それは、営業を終えたある日の深夜、桑原さんがヌガチンをバイクの蓋付きのカゴに乗せて帰宅していた時のこと。
「途中で暑いから風を当ててあげようと蓋を開けたら、ヌガチンが転落してしまい、僕も慌ててバイクごと転倒してしまったんです」
ヌガチンは、けがこそ負っていなかったものの、驚いてどこかへ疾走。桑原さんは朝まで必死に探し回ったが見つけられず、SNSで情報提供を呼びかけることにした。
常連客たちの協力も得て、コンビニなどに捜索チラシを貼り、集まった目撃情報をもとに現地へと何度も捜索しにいったが、見つけられないまま2週間ほどたったある日、転機が訪れた。
「あるお客さまからタロット占いができるという女性を紹介してもらったんです」
占いが示した場所とは…
桑原さんはわらにもすがる思いでその女性にSNSのメッセージを通して相談。
「そうしたらいきなり“最強のカードが出たので、ヌガチンは絶対に生きています”と」
続けて、女性からはヌガチンの現況について、こう伝えられた。
・思っている場所よりはるか遠くの、川の向こう岸にいる
・人が集まるところ、お金が動くところ、暗いところにいる
・早ければ3日以内、遅くても1週間以内に見つかるので安心してほしい
・後ろから近づいてくるので、背後に気をつけて
半信半疑ながらも、桑原さんはこの言葉を胸に捜索を再開。
するとそれからちょうど1週間後の夜、ヌガチンを目撃したという女性が店へ駆け込んできた。
「血相を変えて、手書きの地図を片手に“絶対に行ってください!”と言われたんです。占いからちょうど一週間目だったし、もしかしたらと地図で示された場所に行ってみることにしました」
そこは、店から1kmほど離れた川の向こう側にある天神の繁華街。目の前には銀行があった。女性が目撃したのはビルとビルの間の暗がり。
「占いの女性に言われていたことと全部一致していたので、鳥肌が立ちました。それから付近を捜索していたら、明け方になって後ろから『にゃー』という鳴き声が聞こえてきて、振り返ったらヌガチンがいたんです。本当に占い通りで驚きました」
ヌガチンは痩せていたものの元気そのもの。桑原さんに飛びつき、喉を鳴らしながら抱きついてきたという。
「まるで、“なんでもっと早く迎えに来てくれなかったの”と叫んでいるようでした」
2度目の失踪、そして再び占いが救った
それからしばらくして、ヌガチンは無事に看板猫に復帰。常連客も安堵し、再びアイドルとして幸せな日々を送っていた。
ところが、それから6年後の2022年、またしても事件が起こる。

