シリーズでお伝えしている「みやぶれ」。
警察官などを名乗る特殊詐欺の電話が後を絶ちませんが、今回は一度電話を切ることが被害の防止につながったケースをお伝えします。
北海道・旭川市に住む71歳の男性です。
8月19日、郵便局員を名乗る男から電話がありました。
身に覚えのない番号だったため、男性は通話を録音します。
『受取人、福岡県在住の〇〇様に対して、レターパック1点発送されたのお間違いございませんかね』(郵便局員を名乗る男)
『いや、間違ってるわ、きっと。僕はしていないな』(旭川の男性)
『えっとですね、発送されていないですか』(郵便局員を名乗る男)
『うん、僕はね』(旭川の男性)
「発送していない」と伝えても、相手は説明を続けます。
『ちょっとこの中身の方に問題ありまして』(郵便局員を名乗る男)
『はい、はい』(旭川の男性)
『レターパックの表記に〈衣類5点〉と記載があったのですが』(郵便局員を名乗る男)
『何5点?』(旭川の男性)
『服、衣類ですね』(郵便局員を名乗る男)
『衣類5点』(旭川の男性)
『はい、ただ衣類が入っていると思われなかったため、エックス線検査の上、開封検査を実施させていただきましたところ、レターパックの中に〇〇様名義のマイナンバーカードが7枚入っていたということが確認されておりまして』(郵便局員を名乗る男)
『やだね、マイナンバー7枚?7枚ってのは、ちょっと待ってね。今、僕のとこにあると思うけど、ちょっと待ってね。7枚ってのも変だけどね』(旭川の男性)
『通常1枚しか存在しないものなので』(郵便局員を名乗る男)
『名前とか使われたって感じかな』(旭川の男性)
『マイナンバーカードとか運転免許証、全く同じものが複数枚あるものについては、非常に警戒の方をさせていただいてるんですけど』(郵便局員を名乗る男)
『やだね』(旭川の男性)
『被害届の方、提出していただきたいのですが、よろしいですかね』(郵便局員を名乗る男)
『そうですね、したい、したい』(旭川の男性)
男性は仕事のため、一度通話を終えます。
その後、再び電話があり、今度は福岡県警の警察官を名乗る男が話します。
『個人情報不正流出および不正利用の疑いに関する事案となります』(福岡県警を名乗る男)
警察だと信じ込ませるための手口なのでしょうか。
相手は通話中にもかかわらず、無線で連絡を取り始めます。
『はい、受信しました。本部の通達内容を復唱します。〇〇名義の〇〇銀行口座がマネーロンダリング事件に関与しており、検察庁により犯罪口座に指定されている。相違ありませんか』(福岡県警を名乗る男)
『それ、僕に聞いてる?』(旭川の男性)
『容疑者〇〇に対する全面的な取り調べを実行せよ。〇〇が任意捜査に応じない場合は特捜部による強制捜査に切り替え、逮捕、勾留および口座凍結の措置を取る。以上、受信したか』(無線の男)
電話から聞こえてくる「逮捕」などの言葉に、男性は身構えてしまいますが、相手の警察官は男性をかばうように会話を続けます。
『私もね、ちょっとね、ちょっとね、これね、私もね、ちょっとね、今聞いてね、ちょっとびっくりしてますので、あの、ちょっとね、これ、えっとね、あの、うーんと』(福岡県警を名乗る男)
『全面的に協力するから、遠慮しないで言って…僕も困るから』(旭川の男性)
「半分ぐらいおかしいなと思ってたけど、優しい感じっていうか、寄り添った感じがあって」(旭川市の男性)
このあと、「6800万円の資金が男性の口座でマネーロンダリングされている」と言われますが、男性はまた仕事の都合で電話を切ります。
しかし、冷静になって考え、自分で警察相談専用電話「#9110」に連絡し、被害を免れました。
「一度電話を切って冷静になる時間をおけたのがひとつ大きなポイントになった。やはり、まず誰かに相談するのが一番大切」(旭川東署 生活安全課 今泉勇輝課長)
詐欺の電話で被害に遭わないためにはどうすればいいのか。中央大学の有賀敦紀教授に聞きました。
まずは自分の知らない番号、不審だと思う電話には出ないこと。もし電話に出てしまった場合は、強い意志を持って「一度切る」ことを徹底してください。
詐欺グループは「逮捕される」「裁判になる」といった言葉で不安を煽ってきます。通話が長引くほど相手のペースに巻き込まれてしまうため、まずは通話を遮断し、冷静さを取り戻すことが何より重要です。
「電話を切る勇気が出ない」という場合は、あらかじめ通話を切るためのフレーズを決めておくことが効果的です。
例えば「子供が泣いているので一度電話をかけ直します」や「洗濯物を干さないといけないので一度切ります」というようなフレーズを決めておくことが効果的です。
このように日常的な理由を告げて電話を切った上で、すぐに周囲の家族や警察へ相談してください。
