夏休み明けに増える不登校。子どもの心と体を守るために周りの大人にできることについて医師に聞いた。
■「誰にでも起こりうる」夏休み明けの“不登校”増加
楽しかった夏休みも終わり、休みが明けて日常に戻るために大きなエネルギーが必要なのは大人も子どもも同じだ。
そんなこの時期に毎年増えるのが不登校。
長岡赤十字病院小児科子どものこころ専門医の田中篤医師は「不登校は誰にでも起こりうる」と話す。
新学期が始まって緊張しながらも頑張って学校に行って心身共に疲労困ぱい状態にあったのが、休みがくることによって生活リズムが狂って、休み明けにいざまた頑張って行こうとしても、頑張りが効かないというパターンが多くあるそうだ。
■新型コロナ禍を機に急増…人との交流や生活リズムに変化
文部科学省によると、1年間に30日以上学校を休む子どもの数は年々増加傾向で、特に2020年度からの新型コロナ禍を機に急増しているのだ。
田中医師は「学校閉鎖による生活の一変や孤立の影響も大きかった」と指摘する。
人との交流が少なくなったことや生活のリズムが変わり、ゲームなどに依存しやすくなった新型コロナ禍の影響はいまだに残っているのだ。
■周りの大人はどう対応?
不登校になる前に子どもから現れるサインには、なんとなく元気がなくなる、朝元気よく起きられない、朝おなかが痛くなったり、頭が痛くなったりするなどがある。
もしも、子どもが突然「学校に行きたくない」と言ったら周りの人はどう対応すればいいのだろうか?
田中医師は「学校に行きたくないと言われると、保護者の方も焦ったり不安になったりすると思う。心と体をしっかり休ませて充電期間にあてる対応が必要だ」と呼びかける。
正論を言ったり説教したりせず、まずは子どもの気持ちをしっかりと受け止めることが重要だ。
■「不登校の原因は単純ではない」
また、「不登校の原因は単純ではない。決して親や家庭にだけ問題があって、それが原因でというわけではないということが多い」という。
自分の育て方とか関わり方が悪かったのではないかなど、自分を責めないことも大切だ。
学校生活に適応しようと頑張りすぎてしまった疲れや自律神経の乱れなど原因は一つとは限らないため、周りの大人は原因を探しすぎず、子どもの心と体の充電を優先することが望まれる。
■「まずは親が」休息をとることも大切な一歩
ただ、心身をリラックスさせる必要があるのは子どもだけではない。
田中医師は「親の焦りや不安が強い場合、子どももそれを感じて余計不安になってしまうので、まず親が精神的に楽になるのが大事だと思う」と話す。
学校の先生や自治体の窓口など信頼できる人に悩みを打ち明けることも効果的だ。
不登校を山登りに例えると、みんながどんどん先に行くのに自分はもう行けなくなって立ち止まってしまうようなもの。
降ろせる荷物は降ろして、しっかりと休息をとることも大切な一歩となるのだ。
「不登校の目標が必ずしも学校に戻る、行けるようになることではなくて、自分は自分なりにいいところがあって、これからも生きていくことが可能なんだという自信を持たせていくことが大事」と呼びかける田中医師。
大人も子どもも辛い気持ちは一人で抱えず周りに助けを求めることが重要だ。
■焦らず“心身の健康”第一に
一方で食事がとれなかったり、強い抑うつ症状が見られたりする場合は、早めに医療機関に相談することをすすめている。
「誰も行かないゆっくりした山登りをしていくと美しい風景に出会ったり、悪いことだけではないので、不登校を決して否定的に捉えない。子どもとしっかり関わる時間がたくさんできたと思っていい。焦らず子どもを見守ることが大事」
親も子も焦らず心身の健康を第一に考えて、新学期もそれぞれのペースで歩んでほしい。
