「こんにちは、柴崎ですよ」このこの一言で始まる、YouTubeの動画。
画家で絵画講師である79歳の柴崎春通さんが運営するチャンネルは、登録者数215万人を誇る大人気ユーチューバーだ。
柴崎さんはTikTokやInstagramを含むSNSの総フォロワー数が、400万人以上ですが、YouTubeを始めたのは、70歳の時のこと。
ことしで10年目を迎えた柴崎さんの人生と、その『楽しみ方』に迫った。
■ 月1度のアート教室 受講生たちから“おじいちゃん先生”と慕われる
東京都内で月に一度開かれる、クレヨンを使ったアート教室で、柴崎さんが指導に当たっていた。
会場には老若男女さまざまな受講生が集まり、柴崎さんの指導に耳を傾ける。
柴崎さん:足元が暗いと思いません?木の足元暗くしようよ。足元が暗いに決まっているでしょう。普通、太陽は上からきているんだもん。明暗の関係だから、もっと色やってみよう。ここが見せ場所だよ、この絵は。
ユーモアを交えながら優しい指導が続く。
柴崎さんは、受講生たちから親しみを込めて「おじいちゃん先生」と呼ばれている。

■ 1000本以上の動画 すべて自宅アトリエで1人撮影
柴崎さんはチャンネル登録者数215万人を誇る大人気ユーチューバーでもある。
チャンネルでは、絵画の基礎から高度なテクニックまでを分かりやすく解説し、視聴者たちを魅了する。
描き始めからは想像できない圧倒的な完成度の作品、視聴者から寄せられた作品への添削、そしてメーカーへの忖度なしに画材をレビューするコンテンツなど、これまでに公開した動画は1000本以上にのぼる。
アトリエにお邪魔すると、画材とともに立派な撮影機材が並んでいた。
撮影はすべて、柴崎さんが1人でこなし、動画編集のみ息子が担当しているそうだ。
柴崎さん:70歳からYouTube始めたんで、最初覚えるの大変でした。機材も日進月歩、新しいのに買い換えて慣れていくのも大変。

■ 昭和22年千葉県生まれ 美術系大学を経て絵画講師の道へ
柴崎さんは1947年、千葉県に生まれた。
幼いころから絵を描くことが好きで、高校では美術部の部長を務めたと言う。
東京の美術系大学で本格的に絵画を学んだ後、アメリカ生まれの絵画の通信教育機関で講師の道を歩み始める。
柴崎さん:アメリカ人が、絵はどう教えなきゃいけないかということを絵描きたちに教育していた。絵を描くってことはこういうことなんだと、初めて頭がすっきりした。
油絵もやるし水彩画もやるし、どんなもんでも絵が描けるように。給料をもらって勉強させてもらった感じ。今でも本当に感謝している。

■YouTubeを始めたきっかけは息子から
柴崎さんは40代の頃、平日は絵画講師、週末は実家の農作業を手伝うという多忙な日々を送りながらも、憧れだった「バックパッカー」として旅に出ることも始めた。
スケッチブックを片手におよそ40か国を巡り、訪れた土地の道端で絵を描いたということだ。
柴崎さん:ぶらぶら歩いて道端で絵を描く。そうすると人が集まってくる。道端で変な東洋人が絵描いているなんて。
うちに泊まりにおいでよとか、いろんな人に知り合えるし、とにかく幸せでしょ。自分の行きたい、気が向いたところに行くわけだから。

■息子の勧めでユーチューバーに わずか30分で添削
柴崎さんが、YouTubeを始めたきっかけは息子からの勧めだった。
「ずっと個展を毎年やっていて、自分の中でマンネリ感があった。たまたま息子が『YouTubeってあるけどどう?』ってなった。抵抗は全くなかった」と振り返る。
動画での指導は、あっという間に進む。
カメラが回ってから添削する絵を選ぶと、「球面で捉えようとしているでしょ。これを柴崎はデッサン調に、カクカクとした直線的な捉え方…」などと改善点を瞬時に分析し、投稿者の悩みにアドバイスしつつ、実際に描いて示していく。
解説も続け、わずか30分でお手本の作品を仕上げた。

■ 「肩の力を抜いたら、すごく楽しくなった」
絵を描き続けて半世紀以上の間に、70歳を過ぎてからは心臓の手術やがんを患ったこともあったという柴崎さん。
絵画教室で、受講生から「絵を描いている時に難しいと思うところ、楽しいと思うところを教えてほしい」と問われた時、こう答えた。
柴崎さん:いつも楽しい、間違いなく。昔はね、世紀に残るような大傑作を描いて、おれは大画家になると思って苦しかったんですけど、その肩の力を抜いたらすごく楽しくなった。
若い時はありがちでしょ。惑わされてひたすら苦しい、絵が描けない。その馬鹿馬鹿しさに気づいた。力を抜いた時にとても楽しく描けました。

■「毎日楽しくするのは、小さな達成感を積み重ねること」
柴崎さんの朝の日課は庭の手入れ。
業者に頼まず自分で草を刈ると言う。
柴崎さんは、「自分でやったほうが面白いし。毎日楽しくするのは、小さな達成感を積み重ねること。100%自分の考えでやっている。絵を描くのと一緒。だから面白い」と語ってくれた。
面倒そうに見えることも、柴崎さんにとっては人生の彩りだということだ。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年9月22日放送)


