夏休みが明け、学校が再開するこの時期に増えるのが不登校で、そんな子供たちへの支援の1つとして注目されているのが、アニマルセラピーです。アニマルセラピーとは、動物との触れ合いを通じて癒やしや安心感などを得られるとされるもので、医療や介護の現場でも取り入れられています。今回は教育に取り入れている現場を取材しました。
夏休みが終わり、新たな思いを胸に登校する生徒たち。御殿場西高校にはある変わった生徒が。
ラブラドールレトリバーのアンディ(オス・ 9歳)です。
休み時間や放課後に生徒が自由に触れ合うことができる、アニマルセラピーと呼ばれる取り組みです。
生徒たちの悩みや不安を和らげる役割が期待されています。
文部科学省によりますと2024年度の不登校の生徒は、小中学校で35万人を超え、12年連続で増加。高校生は2023年より減ったものの、10年前より1万人以上多い6万7000人余りが不登校です。
特に夏休み明けのこの時期が最も不登校になる生徒が多く、その半数以上の理由は「無気力・不安」でした。
御殿場西高校・勝間田晃紀ハンドラー:
10代の子供たちには、理由のない不安感がたくさんある
御殿場西高校に迎えられたのが、2匹の犬 カール(オス・15歳で天国へ)とアンディ。スクールドッグへの理解を保護者に求め、実現に向け主導したのは生徒たちでした。
御殿場西高校・勝間田晃紀ハンドラー:
不登校で悩んでいた生徒がカールとアンディに会いに来る。そこから初めて教室へ行ってみようと。チャレンジのための存在になった
放課後、毎日のように生徒がアンディを訪れます。
スクールドッグは、不登校などの生徒に大きな影響を与えるとされています。
近畿大学・漆原宏次 教授:
犬と見つめ合う・触れ合う、特に自分が飼う愛着のある犬と触れ合うことで、オキシトシンという安心と愛着のホルモンが分泌され、ストレスを感じさせるホルモンが低下する知見もある
女子生徒:
校長先生が散歩していて、周りに人が集まってくる。アンディはみんなの人気者。いないとダメ
男子生徒:
ここは生徒の目につかない場所。こっそり癒やしがもらえる。誰にも気づかれないレアな癒やし場所
いまではこの学校の生徒たちにとっては欠かせないスクールドッグ。ただ、導入できる学校は静岡県内でもほとんどありません。
その理由は運用面での課題です。
近畿大学・漆原宏次 教授:
学校で飼育すると、誰がどう面倒を見るのか・費用はどうなるのかを考えなければいけない。かかる費用がどれくらいで、アニマルセラピー以外の取り組みと比べてどうなのか、慎重に検討しなければいけない
現状、アニマルセラピーの多くはボランティアのコスト負担で成り立っているため、こうした活動のデータを集めていくことが普及への一歩ということです。
この学校では犬が苦手な生徒やアレルギーを持つ生徒のため、アンディが自分から教室などに行かないようにしつけています。
また、こうした取り組みを知ってもらうために、生徒がスクールドッグを広める活動をする協会と、生徒の心の変化などの効果について研究しています。
男子生徒:
セラピードッグの域を超えて、みんなが家族のように触れ合えるようになってほしい
また一風変わった取り組みも。
御殿場市内の牧場でおこなっているのが馬と関わり合う、「ホースセラピー」です。
15年前に東京都内の乗馬クラブから御殿場市に移り住んだ野口さん夫婦。馬を身近に感じてほしいと活動を始めましたが、アニマルセラピー自体の認知度は低かったと言います。
御殿場カルチャーファーム・野口克之 代表理事:
日本の場合は、馬との関わりが一般の人にはない。そこが難しいところ
それでも馬を連れて出張するなど地道な努力を続けると、次第に輪が広がっていき、フリースクールに通う子供などが訪れるようになりました。
御殿場カルチャーファーム・野口操子さん:
触って、下におりてきて
子供:
かたい
御殿場カルチャーファーム・野口操子さん:
(しっぽの)ここまでが骨
最初はおそるおそる馬に触れる子供たちですが・・・
御殿場カルチャーファーム・野口操子さん:
ぎゅーしてあげて、ほらできたじゃん。こわくないでしょ
御殿場カルチャーファーム・野口克之 代表理事:
最初は乗りたい子もいる。でも躊躇する子もいる。躊躇する中で、克服することがとても大事。「私乗れた」とお母さんにアピールして、いい表情になってくる。その表情が必要だと思う
御殿場カルチャーファーム・野口操子さん:
一言もしゃべらなかった子が、最後に「操子さん、来てよかった」と満面の笑みで言ってくれた。これは言葉はいらないのかなと思う
動物とのふれあいによってリラックスできるといった効果が確認されている一方、それをどうコントロールできるかはまだ研究段階です。
ただ、さまざまな選択肢をつくることは子供たちへの教育の一助となるはずです。
