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「5000万円は抜かれた。一銭も残っていないと思う」無断で寺が所有する土地・建物を売却し、約2億2600万円の売却代金を得たか 元住職ら逮捕の“寺乗っ取り事件” 背景に檀家減少と運営の「なり手不足」も

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京都でおよそ300年の歴史を持つ「西岸寺」を巡り、元住職ら3人が逮捕される事件が起きた。

3人の策略によって、本堂や境内以外の全ての不動産を失った「西岸寺」。

「newsランナー」は、寺の内情を知る関係者を独自取材。

京都の寺で起きた“乗っ取り事件”の裏側に迫った。

■なぜ元住職が逮捕される事態に

京都市の中心部に位置する浄土宗「西岸寺」。

江戸時代に創建されたと伝えられる歴史のある寺だ。しかし、静まり返った境内には、参拝に訪れる檀家はおろか、住職の姿もない。

実は、この寺に異常事態が起きていた。

9月、業務上横領・詐欺の疑いで逮捕されたのは、福岡市の会社役員、田口博也容疑者(42)と母親の東京都立川市の無職、鈴木慈薫容疑者(72)。
さらに、西岸寺の住職だった、逢坂慈教容疑者(74)だ。

西岸寺の住職だった逢坂慈教容疑者(74)
西岸寺の住職だった逢坂慈教容疑者(74)
この記事の画像(7枚)

■寺が所有する土地・建物を無断で売却か

3人は共謀して、西岸寺が所有する土地と建物を、寺を運営する宗教法人の承認を得ずに不動産会社へ無断で売却。およそ2億2600万円の売却代金を得たとみられている。

鈴木容疑者と田口容疑者は警察の調べに対し、容疑を一部否認している。

鈴木慈薫容疑者:(必要な)手続きをせず、不動産を売却したのは間違いありません。ただ(田口容疑者らと)共謀したわけではありません。

田口博也容疑者:(役員の)承諾を得ていたと思っていました。

そして、元住職の逢坂容疑者は「不動産を売却したことに間違いありませんが、鈴木や田口が進めていたものになります」と容疑を一部否認した。

事件の構図
事件の構図

■「1000万円の投資してくれたら600万円を配当」を“魅力的な提案”と捉えた元住職

事件の背景に何があったのか。寺の運営を担う西岸寺の責任役員と総代の2人が明かした。

ことの発端は、今から4年前の2022年。本堂が雨漏りしたことだった。

西岸寺の責任役員:(本堂は)新築されてから100年ほどたちますけど、雨漏りしてるんですよ。雨漏りした状態で内部を使うわけにはいきませんから、早く修繕しようと。

最高でおよそ5000万円もかかる修理費用について話し合っていたところ、逢坂容疑者は寺が主催するイベントで知り合ったという鈴木容疑者を連れてきた。

鈴木慈薫容疑者:1000万円を投資してくれたら、600万円を配当しますよ。

西岸寺の総代:明確な詐欺師だと。雰囲気が、話し方とか。平然と『配当金を払います』と言う、一般社会では絶対考えられない。それを当然のごとく話すから。

(Q.その時の逢坂容疑者の様子は?)
西岸寺の総代:何か言いくるめられているような気がしました。
西岸寺の責任役員:完全にそうですね。

疑いの目を向ける2人とは裏腹に、“魅力的な提案”と捉えた逢坂容疑者は、次第に鈴木容疑者へ傾倒していったと言う。

やがて、金の管理まで任されるようになった鈴木容疑者と田口容疑者は、この信頼に乗じて、寺の金を次々と引き出したということだ。

西岸寺の総代:キャッシュカードで関東の金融機関からお金を50万円・100万円単位で引き出される。
(Q.元々あった金はいくら抜かれた?)
西岸寺の総代:5000万円は抜かれたと思う。多分、一銭も残っていないと思う。

“魅力的な提案”と捉えた
“魅力的な提案”と捉えた

■住職の裏切りで寺の収入を失う

徐々に乗っ取られていく寺。そんな中、3人が次に目を付けたのが、“土地と建物”だったのだ。

西岸寺の責任役員:完全に引き渡していないのでそのままです。かなり広いですよ。100坪ぐらいかもっと広い。

寺には、この土地と建物で月々およそ100万円の不動産収入が。お布施などの本業が赤字の寺にとっては、貴重な財産だった。

しかし、寺を潤してきた土地は住職の裏切りによって勝手に不動産会社へ売却され、その代金は寺には一銭も入らなかった。

この窮状に、檀家は不安の声をこぼす。

西岸寺の檀家:寺自体が無くならないことを願っている。
西岸寺の檀家:脇が甘かったんちゃいます。お金に対して、きっちりしていなかった。

住職の裏切りによって勝手に不動産会社へ売却
住職の裏切りによって勝手に不動産会社へ売却

■被害に遭う寺の抱える問題 檀家の減少・高齢化

寺や神社がひしめく古都・京都で起きた衝撃の“乗っ取り”事件。宗教法人を管理・指導する京都府は、こうした被害に遭う寺が抱える問題を指摘する。

京都府文化生活部 須田暁徳さん:檀家や信者が少なくなって、小規模な寺になると、人がいないけど土地や財産はあるという状況。運営や普段の行事への関わりが少なくなると(法人が)何やってるか分からない状況。

多くの寺ではいま、檀家の減少や高齢化などで運営の「なり手不足」が問題に。

京都府でもこのような相談は年に数件あり、脆弱な運営体制を放置すれば、外部の人間に付け入る隙を与えてしまうというのだ。

京都府文化生活部 須田暁徳さん:活動の実態がないような宗教法人が急に『役員決めました』、『活動再開します』となると、どうしたのかなと思ったりしますので、そういった部分は常に注意していきたい。

京都府文化生活部 須田暁徳さん
京都府文化生活部 須田暁徳さん

■住職だった容疑者に思うこと「本人が一番悔やんでいるかもしれない」

住職が不在のまま、財産まで失い、存続の危機に立たされる「西岸寺」。

再建への道筋を模索する2人がいま、住職だった逢坂容疑者に思うこととは。

西岸寺の責任役員:…いい言葉が出てきませんわ。

西岸寺の総代:本人が一番悔やんでいるかもしれないですね。転がりはじめて、降りることができなかったんじゃないですかね。

逢坂容疑者は調べに対し「いま思うと(不動産売却は)議決をすべきと言うべきでした」などと供述していて、警察は余罪についても捜査している。

(関西テレビ「newsランナー」2026年10月9日放送)

再建への道筋を模索する「責任役員」と「総代」
再建への道筋を模索する「責任役員」と「総代」
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