人口減少にともない、静岡県内の各地で学校が再編・統合され、使われなくなった学校施設の利活用が進んでいる。一方で、利活用が進まない施設もある。活用に向けた課題とは?
閉校した学校が人気の宿泊施設に

大きなベッドやソファに、エアコンも完備されたテント。こちらはホテル並みの快適な空間で自然を楽しむグランピング施設。静岡県島田市の閉校した湯日小学校を民間の事業者がおよそ4億円を投じてリノベーションし、2021年にオープンした。

理科室や家庭科室はポップコーンづくりやトートバック作りなどのアクティビティースペースとして活用。さらに校長室だった部屋はなんとサウナ付きのお風呂に。小学校の校庭に泊まるという「ノスタルジックな環境」が好評で、年間1万3000人を超える利用客が訪れる人気施設だ。

こちらの施設「グランピング&ポート結」の清水真志チーフマネージャーは「利用客にすごく喜ばれている」と話す。特に「懐かしい」という声が多く、小学校に泊まるという体験の魅力が多くの人に受け入れられている。
地域の交流拠点に活用

一方、静岡県熱海市の旧網代小学校。8月2日、開かれていたのは、ヨーヨー釣りやクラフトショップ、屋台などが出店したマルシェだ。2024年からカフェやコワーキング、チャレンジショップなどを備えた交流拠点になっている。改装された室内には店が並び、住民の交流の場としても活用されている。
この交流拠点「AJIRO MUSUBI(網代むすび)」の山崎明洋さんは、子供たちが自由に走り回れる広さがある反面、管理費用が大きくなる課題を指摘した。
活用されていない学校施設も

住民たちの交流拠点やまちに人を呼び込む施設として生まれ変わる施設がある一方、利活用が進まない施設もある。静岡県伊東市では、14の幼稚園が再編・統合され7園に、小学校は10校から7校に減った。しかし、廃園・廃校となった建物は、倉庫以外に目立った活用はされていない。
学び舎を地域の新たな拠点に
2021年3月に147年の歴史に幕を閉じた川奈小学校。学校としての役割が終えた後も、校舎や体育館、校庭は残されている。伊東市は地域の新たな拠点としての利活用しようと、2024年度に事業者を募り、2つの企業が提案しましたが、契約には至らず、再び募集してようやく2026年3月に協定締結にこぎつけた。

契約したのは、静岡県伊東市で家事代行サービスを運営する事業者「アレスファーマーインターナショナル」で、阪口悟志代表は「地域の皆様とともに、伊東・伊豆地域全体の発展に貢献出来たらいい」と期待を込めた。
2026年5月、工事を前に開かれた住民説明会。地域住民など40人が集まった。めざすのは伊豆の海と山をの恵みを堪能できる「浜焼き学校」。食材を地元で仕入れるほか、地元の人たちの雇用を生むことなどが説明されました。また、渋滞対策や騒音対策など、住民の疑問や懸念にも応えた。

住民からは、「地域と共存するような事業展開をしていただけるのであればいいこと」「生きた建物にしてもらって、地域の人も活用できるようになってもらいたい」などと、今後に期待する声が多く聞かれた。
民間のアイデアで廃校舎活用へ
文部科学省の調査では、2004年からの20年間に閉校した学校は8850校にのぼる。このうち2000校ほどが利活用されていない。

廃校舎の利活用に詳しい専門家は、住民の同意のもとで民間事業者の参入を促進していくべきだと話す。神奈川大学の大竹弘和名誉教授は「廃校舎に価値があるかどうかを行政が判断するのは難しい。民間にいろいろなプランを聞いて、民間の知恵とアイデアを出してもらうというのが役所の重要なところ」と説明した。
学び舎の役割を終えた後、地域に何を残すのか。人口が減り続ける時代の街づくりが今後も問われることになる。
(テレビ静岡)

