村真也記者)
9月12日、十勝岳の噴火警戒レベルが3の「入山規制」に引き上げられました。
あれから1か月、周辺ではさまざまな対策がとられてきました。
泥流の発生を知らせるセンサーや、監視カメラの設置。
温泉街へ泥流が流れ込まないよう、近くの川に誘導する堤防の新設。
そして、砂防ダムの掘削工事などが進められています。
「土・日曜日も休まずに働き、雪が降る前の1か月ちょっとで急ピッチで進める必要がある」(上川総合振興局 旭川建設管理部 武田 健一郎 治水課長)
なぜ、工事を急ぐのでしょうか。
この映像は今から100年前、1926年の噴火により発生した泥流を再現したものです。
噴火の熱により山肌に積もっていた雪が解け、大量の水と火山灰や土砂が混ざり高速で斜面を下る「融雪型泥流」と呼ばれます。
死者・行方不明者が144人に上る大惨事となりました。
そのため噴火に備え、被害が大きくなる積雪期を迎える前に工事が進められているのです。
泥流の被害が心配される上富良野町民は。
「噴火警戒レベルが引き上げられた時は、やはり心配だった。この辺りは大丈夫だと思って安心している」
「町で何日かに1回十勝岳の状況を放送している。雪が降ってからは避難の準備をしなければいけない」(いずれも上富良野町民)
上富良野町では3か所の倉庫に、食料や水など6000人分を備蓄しています。
積雪期が近づいていることから、その一部を町内の避難施設に移し迅速な対応ができるようにしています。
しかし、火山活動に詳しい専門家は、警戒すべきは積雪期だけではないといいます。
「泥流の研究が進み、1926年の泥流では雪が解けた事実はあるが、解けた雪の量だけでは水の量が説明しきれない」(北海道大学 地震火山研究観測センター 青山裕教授)
雪解けの水だけでは、100年前の大規模な泥流の説明がつかないというのです。
十勝岳は地下水が多く、土の中の水そのものに危険が潜んでいるといいます。
「山の中に蓄えられている温泉水が一気に出てくると、夏であっても水と泥が混じった泥流の発生要因になる可能性が考えられる」(青山教授)
積雪期以外でも発生の可能性がある泥流。
現在の十勝岳の火山活動はどのような状態なのか、札幌管区気象台に聞きました。
「地震の数は減ってきているが、熱活動についてはレベル引き上げ時点と同様に活発な状態が続いている。あらかじめハザードマップを見て自分の場所が危険なのか、どのような経路で避難すればいいか事前に確認してほしい」(札幌管区気象台 地震火山課 高田 一馬 火山防災官)
最新の情報に十分ご注意ください。
