「ノロッコ号」のラストランを前に、線路を走る2人組。
手には三脚やカメラのような撮影機材が見える。
列車を撮影しようとしていたのか、2人は線路内へと姿を消した。
舞台は北海道標茶町のJR釧網線・塘路駅付近。
10月9日午前11時45分ごろ、2人は踏切から線路内に侵入し、走っていった。
約10分後、現場付近を通過したのは、37年の歴史に幕を下ろす観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」だ。
「まもなくノロッコ号が通過する線路の上を人が歩いています」(沼田海征記者)
ラストランイベントの開催に合わせ、沿線には地元の人や全国から訪れた鉄道ファンが集まっていた。
ノロッコ号は10月9日と10日の2日間、釧網線を走る。
車両の老朽化などを理由に引退が決まり、各駅では別れを惜しむ人たちでにぎわっていた。
釧路湿原の国立公園化をきっかけに、1989年に運行を始めたノロッコ号。
車窓から湿原の景色やタンチョウなどの野生動物を眺められる観光列車として親しまれてきた。
その最後の姿を撮ろうと、多くの人が沿線に集まる中での線路内への立ち入りだった。
ノロッコ号が通過して約20分後、1人が線路を歩いて戻ってきた。しかし、カメラに気づいたのか、引き返した。
「せっかく他の人がマナーを守って撮っているのに、イメージを悪くする」(鉄道ファン)
線路内への立ち入りは、鉄道営業法で禁じられている。
JR北海道釧路支社は「線路への立ち入り行為は列車の運行に大きな影響を及ぼすので絶対に行わないでほしい」とし、「悪質と判断される行為は警察と連携し、厳正に対処してまいります」としている。
釧網線では9月にも通信ケーブル用の木柱が傷つけられたり、複数の樹木が切断されたりする被害が見つかった。
草木が抜かれる被害もあり、JR北海道釧路支社は警察に相談し、被害届の提出も検討しているという。
列車の安全な運行を脅かす行為に、ラストランを見守る鉄道ファンからも厳しい声が上がっている。
