開業25周年を迎えた「大和ハウスプレミストドーム」が、スポーツや音楽ライブにとどまらない多彩な取り組みで存在感を増しています。
こちらは札幌ドーム時代からの25年間の業績推移です。
開業当初はサッカーワールドカップの開催地となったことや北海道日本ハムファイターズの移転があったこともあり、業績は安定していました。
一方で、赤字になった年は4回あります。2014年度と2018年度は施設の大幅改修、2020年度は新型コロナウイルスの影響。そして、2023年度はファイターズの移転で約6億5000万円の赤字に。
しかし、2024年度から2年連続で黒字化に成功。その背景には3つの理由がありました。
好調の理由の1つ目は、ネーミングライツの取得です。大和ハウス工業が取得し、4年間で10億円という安定した広告収入を確保しました。
2つ目は、世界・全国規模のイベント誘致の成功です。たとえばeスポーツの世界大会では33の国と地域から約3万4000人以上が参加し、札幌市の試算では経済効果は13億円にのぼりました。
3つ目は、ドーム初となる自主的な商品開発です。これまでの貸館業という「場所を貸して賃料を得る」ビジネスモデルからの脱却を図り、小樽の老舗菓子メーカーとコラボしたオリジナルどら焼き「ぷれどら」を販売。
さらに2025年11月には「第二種旅行業」の登録を取得し、近隣ホテルと提携してドームを拠点とした市内周遊の旅行プランや、展示会・会議の誘致にも乗り出しています。
現地を取材すると、ドームの”進化”はさらに広がっていました。
2026年6月に始まった「ドームガーデンプロジェクト」は、不登校の子どもたちのための読書・自習スペースです。札幌市内の小中学生の不登校が5000人を超えるなか、公共施設としての「居場所づくり」をテーマに、イベントがない日に無料で開放しています。
スポーツやコンサート系のイベントが多いと思われがちなドームですが、ドームの広い空間を生かしたユニークな活用も進んでいます。
9月13日には「スーパーマリオラン」が日本初開催されました。
また、今年から「札幌ドームドローンスクール」を開校し、ドーム内でドローンの国家資格「二等無人航空機操縦士」を取得できる環境を整備。
プレミストドームは航空法で定めるドローン禁止エリアに該当せず、地下鉄でアクセスできる好立地でドローンを自由に飛ばせる場所は珍しく、ドームならではの強みを生かした取り組みといえます。
5大ドームで唯一の「展望台」も活用が進みます。
高さ53メートルからの眺望を楽しみながら心と体を整える「ナイトヨガ」「サンセットヨガ」を毎月開催。
ヨガ講師の高橋あゆみさんは「日常から離れて自分の内側を見つめる時間が気持ちいい。景色がどんどん変わっていくので、ここは唯一無二だなと思います」と話します。
プレミストドームの広さを活用したアイデアが、様々な形となってきています。
札幌ドームの阿部晃士社長は「目的は『ドームから北海道・札幌を元気にする』こと。プレミストドームに行ったら何かが生まれる、何かを感じられる、ワクワクする。そういうことをプロデュースしていきたい」と力を込めます。
2年連続黒字、これを今後も安定して続けるにはどんなことが必要なのでしょうか。
日本女子体育大学の上林功教授は、公共面での役割について「5大ドームで唯一の公共施設という強みを生かし、子どもの居場所づくりやアマチュアスポーツへの活用など民間にはない価値を提供することが大切」と指摘。
観光面については「旅行業の資格を生かして道内周遊ツアーなどを展開し地域にお金を落とす拠点になれば、独自の価値を持った施設になるのでは」と期待を寄せます。
一方、今後の課題としては「開業から25年以上が経ち、施設の維持・更新に費用がかさむ時期を迎える。ネーミングライツや大型イベントには波があるため、それに左右されない自前の事業収益をどう築くかが鍵になる」と指摘しました。
スポーツとライブの聖地から、地域の課題解決や新たな体験を生み出す拠点へ。プレミストドームの挑戦は続きます。
