西日本豪雨の被災地・倉敷市真備町に、亡くなった家族や知人に思いを綴った手紙を投函できるポストが設置された。
豪雨から8年、被災者に寄り添う活動から生まれた新たな取り組みを紹介する。
◆大切なものを失った人たちの思いを綴った手紙を投函できる朱色の「灯りポスト」
朱色の可愛らしいポスト、その名も「灯りポスト」。
このポストに投函できるのは、亡くなった家族や友人など、大切なものを失った人たちの思いを綴った手紙。ポストは8月11日から倉敷市真備町岡田にある千光寺の境内に設置されている。
ポストの下には、便せんや封筒も用意されていて、ここで思いを綴ることもできる。
設置したのは真備町出身の臨床心理士・公認心理師で、現在大阪で暮らす「team千の光」代表の名合雅美さん。心のよりどころ相談を始めた名合さんは、月に1回、相談活動をしてきた。
活動を初めて2026年で8年が経過。「少し違った形で皆さんがよりどころにできる場所をつくりたいとの思いもあって」との思いから、「灯りポスト」の設置を始めた。

◆「灯りポスト」は岩手・大槌町の「風の電話」、香川・三豊市粟島の「漂流郵便局」がモデルに
名合さんは同級生たちとチームを立ち上げ、西日本豪雨の後、寺の境内で被災者の悩みを聞いてきた。
東日本大震災で会えなくなった家族や友人と言葉を交わしたいと願う人が、線のつながっていない電話で話しかける岩手県大槌町の「風の電話」、届け先の分からない手紙や宛てのない思いを預かる三豊市粟島の「漂流郵便局」・・・そんな場所を真備町につくることにしたという。

◆名合さんが考える、大切な人を失った人の「気持ちの3段階」への対応
そこで、記者も8月に亡くなった自身の甥に手紙を書くことにした。
名合さんは「誰の目にも触れずそのまま、(寺で)おたき上げしてほしいという希望だったり、相談活動している私たちに読んでほしい、聞いてほしい人がいたら、私たちが目を通して連絡して、話を聞くこともできる。同じような思いを抱えた人たちと共有したい人たちには、皆さんと共有してもらうなど3段階を考えている」と、手紙を投函した人の希望に寄り添う形をとっていることを明かした。
記者はこの話を聞いて、若くして亡くなった甥への思いを文字にすると少し心の整理がついた、という感想を述べた。

◆「灯りポスト」には大切な人を亡くした全ての人の思いを受け止めてほしいと…
西日本豪雨の被災地・真備町でも、尊い命が失われた。
「灯りポスト」は、被災者だけでなく、大切な人を亡くした全ての人の思いを受け止めてくれるはず・・・。
名合さんは、真備町がそういう思いを忘れない場になればという希望を持ち、「人と人をつなげる仕組みも作っていきたい」と語った。
その仕組みへの入り口の一つとして、“灯りポスト”に役割を果たして欲しいというのが、名合さんの願いでもある。
(岡山放送)

