島根・松江市新雑賀町。
喧騒を逃れるようにひっそり佇む古い民家。
明治の文豪・小泉八雲と親交が深かった教師・西田千太郎が暮らした家です。
全国放送のドラマで吉沢亮さんが演じた人物のモデルとされています。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
こんにちは。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
こんにちは。ようこそ、よろしくお願いします。
この西田千太郎の旧居の真向かいに住む今岡克己さん。
建物を次の世代に残すため、近くの住民などが立ち上げた「まちなかプラン」の中心メンバーです。
少しずつ、修繕工事を進めています。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
入った最初の部屋は天井が低いのですが、客間は天井が少し高いんです。
使ってある板も高級と聞いてます。
建物は明治2年、1869年の建築。
居住江戸時代の「足軽屋敷」の様式を残す貴重なものです。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
ここに小泉八雲さんが来られていたんですね。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
そうらしいですね。ここから1キロ向こうに洞光寺というお寺があるのですが、その鐘の音を一緒に聞いて松江の風情と一緒に、ここで味わっていたと思いますよ。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
すごく感慨深いです。
30年ほど前まで千太郎の孫が住んでいましたが、その後、空き家に。
近年、今岡さんが親族から了承を得て、地域の集会所などとして活用していました。
今回のドラマ放送をきっかけに専門家を交えて、改めて調査すると千太郎の日記や八雲が千太郎に充てた書簡など歴史的にも貴重な資料が数多く見つかりました。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
(日記に)「何月何日、ヘルンさんがやってきた。病気の見舞いだからミカンを持ってきてくれた」ということが刻銘に書かれあるんですね。
それを全部数えると30回くらい、この家に(小泉八雲が)来ていらっしゃるんですよね。
明治の宝物ですので。
ただ、長年、空き家で手入れが十分でなかったため、傷みが進んでいました。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長::
雨漏りが、ひどかったんです。
1400枚の瓦がのっているのですが、そのうちの半分ぐらいが割れていたんです。
特にひどかったのは屋根と傾いた西側の壁。
クラウドファンディングなどで全国から寄せられた寄付金約1100万円を修繕費用に充てますが、想定より傷みが激しく、十分ではありません。
さらに、問題は経費だけではありません。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
左桟瓦といって、普通の瓦はへの字型ですが、逆への字型の瓦なんです。
この古い瓦が手に入らないんです。
江戸時代の松江ではよく使われていた瓦ですが、今では入手が難しく、知り合いを通じて古民家などから譲り受けました。
雑賀町にある「伊藤家」。
昭和初期に建てられた屋根には「左桟瓦」が残っていました。
約1000枚の瓦が丁寧に下ろされ、西田千太郎の旧居に運びこまれました。
当時の瓦造りはすべて手作業。
そのため、形も一枚一枚、微妙に異なるといいます。
これを職人技で丁寧に合わせていきました。
西田家に残っていた700枚と伊藤家から譲り受けた700枚の左桟瓦がこれから屋根を守ります。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
この西田邸、これからどのようになっていってほしいですか。
一般社団法人まちなかプラン・今岡克己理事長:
松江駅のすぐ近くなので、ここが観光の出発点になるといいなと思っているんですけどね。こんなところに、そんな明治の偉人が住んでいたところだと思っていただくと、みんながこの地域を誇りに思うでしょ。それを目指して一生懸命やっています。
修繕工事は、9月10日に終わる予定です。
ドラマをきっかけに多くの観光客が訪れるようになった西田千太郎旧居。
明治の文豪と心優しき教師の絆が時を超え、装いを新たにしたこの家でよみがえります。
