富山県氷見市では現在、約60人が避難所での生活を余儀なくされています。
シリーズ「命と未来をまもる」。大雨が降った当日から避難所の動きを取材しました。
先月27日、線状降水帯が発生し、県内初のレベル5大雨特別警報が出された氷見市。
市は1万7000世帯あまり市内の全世帯を対象に緊急安全確保を発令しました。
*避難者
「ライト点いているのがうちの車。完全にボンネットまで(水が浸かっている状態)」
*避難者
「みんな着の身着のまま、ビショビショのまま来ている」
小学校の体育館に身を寄せた市民。
ずぶ濡れになりながら避難し、震えながら毛布に包まっていました。
市内で設けられた避難所は16か所。175人が避難しました。
大雨の2日後、市の指定避難所の一つ、ふれあいスポーツセンターです。
この時点で13人が寝泊まりしていた避難所にはすでに段ボールベッドが設置されていました。
2年前の能登半島地震で段ボールベッドが提供され、床に毛布を敷いて寝る雑魚寝が解消されたのは、地震発生から5日後。
今回の大雨は3日早まりました。
氷見市は能登半島地震を教訓に段ボールベッドなどの備蓄を増強していました。
*避難者
「(仕事は)休むしかない」
*避難者
「家の片付けが心配でしょうがない」
被害でショックを受けた避難者をできる限りサポートしようと、こんな方策が取られました。
*氷見市 菊地正寛市長
「避難生活を少しでも快適に過ごせるよう、一体的に世話をさせていただくことが大事」
避難所の集約化です。
災害発生直後は、近くの小中学校や公共施設などへの避難が有効ですが、時間が経ち、避難者数が落ち着けば、避難所の数を絞ることでより効率的に、質の高いサポートが可能になります。
市の避難所はふれあいスポーツセンター1か所に集約することが決まりました。
このため、他から移ってくる50人分の居住スペースづくりが行われました。
*設営にあたった防災士
「お互いに曲げて中に入れて…」
作業にあたったのはボランティアで集まった地元の防災士です。
Qなぜ、このやり方を知っている?
*設営にあたった防災士
「防災士の研修とか…」
避難者のプライバシーを確保するパーティション。
これも能登半島地震のあと、氷見市が備蓄していたものでした。
*避難者
「一つの部屋みたいになっている。素晴らしい」
一方、市役所の業務を支えるため国や、他県からの人的な支援も始まりました。
*内閣府ふるさと防災職員
「我々も一緒に伴走型でやらせていただきます」
*内閣府ふるさと防災職員
「集約化のタイミングもよく、みなさんの協力体制が取られている」
*長野県の職員(内閣府地域防災連携推進員)
「富山県で人が足りないということになれば中部9県で支援に入る形になっている」
能登半島地震の教訓と、様々な人的支援で避難所環境を整えた氷見市。
視察した新田知事は、こう述べました。
*新田知事
「避難所の環境改善は、幸い直接亡くなった方がいない中で、災害関連死を抑止する意味で意義のある取り組みができているのではないか」
災害関連死は避難生活などで健康状態が悪化し亡くなることです。
10年前の熊本地震やおととしの能登半島地震で亡くなった人のうち、関連死は直接死の2倍以上にのぼります。
日本赤十字社の植田信策医師は東日本大震災を教訓に段ボールベッドを整備し、雑魚寝をやめるなど避難所の環境改善を訴えています。
*日本赤十字社参事監 植田信策医師
「不眠、血圧が上がる、床から起き上がるのがおっくうなので生活不活発病になる、動かないでいると血栓ができてエコノミークラス症候群になる。精神的なストレスもある。色んな病態をつくってしまっていた」
避難者の健康状態をチェックし、災害関連死を防ぐ取り組みが行われています。
*氷見市健康・医療対策課保健師 笹島由紀子さん
「避難所で体を動かす機会が少なくなったり、同じ姿勢でいたらエコノミークラス症候群になる。水分は取れています?」
*氷見市健康・医療対策課保健師 笹島由紀子さん
「足を見せていただいてもいいです?むくみはない。明日、医者が来るので診てもらいましょう」
現在、氷見市では県からの応援を含め20人あまりの保健師や管理栄養士などが避難所や在宅の被災者の健康を守る活動を続けています。
*氷見市健康・医療対策課保健師 笹井美佳さん
「夏場なので熱中症予防、感染症対策、食中毒の予防、避難者の命と健康を守ることを第一に活動していきたい」
今回の豪雨の当日避難者175人に対して、能登半島地震は最大6000人と人数は大幅に違いますが、一人当たりの避難所環境は改善されました。
一方、家屋の倒壊や、浸水被害を受けた人の避難生活は長期化が予想され、息の長い心身のケアも必要とされています。
