学生三大駅伝の開幕戦「第38回 出雲駅伝」が、10月12日(月)のスポーツの日に開催される。
「出雲駅伝」は、三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)の中で唯一の午後スタートだったが、今年からスタート時刻が従来の午後1時5分から午前9時10分へ約4時間前倒しとなる。
これにより、元々“スピード駅伝”として知られた出雲駅伝が、さらなる“超高速レース”になるかもしれない。
過酷… 直近5大会で3回も30℃超に
スタート時刻変更の最大の理由は、近年の過酷な暑さだ。
2015年~2019年と、直近にあたる2021年~2025年のそれぞれ5年間の平均気温を比較した。
※2020年は新型コロナウイルスの影響で中止
※気温は大会ホームページ記録参照
2015年~2019年と比べて、直近5年(2021〜2025年)の平均は、スタート時の気温で3.7℃、レース中は4.9℃も高くなっていた。
また直近5大会(2021年〜2025年)のうち3回で、レース中に気温30℃以上の「真夏日」を記録していた。
・2021年:スタート時 30.5℃(レース中 31.0℃)
・2024年:スタート時 28.5℃(レース中 30.0℃)
・2025年:スタート時 26.0℃(レース中 30.0℃)
長距離ランナーにとって理想的な気温といわれる10℃前後から最高で20℃近く高く、真夏の体感の中、全速力で走るのは身体に重い負担がかかる。
実際に、近年の大会では多くの選手に熱中症の症状がみられ、救急搬送される事態も発生した。
例年の出雲駅伝は午後1時5分にスタートし、優勝チームは午後3時15分頃にフィニッシュしていた。つまり、1日で最も気温が上がる時間帯に走っていたことになる。
この事態を避けるため、暑さのピークとなる時間帯を外した朝スタートへシフトすることになったのだ。
この朝スタートは「3つの好変化」をもたらす事になる。
スタート時は5℃“涼しく”
朝スタートの効果はどれほどあるだろうか。
直近5大会(2021年〜2025年)の開催当日の気象データ(アメダス/出雲市)を使ってシミュレーションすると、実際に行われた昼スタートと比べて、レース開始時の気温に大きな差が出た。
従来の午後1時ごろだと5年間の平均は25.3℃。朝スタートの午前9時ごろだと20.6℃となるため、約5℃も低くなる。
“スピード駅伝”がさらに速く
「出雲駅伝」は全6区間で45.1km。往復217.1kmの「箱根駅伝」や106.8kmの「全日本大学駅伝」と比べて距離が短いため、もともと1区間ごとのペースが速い“スピード駅伝”として知られている。
これまでは、暑さで後半に失速しないようペースを抑えるという我慢比べの側面もあったが、涼しい朝の気象条件を味方に、従来の区間記録を塗り替えるような「超高速バトル」も期待される。
選手のコンディション維持
朝スタートへの移行は、当日の走りやすさだけでなく、これからの駅伝シーズン全体の各チームの命運をも左右する。熱中症になると完全な体調回復までに時間を要することもある。
午前開催により熱中症リスクが抑えられることは、選手たちの身体を守り、次戦へ向けて質の高いトレーニングを途切れさせないためにも極めて大きな意味を持つ。
「出雲駅伝2026」当日の天気は
10月9日(金)時点の予報では、大会当日である12日(月)は午前6時が15℃、正午が27℃予想だ(tenki.jpより)。
従来の昼スタートなら27℃あたりでのレースとなりそうだったが、今年から始まる朝スタートでは、20℃前後でスタートが切れそうだ。
新たに、午前9時10分に鳴り響く号砲。涼しさを味方につけて出雲路を制するのはどの大学か。レース中の「気温の変化」にも注目していただきたい。
学生三大駅伝 開幕戦
出雲駅伝
12日(月・祝)あさ9時
フジテレビ系列にて全国生中継!
【執筆:フジテレビ気象センター 寺西 未有(気象予報士)】
